さてそんなわけで
お箏の調弦。
私は素直にチューナー
(機械)を使ったのですが
機械を使おうと使うまいと
あれは難しいし
集中力と忍耐力を要するし
「・・・お箏を習う子って
偉いんですね、こんな
調弦を毎回毎回
お稽古のたびに
頑張るなんて・・・」
「まあ最初のお稽古では
先生が調弦しちゃうことが
多いんですけどね・・・
Norizoさんは調弦方法を
習いたいというので特別です」
やったー
特別待遇だー
(Norizoさんは
自棄になっている)
・・・まあそんなわけで
チューナーをお供に
右手で弦をはじきながら
左手で箏柱を移動させ
音合わせをしていくのですが
・・・チューナーが
発明される前は
これ、この音合わせで
お箏から脱落する人は
多かったでしょうね・・・
だってさ、音感って
頑張れば身につくって
種類の技能でもないでしょう?
噂ではわが母
(イメージ武将:
豊臣秀吉)は
お箏の調弦が非常に得意で、
得意というか弦の調子を
合わせられない人の存在が
信じられない、みたいな
可愛くない才能を
持っていたそうなのですが
残念ながら私にその能力は
遺伝しなかった・・・
でも大丈夫、私には
文明の利器
チューナー君がありますから!
ただね、チューナーがあっても
調弦はそれなりに大変!
だって音を合わせるべき弦が
13本もあるのですよ?
しかも割と微妙な
調整が求められるし・・・
(注:調律とはそもそも
そういうものです)
右手につけた『爪』で
弦を弾いて
音を確かめるでしょう?
その弾いた瞬間の音と
余韻として響く音では
音の高さが変わるので
そこも考えて音を
合わせないといけないとか
・・・そうか、だから
お箏を弾く人は優雅に
演奏前にびーんびーんと
糸を鳴らして箏柱の
位置を調整していたのか・・・
しかし私は優雅さとは
程遠い気質の持ち主で
「Dの音が定まらないなー
(びーんびーん)、
この糸、私が嫌いなのかなー
(びーんびーん)、
嫌いでもいい、ハマれ!
(びーんびーん)、
正しいDの音にハマれ!
(びびんびーんびーん)、
あと少し上がれ!(びーん)、
上がり過ぎィ!」
見るに見かねた先生が
「Norizoさん、機械だけを
信じるのではなく、
一の弦もD音だったでしょう?
共鳴させて音が合えば
それで大丈夫ですよ」
「・・・なるほど
(びーんびーん)、
はい、Dに合いました」
「Norizoさん・・・
ちゃんと聞いた?」
「聞きましたよ、
(びーんびーん)、
ほーらいい音だー!
いい音ならば合ったも同然!
はいD音調律完了!」
書いていて思います、
どういう生徒だよ私は・・・!
ことほどさように
面の皮の厚さで
音合わせを
進めていった私ですが
(脳内に存在したのは
十二単をお召しになった
お姫さまではなく
泥まみれのブルドーザーでした)
(現場仕事としての調弦的な)
(Eフラット合った!ヨシ!)
ここからが
今回の調弦ハイライト。
八弦の『A』がまた全然
正しい音に
近づいてくれなくてですね。
箏柱をかなり大きく
動かしているのに音は
揺るぎなく『G』のままで
しかもG音としては
見事に調子が
整っているのが腹立たしい。
お前はGじゃない!
Aであるべきなんだよ!
これでもかこれでもかと
箏柱を移動させていた私に
先生が言いにくそうに
「Norizoさん、今、
八の弦をAに合わせようと
しているんですよね?」
「そうなんです、でも
何故かG音のままで・・・」
「・・・あの、Norizoさんは
さっきから左手で
八の弦の箏柱を
動かしているんですけど、
右手ではずっと七の弦を
鳴らしているんですよ・・・」
この日の結論:
私にお箏の才能はない。
まあでもなんとか
13の弦すべてを
それなりに
正しい音に整えまして
向こうの弦から
びんびんびんと弾いていくと
・・・何かしらこの
己の努力が報われた感に
満ちた調べは・・・!
そんなわけで今の私は
お箏の調弦方法を
知っているのです。
出来るとは言っていませぬ。
でも知ってはいるのです!
人類にとっては
小さな一歩でも
私にとってこれは
偉大なる跳躍である
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