犬に噛まれました。

 

右腕を冬用外套の上から。

 

服に穴は開きませんでしたが

私の腕には歯形がつきました。

 

相手は顔見知りの犬で

故にこちらにも多少

油断があったのですが・・・

 

 

近所の家に病人が出たので

英国田園地帯の

伝統・お作法にのっとり

お見舞いのカードを

届けに行ったんですよ。

 

家の正面に車を停めて

降りようとすると犬が3匹

吠えながら走って来て、

その後ろには

飼い主の姿も見えて、

で、私はこの犬たちとは

散歩の時によく

顔を合わせていたので

普通に車を降りて犬に挨拶し、

犬もそれで吠えるのを止め、

それで飼い主に顔を向けて

人間同士で挨拶をしようとしたら

完全な死角から

うち1匹に腕をがぶりと。

 

驚いて振り返ると

件の犬(ゴールデン・

レトリバー、推定体重

30キロ)が鼻に皺を寄せて

私の腕に歯を立てていて、

そのまま首を振ろうとするので

外套に穴が開いたらたまらない、と

腕ごと犬を押し返すようにして

「おい、放しなさい」

そう言いながら犬を

抑え込んだところに

飼い主が慌てて走り寄って来て

「ごめんなさい!この子、

さっきから遊びたくて

私の袖を引っ張っていたの!

まさかあなたにも

そうしちゃうなんて!」

 

・・・それでですね、

私はこちらで何人か

『犬に噛まれた』人を

知っているんですが、

彼らから話を聞いて

私はその心情を

理解していたつもりでしたが

・・・いや、

『犬に噛まれる』というのは

大変な経験ですね。

 

私は腕に歯形が付くくらいで

済みましたけど、これで

血が出るくらい噛まれた日には

感染症の恐怖とも

隣り合わせになりますし、

それに私は上背があって

自分も犬と暮らしているので

あそこで咄嗟に

反応できたと思うんですけど、

これが子供だったら

腕じゃなくて

肩か首を噛まれた状態で

横に薙ぎ払われて

まずそこで大怪我必至、

それでそんな経験をした日には

もう一生犬が怖くて当たり前に

なっちゃうじゃないですか。

 

『攻撃をしてくる犬』って

普段そこらで目にする犬と

まったく違った

形相・雰囲気に

なるものなんだな、と。

 

仔犬の甘噛みとは

まったく違うんです。

 

それでまあ色々あって

・・・英国では基本的に

『人間を噛んだ犬は

飼い主が責任を持って

処すべし』みたいな

不文律があり・・・

 

気が付けば私は

犬の命乞いをしていました。

 

「ほら、犬にしてみたら

私が侵入者だったわけだし!」

 

「普段なら私のことを

見分けられただろうけど、

お宅には今病人がいて

だから犬も神経質に

なっていただろうし!」

 

「私があんなに無防備に

犬に背中を向けなかったら

こんなことは

起きなかっただろうし!」

 

だってこれで数週間後に

あの家の人に会った時に

「安心してね、あの犬は

もういないから」とか

言われちゃったら

私はどうしたらいいんですか!

 

・・・。

 

「あの後犬を訓練学校に

入れたんだけど、そこでも

人を噛んじゃって、それで」

なら納得できるかな、とも

思ったんですが・・・

 

それだとまるで次の被害を

自分が期待しているようで

どうなのか、と。

 

ともあれこのゴールデン君は

近々訓練学校に

入れられる予定だそうです。

 

犬にとっても人にとっても

それはよい判断である気がします。

 

まあでも『噛む犬』の

取り扱いは難しいですよね。

 

色々考えています。

 

 

犬に噛まれたことがある人も

その経験はまだない人も

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