わが牡蠣旅行の焦点、
最大のお目当てともいえる
某料理店は当然のごとく
非常に人気が高いお店で。
我々は三度目の正直にして
やっと予約が取れました・・・
諸葛亮と劉備かよ!
(コメント欄で最近
私のおっさん化が
進んでいるとの
ご指摘を頂いたので
歴史派おっさん路線を
目指してみました、歴史派・
中国史閥・時代小説組で)
(おっさんだから紙媒体なの)
もうね、料理店の
予約が取れてから
ホテルの予約を取る
順序でしたよ、本当に。
それでもまあそんなこんなで
なんとかレストランの席を抑えて
犬も泊まれるホテルの
部屋を予約して、
で、当日、わが夫(英国人)は
山に芝刈りならぬ山岳走行に行き
私はふもとの町で時間を潰し、
合流したのが夕方の3時過ぎ。
合流場所は某ビール醸造所
併設のパブだったのですが
・・・秋冬物を身にまとった
お洒落観光客の隣で
わが夫は泥だらけの
半袖半ズボン姿という・・・
もちろんその日一日
夫のお供をしていた
われらが大犬アーシーも
頭から尻尾の先まで
びしょびしょになっていて・・・
でも何が怖いってこれが
パブのお客として受け入れられる
英国社会の懐の広さですよ。
(衣服が湿って泥色の裸の大将が
同じく濡れた大犬を連れてやってきて
『ぼ、僕はビールが欲しいんだな』
とかオーダーを入れるようなもの)
まあ屋外席だから
許された面も
あるかとは思うのですが。
その日のふもとの天気は
曇り時々雨、強風に注意、
みたいな感じだったのですが
山の上は雨・霧・時々曇り、
洒落にならない強風と低温に
注意、という状況だったそうで
「山頂にたどりついてもしばらく
そこが山のてっぺんだって
わからなかったんですよ。
雨雲の中に入っちゃって
2メートル先も見えなくて。
風も強くて雨粒が痛くてですね」
で、そんなところで突然
わが夫の携帯が
鳴りだしたのだそうでございます。
え、こんな場所に電波が届くんだ、
というかこんな時に誰だろう、と
携帯の画面を見ても
表示される電話番号に
思い当たる節がない。
セールス電話かな?
でも万一妻(私のことです)が
事故に巻き込まれたとか
そういう連絡だったら困るし、と
夫は吹きすさぶ雨風の中
寒さにかじかむ指で
電話を受けたところ、それは
夜のテーブルを予約していた
レストランからの来店確認
連絡だったのだそうでございます。
「・・・ありがとう、夫よ、
よくその電話を取ってくれた、
もしもその電話を無視して
結果、予約が取り消されていたら
私は涙に暮れていたと思う」
「あの時の僕の姿を
誰かに見せたかったですよ、
風で体が斜めになって
全方向から雨が
バチバチぶつかってきて
満足に目も
開けられない状態なのに
電話の向こうからは
愛想のいいお嬢さんが
『本日のご来店予約、
お忘れではないでしょうか?』」
さてところで私は
『笑い話』をする時に
基本的には言葉とリズムで
笑いを取りに行く方針で、
これは幼き頃によく聞いた
落語の影響かと思われるのですが、
一方夫はデッドパン(deadpan、
無表情で笑いを作る手法)が
得意というか持ち味で
・・・ただこれは聞き手を選ぶ
技術ではあり、故にわが背の君は
時々『冗談とは縁遠い人』と
勘違いされていたりします。
で、同時にわが夫は突然
パントマイムとヒューマン
ビートボックスの融合、みたいな
ネタを披露してくる癖がありまして、
この時もパブの屋外席でいきなり
『山頂の悪天候に抗いつつも
携帯でなんとか話をしようと
する人』パフォーマンスを
始めやがり、またこれが
山頂台風生中継風で
妙に上手なのが
私としては腹立たしく。
(芸人はね!ここで嫉妬を
感じなくちゃもう伸びないんです!)
有酸素運動とビールの
効果もあったのでしょう、
わが夫は全身を
小刻みに震わせて
風の強さを表現しつつ、
目を剥き出し舌を突き出し
自然の力に圧倒される
人間の脆弱さを描写し、
同時に様々な風の音を模写、
悔しいがこやつのこの芸は
本当に見事だな、と
羨望の気持ちを隠して
適当に笑っておりましたら。
「ゴドドドド!(岩壁を打つ風の音)
バシバシバシバシ!(雨音)
ブシューシュシュルー!(耳を
かすめるつむじ風の音)
ヴーヴーヴー!(足元の
砂利が揺れる音)
ピルピル!ピルピル!(着信音)」と
多彩な音を口から吐き出しつつ
『ふきつける風が強すぎて
思うように携帯を開けない』状況を
的確に身体で表す夫の後ろを
通りかかったお店の人が
一度そのまま我々の横を
通り過ぎてから戻って来て
私の背後にまわりしばらくして
「・・・あ!特に問題ないわね!」
その言葉に動きを止める夫と
振り返った私の視線の先で
お店の人はにこにこと笑いながら
「ごめんなさい、だって
その人(わが夫)、変な声を出して
痙攣なさっていたでしょ、
だからその・・・
大丈夫・・・かしらって・・・
でも大丈夫でいらっしゃるわね!
楽しんでいらしただけね!
よかったよかった!
お邪魔して失礼!」
そりゃお酒を提供する
お店の方からしたら
店先でお客が突然
不随意運動的動作を示して
わけのわからない声を
上げ始めたら
安全確認を
せざるを得ないですよね。
英国パブの懐の広さと
安全対策の徹底ぶりに
感銘を受けた経験でした。
なお夫に言わせますと
山登りに犬を同伴するのは
とても楽しいのだそうでございます
まあ犬も楽しそうですし
それはいいことだと思います
あと夫としては三叉路などで
『正しい道』を選ぶ時に
「この2本の道のどちらかを
行かなくちゃいけないんだけどな、
とりあえずこっちの道に行こう」
で、その道が間違っていたので
元の三叉路に引き返すと
われらがアーシーは
「あ、もう帰宅の時間?」と
必ず『最初に来た道』を
戻ろうとするため、夫としては
「正しい道は今自分が
歩いて来た道ではなく、
犬が行こうとしている道でもなく、
残りの道」とわかるのだそうな
勿論犬を頭から信じては
絶対に危険なので毎回ちゃんと
三叉路で目印になるものを
記憶していたのだそうですが
「アーシーの帰巣本能は
百発百中でした」
・・・やだ、うちの大犬、
もしかして賢い・・・?
Norizoさんは本当に
犬に関して最近
チョロくなっていますね
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