今回の抜歯では

まず治療室に入って

歯茎に麻酔を打たれて

痺れが来るまで

歯科医の先生と助手の先生と

世間話などをいたしました。

 

ほら、黙っていると

不安なので・・・

 

ちなみにこの先生には

以前わが夫(英国人)も

歯を抜いてもらっていて

「夫から聞いたんですが、

先生の抜歯技術には

定評があるそうですね」

 

「定評・・・っていうか、

そうね、私は経験豊かね。

グラスゴーで修行したし」

 

グラスゴー・・・とは

つまりグラスゴー大学・・・?

 

となればこれは

学歴自慢・・・?

まあグラスゴー大学は

スコットランド屈指の

名門校だしな、と

納得しかけておりましたら

「時代的なものも

あるんでしょうね、

私が研修医をしていた頃は

抜歯ってもっと

一般的な治療法だったの。

今はまず抜歯を

避けようとするでしょ。

それはいいことなんだけど、

とにかく研修医時代は

私は毎日のように

歯を抜きまくったわ、

だから最近歯科医に

なった人に比べたら

私は経験数が違うと思う」

 

「なるほど」

 

「それで私はグラスゴーで

開業したんだけど、そこが

まああんまり

高級住宅街ではないところで。

患者さんの求める治療が

まず第一に抜歯でね。

というか抜歯しか選択肢が

ないような状況で医院に

皆様いらっしゃるわけ」

 

「それはそこまで治療を避け

歯の痛みを我慢した末、

みたいな理由で・・・?」

 

「うーん、というかね、

それもまああるんだけど、

何て言うのかしら、

住民の血の気が

多い地域だったの。

喧嘩沙汰で歯が折れて、

そのうち痛みが治まるかと

思っていたらひどくなったから

ちょっと診てくれ、みたいな・・・

半分折れた歯とか

沢山抜いたわねえ、だから

そうね、私は難しい抜歯の

経験もかなり積んでいるわ」

 

殴り合いであちこち腫れた

喧嘩っ早い殿方の

損傷した歯茎の奥から

欠けて小さくなった歯を

刳(く)り出すことに比べたら

私の奥歯抜歯など

簡単すぎて

欠伸が出ちゃうくらいの

話であったのかもしれません。

 

ちなみにこちらの先生、

抜歯を始めるにあたって

「痛みがあったら言ってね、

そうね、鋭い痛みって

いうのかしら・・・」

 

「先生待って、鋭い痛みって

麻酔がかかっているのに

何をどうしたらそんな痛みが」

 

「麻酔が効いていたら

感じないから大丈夫」

 

「いや待って先生待って」

 

でもまあ先生が

私の口の中でごそごそと

何やら恐ろし気な処置をしても

(私は目をしっかり

つぶっていたため

先生が実際に

何をしているかは

わかりませんでした)

私は痛みを感じなかったので

「じゃあここから本番ね、

大丈夫、私に任せて、

痛かったら言ってね、

手を挙げてくれればいいから」

 

痛み・・・というか

途中で私は自分が

なかなかコルクが抜けない

古いワイン瓶みたいな

気持ちになって来たので

そこで一度手を挙げたのですが

先生ったらまったく手を止めず

「そうよね、わかる!

今、手を挙げたい感じよね!」

 

 

 

 

・・・その後歯は無事に抜け、

出血が続くこともなく

腫れが出ることもなく

痛み止めを飲む必要もなく、

そんなわけでこちらの先生は

いわゆる抜歯の名医

あると思われます。

 

でもしばらくは

歯の治療とは無縁に

生きたい私です。

 

歯磨き、頑張ります。

 

 

治療室を出る

支度をしている時に

「足元ふらつかない?

気持ち悪くない?」と

何度も尋ねられたので

安心の処置後サービス、と

思っておりましたら

「何度も同じこと訊いて

ごめんなさいね、でもほら、

あなたの旦那様、以前

抜歯後に失神なさったから」

 

あれは忘れたくても

忘れられない経験であった、と

これは歯医者さんの言葉です

 

抜歯が得意なあなたも

気絶経験者なアナタも

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