と、いうわけで、

祖父に対するわが犬の愛について

昨日の記事 の続きです)。


まあ私もいい年をした

科学立国日本出身者ですので

前世とか来世とか

そんなに信じてはおりませんから

皆様も軽い気持ちで読んでください。


もちろんわが祖父(東京在住96歳)に

「お祖父様、私の前世は

お祖父様に虐げられた

例の犬だと思うんですぜ、ワン」

なんてことは

一度も言ったことはないわけですよ。


さて先月の東京滞在最終日。


荷造りを終え、

成田空港まで送ってくれるという

弟とその新妻を車で待たせ、

私は祖父の病室に向かいました。


部屋のドアを開け、

ベッドに横たわる祖父の

顔を見るなり、わが涙腺大決壊

耐涙構造がなっとらん、

これは手抜き工事、

偽装建築じゃないでしょうか!

みたいな。


祖父と二、三言葉を交わしただけで

私は溢れ出る涙と鼻水を持て余し

みっともないことこの上ない!という。


わしわしティッシュペーパーを

大量消費する私を

しばらくじっと見詰めていた祖父は、

小さく息を一つつくと

とても静かな、しかし厳しい声で

「おい。ところでな、

俺に今度何かあったら、そのときは、

お前は帰ってこなくていいぞ」


えっ。


私はてっきりいつものあの

『今度はいつ帰ってくる、来月か』

攻撃がくるものと

予期していたのですが!


驚きのあまり相槌も打てずに

ズルズル鼻水を流し続ける私に

祖父は続けて

「何か聞いても、帰ってこなくていい。

エゲレスでの生活を、

夫との生活を優先しろ。いいな」


「いえ、ですがそれは・・・」


「もういい。俺は・・・俺達は、

もうじゅうぶん会っただろう」


・・・そんな!


何をおっしゃるんですか、

じゅうぶんなんてことは、

それはまったくないですよ!


そりゃ私の前世を犬と仮定したら

犬の一生三回分の年月は

一緒にいさせていただきましたけど!

こういうのは

数字の問題じゃないじゃない!


しかし私の抗議の言葉は

涙と鼻水に呑まれて声にならず。


「いいか。わかったな。

俺達はもう、じゅうぶん会った。

だから帰ってくるな。いいな。

・・・ありがとう、もういいからな」


そして祖父は病身から何故

そんな強い声が出るんだという

きっぱりとした大声で

「よし。じゃあ行け!

エゲレスで楽しく元気に暮らせ!

いいな!行け!ありがとう、

ほら、何をしている、行け、行け、行け!」


何ですか、その

『ゴー!ハウス!』の指示!


そんなことを

そんなばっしり言われたら

どんな駄犬だって

駆け出すしかないじゃない!


というわけで

私は盛大にメソメソ泣きながら

弟の車に乗り込んだのでした。


『まあお姉ちゃんが泣くのは

想定内だから。

しかしお祖父様が泣かなかった

というのは流石だな、すごいな』

とのお言葉とィッシュペーパーを

弟からはいただきました)


(弟はともかく、弟の新妻には

あれはホラーな状況だったと思います、

だって気心の知れない大きな小姑

顔面を大根おろし状態にして

後部座席で咽び続けたんですよ

・・・どうもすみません、

夢に出ていないことを祈ります)


ともあれ、あれから数週間。


英国に戻って以来

当然毎日東京に

電話をかけている私ですが、

「今度いつ帰ってくる」

の一言は、

一度も祖父の口からは漏れません。


「これは奇跡なんです。

生きているのが不思議な状態、

数値的には

完全に危篤状態なんです」

と主治医に宣告されている

体調であるにもかかわらず

祖父は毎回大きな声で

「俺は元気だ!大丈夫だ!」

と私に言ってくださいます。


そして、

「俺は大丈夫だから心配するな!

お前はそっちでちゃんと

元気に楽しく暮らせ!」と。


そうして私は思うのです、

こんな見事な勇気と意地を

ここまで見せ付けられてしまったら、

それはどんな愚かな犬だって

全身全霊をかけて楽しく元気に

生きていくしかないじゃないですか!


本当は飼い主の足元に

駆け寄りたくてたまらないけれども、

その膝にじゃれつきたくて

たまらないけれども、

根性で『ステイ』を

保つしかないじゃないですか!


それが犬の矜持というものでしょう!


というわけで現在私は

歯を食いしばって英国で

楽しく元気に暮らしています。


しかし所詮、駄犬は駄犬


ウフフ・・・


6月の飛行機チケット、

さっき買っちゃったのよね・・・


帰国予定は

祖父には内緒です。


(容態が安定しているときに

お伝えすることになっている)


でもまあ、何と罵られようとも

帰っちゃいますから!

帰っちゃえばこっちのものですから!


こういうふうに

まとわりつかれるのが嫌ならば、

最初から犬にキビダンゴなんか

与えちゃ駄目だという話ですよ!


ワンワン!


というわけで、

皆様も愛情を向ける対象には

気をつけましょう、

相手が私のように粘着気質だった場合

執拗に付きまとわれる可能性が高いです。



醜女の深情け、という言葉が

心をよぎる今日この頃です


ワンワン


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