この夏我が家に滞在していた
某日本人カメラマン青年
(ポムポムプリン似)が
ある日散歩から戻って来て
「ここらへんの方は
皆いい人たちですね!
僕の姿を見たらわざわざ
トラクターを停めて
挨拶をしてくれた人が
いましたよ!」
彼が日本に帰って
もうずいぶんになるのですが、
先日地元の集会に
出席しましたら
某ご近所さんが近づいてきて
「Norizo、この間
君のところに遊びに来ていた
カメラマンとやらがいたろ、
俺、トラクターに
乗っている時に会ってさ」
「ああ!トラクターを停めて
わざわざ挨拶をしてくれた、
というのはあなたでしたか!
ありがとうございました、
カメラマン君、喜んでいました」
「・・・喜んでいた?本当に?」
なんだか反応がおかしいな、と
話の詳細を聞いたところ、
こちらの隣人はあの朝
トラクターで仕事をしていたら
「Norizoの家のほうから
見たことのない人物が
歩いて出てきて・・・」
その人物は全身黒づくめで
(注:ブラックカジュアル)
大きな荷物を背負っていて
(注:カメラバッグ)
周囲を始終見回していて
(注:写真家の職業病)
「ほら、ここらへんて時々
空き巣事件とかあるだろ・・・
だから俺、防犯的な意味で
車を停めて、結構怖い声で
声をかけたんだよね・・・
(低い声で)おう!みたいに」
しかしそう声をかけられた
我らがポムポムプリン君は
満面の笑顔を輝かして
「あっ!おはようございます!」
「もうその瞬間にこれは
空き巣窃盗の類(たぐい)じゃ
ないなってわかってさ」
毒気というか攻撃精神を
すっかり失ったトラクター氏に
ポム君はさらに続けてハキハキと
「はじめまして、僕は
ポムポム(仮名)と申します!
日本人で、
写真をやっております!」
「日本ってことは君・・・
そこに住んでいる
Norizoの関係者かい」
「はい、Norizo先生のところに
滞在させてもらっています!
Norizo先生をご存知ですか?」
「おう、ご近所だからな。
じゃあNorizoの旦那の
ゴメス(仮名)とも知り合いか」
「はい!Norizo先生も
ゴメス先生もいい人です!」
この話を私にしながら
トラクター氏は何度も
「あいつ、いい奴だよなあ・・・
そんな奴を相手に俺は最初
あんな威圧的な声を
出しちゃってさあ・・・
でもそうか、あっちは別に
嫌な気はしていなかったか、
そうか、俺は親切って
言っていたか、そうか・・・」
トラクター氏は結構
しおしおしておりましたが
地域防犯の観点からも
私は彼に重ねて
お礼の言葉を伝えました。
しかしこれは
ポム君の人徳ですよね。
あそこで笑顔で挨拶を
返せる人でなかったら
話はどんどんこじれて
下手をすると
『田舎の排斥性』とか
『人種差別』にまで
問題が膨らんだかも
しれないと思うんですよ。
私は自分自身が寝不足だったり
仕事がたて込んだりしていると
実はかなり被害妄想的な傾向を
強めてしまうところがあって、
故にポム君のこの姿勢には
大いに見習うべきものを
感じるのでした。
地獄も極楽も
しつらえは実は同じで
違うのはそこにいる人々の
受け取り方だけ、という話は
こういうことを
指しているのかなと
思ったりもいたしました。
「で、あのカメラマン、
いい写真を撮って帰ったのかい」
「ええ、今回は撮影機会に
恵まれたと言っていましたよ。
なんだったらあなたが
トラクターに
乗っているところを今度
撮りたいとも言っていましたよ」
「えっ、なんだよ、本当かい、
俺は別に・・・うん、俺は別に
撮ってもらって構わないよ」
ポム君見事なり、
という話でございました。
私だっていきなり
黒づくめの見慣れない人が
大荷物を背負って周囲を
ぎょろぎょろ
眺めまわしながら
行き止まりの道から出てきたら
何事かと思いますからね
だから結局この話には
善人しか
登場していないんですよ
ちなみにトラクター氏を
「撮りたい」というのは
私の適当なお世辞ではなく
ポム君の本気の発言です
見知らぬ人の怪しい行為に
不審な目を
向けてしまうあなたも
つい見てみぬふりを
してしまうアナタも
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