さてお箏の調弦方法を知り
箏曲『さくらさきら』の
楽譜の読み方を把握した私は
家に帰ってまず最初に
母(イメージ武将:
豊臣秀吉)のお箏の
調弦をしたかと言えば
・・・正直その気力は
その日はもうなく。
脳がとにかく
『初めての経験』に
驚いている状態で・・・
かつて使用したことの
ない部位が
摩耗しているかのような・・・
で、一晩経って翌日に
弦を調律するかと思ったら
・・・その日、母は
顔面から転倒しましてね。
まあわが母は最近自分で
「得意技は転倒」とか
言っているのでは
ございますが。
でもさすがの私も
母の顔が内出血している横で
お箏をピンピン
弾(はじ)く趣味はなく。
これはもしかして
私の調弦技術を
披露する機会はないかな、と
思っていたところに
わが父(イメージ武将:
石田三成)が
「お箏、調弦してあげてよ」
「いや、でも・・・
私は母と仲良く一緒に
ああでもないこうでもないと
音を合わせるつもりで・・・」
「音を合わせたところで
秀吉さんを呼べばいいよ」
そういうものかな?と
首をひねりつつ
朝食の後にこっそり
一人で調弦をして
「おかーさま、
お箏、平調子に音を
合わせてありますが」
すると母はお箏の
ある部屋にやって来て
ピンピンと弦を弾き、
しかし母は今右手の
リハビリ中で
どうしても思った音が
出ないのか
悲しそうな顔になり
「・・・でも弾けない」
そこでつい私は反射的に
「お母様!実はわたくし、
先生に『さくら』のさわりの部分
手ほどきをいただきました!」
信用ならない眼差しで
私のことを眺める母の前で
例の有名な冒頭部を
弾いてみせると
母は心底驚いた顔で
「・・・あら!弾けている!」
「そうでしょうそうでしょう!」
「本当に凄い、音が出ている!」
・・・え?
『すごい』の基準はそこ?
しかし後から聞くと
わが母は娘時代の
初めてのお箏のお稽古では
まったく音が
出せなかったそうで
・・・いやだ!私
もしかして本当に
お箏の才能あるのかしら!
私の真の才能は
この妙な自惚れの強さかとは
思うのでございますが、
さてこの結果何が
起きたのかと申しますと
以来母の日課に
『お箏のお稽古
(お稽古する人:Norizo)』が
組みこまれてですね。
午前と午後の散歩と
昼寝の合間に時間が出来ると
「お箏の部屋に行きましょう」
・・・で、私が『さくら』を
通しで何度も
頭から弾かされる、という・・・
そうなんです、
冒頭部からさらに
譜読みが
進んでしまったんです・・・
というわけで、私は今、
何故かお箏を弾いています。
まあ楽しいは楽しいんですけど
私が楽しそうに
お箏を触っていると
母が嬉しそうなもんですからさ
変なところで親孝行な私です
なお母の内出血は
2日ほどで収まりました
やはり打ち身には冷却
そして楽器習得には練習
・・・お帰りの前に
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