我が家のガチョウは
現在産卵期、雄は非常に
気が立っています。
わが身が可愛い私としては
基本的にこの時期の
ガチョウからは
距離をとっているのですが、
先日、夫(英国人)の不在時、
日もかげってきたので
そろそろガチョウ小屋の
戸締りをしようと外に出ると
通常ならば外が
これくらい薄暗くなれば
小屋のそばで待機しているはずの
ガチョウ夫妻の姿が見えない。
敷地の反対側の牧草地から
ガチョウの声がするので
何かあったのかと
思って覗きに行ったら
・・・雌ガチョウ
(通称『母君』)が
帰り道を見失っておりました。
牧草地にはいくつか柵があります。
しかし現在は柵についている
すべてのゲートを
開放してありますため
ガチョウたちはどこへでも
好きなところに
入り込めると同時に
どこからでも
元の場所に戻れるはずが、
若い頃から方向音痴の
誉れが高かった母君ガチョウは
見事にゲートの存在を忘れ
柵の向こう側からこちら側の
雄ガチョウ(通称『父君』)に
助けを求めておりました。
柵沿いに50メートルほど
北方向に移動してくれれば
そこにゲートがあるものの
動転した母君には
それがわからない。
仕方ないのでここは私が
そこから50メートル
北向きに柵沿いに移動し
母君ガチョウが
とらわれている側の
牧草地に移動、
南向きに50メートル引き返して
母君ガチョウのそばに寄って
「さあ帰るぞ」と道案内。
ガチョウのヨタヨタした
足取りに合わせて再び
北に50メートル移動して
ゲートを目指したのですが
その途中で母君ガチョウが
くったりとその場に
座り込んでしまってですね。
空はもう薄闇に包まれていて
足元の牧草は凍り始めていて
舞台風景としては
『白鳥の湖』もかくやなのですが
ちょっと待って!
母君、どうなされました?
まさかどこかお怪我を?
それとも産気づいちゃった?
あるいは病気?
もしくはまさか私に
浮気を持ち掛けている・・・?
(雌鶏にはよくこういう
座り込みの姿勢で
お誘いを受けている私です)
背中を撫でても動かない母君。
羽と首の付け根はひどく冷たく、
え、まさか低体温症・・・?
天然グースダウンの持ち主が・・・?
それとも本当に調子が悪いのか?と
私が首をひねっておりますと
お供について来ていた
わが愛犬アーシー(黄色大犬)が
様子を見に走り寄って来て、
そんな犬の接近に気づくなり
母君ガチョウはすっくと立ちあがり
何事もなかったように
ゲートを目指し始めました。
何だったんだ。
ともあれ無事にゲートを通過、
そこからガチョウ小屋までは
200メートルくらいでしょうか、
凍った草に覆われた不安定な足元を
ガチョウとともによろめきつつ
目的地目指して歩きだし、
途中で父君ガチョウも合流、
こやつめ私の努力も知らず
一丁前に威嚇などしてきやがって、
貴様、私がいなけりゃ
母君ガチョウは夜の間に
キツネか近所の犬かに
食べられているところだぞ。
そんなわけで2羽と1人と
1匹(アーシー)で
薄墨色の景色の中を進んでいたら
また母君ガチョウが座り込み。
父君ガチョウがそばに寄って
声をかけても腰を上げず、
アーシーは父君ガチョウが怖いので
今度はそばに寄ることも出来ず、
仕方ないので私が近寄り
背中を撫でても母君はその場から動かない。
あたりはどんどん暗くなり
気温はぐんぐん下がっていく、
ここは仕方ない、と私は
覚悟を決めて母君を抱き上げました。
当然のごとく
非難の声を上げる父君ガチョウ。
しかし君、これは非常事態よ。
そんなわけで母君ガチョウという
オモリを抱えながら私は牧草地を横断。
これは腰にはよくないかもなあ、
最近は肩も痛いのになあ、
でもガチョウに何かあったら
私は絶対悲しいしなあ、と
ガチョウ小屋まであともう少し、
という位置にたどり着いたところ
母君ガチョウは突然
「あ!もう道わかった!」
とばかりに勢いよく身を捻って
私の腕の中から飛び降り、
同時にそれまで気配を消して
私の後をつけてきた父君ガチョウが
私の右腿に・・・
渾身の噛り付きを・・・
恩を仇で返すとはまさにこのこと。
ガチョウたちははしゃぎながら
それぞれ喜びの声を上げ
(『もう道わかった!』
『仇は取ったぞ!』)
それはそれは幸せそうに
ガチョウ小屋に入っていきました。
私は今も・・・右腿が痛いです・・・
産卵期のガチョウに理は通じません。
皆様どうかお気を付けください。
これはね、絶対に青あざになる
皆様本当にお気を付けください
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