知人(英国人)は研究者で
普段は象牙の塔に閉じこもり
・・・嘘です、真面目に研究と
後進指導に励んでいて、
論文も割と定期的に発表し、
通常はそうした論文は
業界内というか分野内で
あれこれ評価されるだけ
(『だけ』とかいうな)なのですが、
時々それが一般紙に
取り上げられることがある。
一般紙どころか大衆紙
(日本でイメージするところの
スポーツ新聞みたいな)の
紙面に引用文が
載ったりすることもある。
「でもね、本当にああいうのって
記者というか編集者が
取り上げたいと思ったところだけを
切り取られちゃうから、
内容が僕が主張していることの
正反対とまではいかないけど、
『えっ、そういう書き方する?』
みたいな結論に
なっちゃうこともあって・・・」
「あ、君が気にするのはそこ?
私は君の名前の載った記事が
大衆紙で薄着のお姉さんの
写真の隣にあることのほうが
気になったんだけど・・・これ、
今度宴席ジョークにしていい?
大衆紙のお色気写真の隣に
あの堅物研究員の名前が
記載されていて!みたいに」
「そこじゃなくて内容を見てよ!
僕の論文を送ってあげるから
それを読んだうえで
引用のおかしさをネタにして!」
・・・いや・・・いくら私が
笑いに貪欲でもガチガチの
学術論文(英文60ページ超)を
そのために読むのはちょっと・・・
ただこういう論文というか
長文の『一部の切り取り』』は
実際本当に難しいと思われ、
つまりほら「コップに水が
半分しか入っていない」か
「半分も入っている」かの
差というか、人間、
主観を排した文章なんて
書けるようで書けないと
私は思うわけです。
いやそこは素直に
「コップに水が半分入っていた」
でいいじゃない、と思う方も
いらっしゃるかもしれませんが、
書き手によっては
「コップの話は些末事、
注目する価値ナシ、むしろ
果物の描写を引用すべき」と
考えるかもしれない。
そこにはどうしても主観、
個人の判断が介入する。
さてそんなわけで
ダラダラとネットで
養生生活を送っている私が
「あ、これは知人があの時
言っていた状態だ」と思わず
笑ってしまった
笑えない記事がこちら。
東京大学の研究者が
発表した東京五輪開催が
コロナ感染状況にもたらす
影響に関しての推計。
同じ発表・推計に基づいて
記事を書いているにもかかわらず
産経新聞の見出しは
「五輪選手ら
入国の影響『限定的』」、
NHKは「新型コロナ
東京五輪では
人の流れ極力抑制を」。
お時間ある方は是非
上記2記事をお読みください。
五輪に関して国外から
10万5千人が入国した場合
そうした人が直接の原因となって
増える1日の東京の
感染者数は平均で15人。
この『15人』を産経新聞が
「1週間平均の新規感染者数」と
書いている点などは
ご愛敬なのですが
(いえ、読解力が最近
落ちている私は最初
『1週間で15人増、ということは
1日当たりだと2人ちょっと?』と
読み違えてしまったのです)、
産経新聞はさらに
研究者の言葉として
「現実には(中略)影響はより
小さくなる可能性がある」と
これは開催派には嬉しい一文。
対してNHKは入国者による
直接感染云々はさておき
五輪が開催され
観戦だの何だので
人流が6%増加したら
10月第2週で1日感染者数は
1601人になり「五輪が
行われたなかった場合と比べて、
781人増える」ことを指摘。
あ、もちろん産経新聞も
影響するのは
入国者数ではなく人流!と
しっかり書いてはいるのです。
ただそこで出している数は
『人流が1%増えた場合』で
NHKの『6%増』に比べたら
だいぶマイルドな
予測結果にはなっております。
つまり私が何を
申したいのかというと
同じ研究者の同じ発表を
記事にするにしても
記者の書き方次第では
かなり印象が変わることの
これは好例ではないか、という。
開催強硬派にしたら
「NHKは何を悲観的な
数字にばかり注目しているんだ」
みたいな気持ちになるでしょうし
逆に開催反対派は
「産経新聞・・・そこまでして
五輪を開催したいのか・・・」
と思ってしまう可能性高し。
でもその時の主語が
媒体・新聞名ならまだ救われる、
批判対象が研究者に
なってしまうとこれは危ない。
「この研究者は五輪強行開催派だ、
関係者から賄賂でも貰っているのか、
だからこんな数値を出したんだ」
「この研究者は五輪中止派だ、
関係者から賄賂でも貰っているのか、
だからこんな数値を出したんだ」
研究者の発表内容ではなく
『その発表を引用した記事次第で
研究者に対する評価が決まってしまう』、
この恐ろしさ、おわかりいただけますか。
ともあれ私はこの発表および記事は
非常に重要であると思ったんですよね。
五輪開催派も中止派も
ここにきて必要としていたのは
その論拠となる『科学的な推計』。
だから開催派はこの発表を受けて
『五輪開催期間中の
人流抑制方法』を
基本指針として提示すればいいし
(五輪期間中は東京都民は
家から出ること原則禁止、
違反者は百叩き、とか)
中止派は「現行計画では
そんなの無理」という具体例を
示していけばいい
(児童・生徒81万人が
人流増加率を数値で示すなど)。
ちなみにこちらの推計は
インド変異ウイルスの影響は
計算に入れていないそうで・・・
えーと・・・
あ!でも最新の研究では
アストラゼネカ製ワクチンも
2回接種すれば
インド株に効果ありとの
結果が出たそうですよ!
米国務省から日本への
渡航中止勧告が出る中、
日本にとってそして世界にとって
オリンピックとは何なのかが
問われている
2021年でございます。
でも私はもうそろそろ
ネット遊びからは
手を引くべきかな、と・・・
いやだって
無限に時間が潰せちゃうし・・・
大きな声じゃ言えませんけど
某もっちー弁護士の
内部告発(?)騒動とか私、
リアルタイムで追えてしまって・・・
え?何それ?という方は
お読みいただければ、と
思うんですが、
こちらの弁護士さんは
五輪大会組織委員会で
働いていらっしゃるそうで
そこでの1週間を振り返って
「延期とか中止なんて言えないほど、
準備は最終段階に突入していて、
これを全部無駄にするのは
辛すぎる」とTwitterでご発言
あ・・・この方、投資の現場で
『損切り』とかきっと出来ない方だ・・・
大丈夫安心して、
私もそういうの苦手!
ちなみにそういうことが
得意とまではいかなくとも
「投資をするなら
それは当然の覚悟」と
言い切れるわが夫(英国人)は
私がこのTweetを話題にすると
「その人、『サンクコスト効果』とか
聞いたことがないんですかね」
「『コンコルド効果』とかな。
でもこの人は別に
職業投資家じゃないし
弁護士としてはこれは
美質の可能性だってあるぞ。
最終弁論直前で
『今まで色々やりましたけど
これ、勝ち目薄いっすね。自分、
担当弁護士降りていいすか?
もうこれ以上無駄なんでー』とか
言い放つ弁護士よりも
『敗訴はほぼ確実です。でも
ここまで準備してきたことを
せめて最後に主張しましょう!』
って言ってくれる弁護士のほうが
依頼人は嬉しいもんだろ」
まあ当然こちらの弁護士の
こちらの発言は炎上したのですが
(そういうパチンコで身を滅ぼす
人間の理論に社会を巻き込むな、
みたいな感じで)、まさか
同じTweet内の『みんな死ぬほど
サービス残業している』の一言に
全労連が『労働組合として
聞き捨てなりません』と
正面突撃をかけてくるとは
私は当初予想もせず・・・
もっちー弁護士ったら途中まで
「開催反対派の人には
科学的な反対理由を
提示できる人がいないよね」とか
威勢のいいことを
おっしゃっていたのが
・・・現在アカウント非公開で
私は本当に残念でなりません
(あ、だから上記の
『開催反対派の人には・・・』も
細かい言葉遣いはちょっと
違ったかもしれないです、
確認しようにも『非公開』だから・・・)
なお野村総研の
木内登英エコノミストはこのたび
「五輪中止なら損失1.8兆円」
「でも開催後にコロナ再拡大で
緊急事態が宣言されたら損失は
それ以上になる」との見解を発表
これも記事によっては
緊急拡大云々についてはカットし
「ほら!中止の場合の
損失すげえから!」という
開催後押しプロパガンダに
なっているので
皆様気をつけましょう
しかし本当、
五輪はどうなるんでしょう
開催派のアナタも
中止・延期派のあなたも
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