夫(英国人)の

2011年新年の誓い

日本語の勉強をする


「そうは言っても、夫よ、君も

今までまったく日本語を学んで

いなかったわけじゃないしな」

「ええ、でも、このたびはしっかり

基礎からやり直そうと思います」


その心構えはいいことだと思います。


というわけで、

テキストを本棚から引っ張り出した夫は

朝っぱらから大きな声で

「あー!いー!うー!えー!おー!」


・・・そこまでの基礎からですか!


まあそれはそれで正しい姿勢。


納得する私の目の前で

夫は元気に発声練習を繰り返します。


しかしどうも夫の節回しが独特で・・・


ア行の発音で説明しますと

ああ!(電車でばったり

知人に会ったときのように)

いっ!(何故か『つまる』)

うーう?(どうしてか語尾が上がる)

エエエー!(拗ねた子供のように)

オウ!(とても、とても外国人ぽい)」


「・・・夫よ、まあその・・・ともかくだ、

『ア』の発音は

もっと口を大きく開けたほうがいいぞ」


寒冷地出身なためでしょうか、

夫は英語でもいまひとつ

大きく口を開けて

言葉を話すということがないのです。


イウエオ」が

イウエオ」に近くなる、というか。


「僕としてはちゃんと口を

開けているつもりなんですけど・・・

ちょっと実際にやってみてもらえますか」

「いいぞ。『ア』」

「アー!」


「よし、うまいぞ、次は、イ!」

「イッ!」


「・・・だから何故つまるんだ?

まあいい、はい、ウ!」

「ウー!」


「よし、エ!」

「エエー!」


「だから何故不服そうなんだ、オ!」

「オー!いいですね、

なんだか楽しくなってきました!

次、カ行お願いします!」


こんな感じで

ア行からヤ行まで勉強は進み

「じゃあラ行の見本ね、

『ラ、リ、ル、レ、ロ』はい!」


「・・・あの、君の発音だと『ラ』が

『R』じゃなくて『L』の発声なんですけど

(つまり発音の際に口内で舌が

上顎にくっつく形になる、ということ)」


「ほら、いつも言っているように

日本語に『L』と『R』の区別はないんだよ」


「でもテキストには『ラ』は『Ra』と

表示されているんです」

「うん、だから『R』の発音で

『ラ』といっても間違いじゃないよ」


「でも君の発音だと明らかにそれは

『R』じゃなくて『L』なんです・・・

日本語で、『ラ』から始まる言葉を

発音してもらえますか?」


「『ッパ』、『クダ』、『ンドセル』」

「『L』です、絶対に『L』です。

音の響きも舌の位置も『L』です


「じゃあ『ラ』は『L』で練習しておけ」

そうはいかないでしょう!

教科書では『R』なんですから!

発音が『L』ならどうしてラ行を

『La、Li、Lu、Le、Lo』

と表記しないんですか?」


知りませんそんなことっ!


・・・と、投げてしまいたい

今日この頃ではありますが、

やはりここは夫の向学心に応えるのが

妻としての役目だと思う・・・


思うんですけど・・・


これ、どう説明したらいいのでしょうか・・・



日本語マスターへの道のりは、遠い

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