術後の体を引きずって
コロナワクチンの接種を
受けてまいりました。
最後の悪あがきで
担当の看護師さんに
「あの、でも私、本当に
こんな状態で
ワクチンを打ってもらって
大丈夫なんでしょうか」
「・・・お医者様たちは皆
『打って問題なし』って
仰ったんでしょう?」
「そうなんですけど。
手術担当のお医者様も
かかりつけのお医者様も
『病弱者にワクチン打って
重篤な副反応が出るとか
データねえから』とか
『術後だからってそこで何を
ためらうのかわからない』とか・・・
でも私、ご覧のように今、
かなり弱々しいでございましょ?
ワクチンは筋肉注射だって
聞いていますけど、その
肝心の筋肉が現在
完全に身体から失せている
有様なんですが・・・本当に
大丈夫なんでしょうか?」
看護師さんは
私をまじまじと見ると
「確かに今のアナタはとても
脆弱な状態にあると思います。
でもね、逆に今その状態で
万一コロナに感染して
重症化したらかなり
恐ろしいことに
なると思いませんか」
「思います。実は今でさえ
まだ深呼吸が出来ないんです。
間違いなく呼吸器の
お世話になる実感があります」
「そう考えると
Norizoさんの場合は
副反応のリスクを
取るほうが得策かと思います」
・・・なるほど・・・
なお私の受けたワクチンは
「ご存知のように血栓懸念が
存在するワクチンですが、
Norizoさんの年齢だと
そうした問題が出る危険性と
コロナに感染して重体化する
可能性を比較すると
ワクチンを接種することの
利益が上回りますので。
ですが念のため
頭痛には気を付けてください。
経験したことのない頭痛が
出たらすぐにかかりつけ医に
連絡をしてください」
というわけで上着を脱いで
左腕を看護師さんに
差し出したのですが
・・・なんというか
骨にかろうじて皮が
張り付いている、みたいな
わが二の腕を見て
看護師さんたら
「・・・本当に筋肉が
落ちていますね!」
「言ったじゃないですか!
で、筋肉注射を打つ先が
わが腕には実際に
存在しているんでしょうか」
「それは大丈夫ですよ。
あと・・・すごい乾燥肌に
なってしまっているんですね・・・」
ええ・・・
もう全身粉雪まみれ
(間接表現)なんです、今・・・
「でもその・・・筋肉注射で
肝心の筋肉がなかったら
やっぱり痛みは
激しくなるものなんでしょうか」
「いえ、今回注射針が
かなり細いので
注射自体の痛みは
それほどでもないんですよ」
・・・嘘だね!信じない!
だって筋肉注射って
滅茶苦茶痛いって噂じゃん!
腸捻転(痛い)からの
開腹手術(痛い)に伴う
数々の注射・点滴(痛い)を
超える痛みが今から来るのか・・・
健康な時ならそういうのも
『稀な経験』として
楽しめるかもしれないけどさ・・・
私は今ヨワヨワだからさ・・・
「はい、じゃあ打ちますよー」
せめて気合だけでも負けまいと
「了解!バッチ来い!」
よし、ここからガツンと来るぜ!
ガツンと!
ドカンと!
ボカンと!
・・・あれ?
看護師さん、どうして私に
背中をお向けになるの?
「え?注射は?」
「無事完了ですよー」
えええっ!
というわけで、
コロナワクチン注射、
全然痛くありませんでした・・・!
いやもう痛みがなくて逆に怖い。
どんなに上手な
お医者様・看護師さんでも
採血注射の時は
「ちょっとチクッとします」って
『チクッ』って感覚は
あるじゃないですか。
その『チクッ』さえなかった、という。
そんなわけでワクチン接種
(第一回目)を無事に完了した私です。
「なんというか・・・肩透かし、
まで言ったら
不謹慎かもしれんが・・・
筋肉注射だから痛い説は
何だったんだ・・・」
呟く私にすでに
ワクチン接種済みの
わが夫(英国人)が
「でしょう?何これ、楽勝!って
感じでしょう?でも僕は
そう思った翌日に
熱と倦怠感が出ましたからね」
そんなわけで油断は禁物。
しかし正直
熱・倦怠感・トカゲ化は
私は怖くない!
恐ろしいのは咳です!
あ、あと頭痛も!
それにしても
ワクチン接種会場は
合理性と効率性という
普段の英国暮らしでは
なかなか経験できない
見事な段取りの成果が
結晶したかのような現場でした。
いざという時にこれが出来る、
これが大英帝国の底力か・・・
何故普段からこれを目指さない・・・
というわけで副反応を
ドキドキしながら待つ身です。
咳さえ・・・
咳さえ出なければ・・・!
万一トカゲ人間になる場合
「尻尾は細くて長め希望だったが
脚がこんなに細くなってしまった今
(マウンティングに聞こえたら
ごめんなさい、全然美しくない
仰天のやつれぶりなので
どうかご安心ください)
太くて短めのほうが安定感も
あっていいかもしれんな」
とかなんとか言っていたら
それを聞いた夫が真顔で
「でも君、今、乾燥肌が
行き過ぎて全身脱皮状態に
なっているでしょう?
副反応を待たずして
トカゲ化っていうか今すでに
かなりトカゲに近い状態なので、
副反応が起きたら逆に
トカゲから人間に
なるんじゃありませんか?」
無駄口を叩く余裕の出てきた
Norizoさんに
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