<あらすじ>
『怖いと思われている稲荷の誤解を解いてほしい』
その言葉と共に、六甲山の高取神社で
「神様」という存在に、前よりも強く接続してもらった私。
前からついていたという高野山の清高稲荷大明神さまの
子狐眷属の姿も確認できるようになり、
奇妙な共同生活(?)が始まっていた。
そしてその子狐眷属の故郷、
高野山の清高稲荷大明神にお参りに行った際に
「お祭りをしてほしい」と無茶ぶりをされた私だが……
***
高取山に行った時は「ここめっちゃ伏見っぽい!」と思い、
こんなに濃ゆく稲荷を感じられる場所が六甲にあったなんて……
そんな風に思ったけど。
また1ヶ所、六甲に稲荷を感じられる場所を思い出し、そこに向かっていた。
菊「だいぶ明るくなってきたね……日の出、間に合った〜。で、寒いな!」
子狐1「家を出た時は真っ暗だったもんね」
子狐2「お月様がきれいで輪っかがかかってたね♡」
始発の次の電車に乗って、私が向かったのは神戸の元町駅。
そこから山手にまっすぐ上がった場所に、その「六甲山の稲荷な場所」はある。
諏訪神社。
以前、仲間との山歩きの下山時に通ったことのあるお稲荷エリア。
急な坂道と階段を上ると、もう社務所に灯りがついていた!
菊「神社さんの朝は早いな……でも安心する♪」
境内で話されている方に挨拶をして、本殿の拝殿で二礼二拍手一礼。
菊「……ここにお稲荷さまがいてはるのかな?」
こちらの御祭神は、諏訪神社なだけに建御名方大神。
そして宇迦之御魂大神もいらっしゃる。
中心となる境内のお社に参拝して、
日の出の見られそうな場所を探し、日の出待ち。
すると空が上がるく照らされてきて、ちょうどビルの上に被さるようなご来光が。
その朝日が境内を照らす。
菊「社務所に朝日の光が反射してる! ここいい場所だなー」
その社務所の後ろの上にも鳥居や小さなお社が見えた。
子狐1「あそこに上ってみようよ!」
子狐2「早く早く!」
子狐眷属たちは朝から元気である……。
でも朝日はグングン上っていくので、上からの景色も見たくて急いで上がった。
菊「わーーーー。……めっちゃきれい。すごい光やね」
上のエリアには、小さな稲荷社が斜面に並んでいる。
ちゃんと眷属も置かれていて、みんな朝の光の中にいた。
目に見える範囲での一番端っこの稲荷社。
眷属がとても上品で、一般的に販売されているようなものではない。
菊「………素敵な眷属さま。写真撮りたいけど……
初めてだし、今日はやめておこうかな」
そんな風に思った時に、撮って欲しいという言葉が伝わった。
その端っこの稲荷社は、きれいな朱の鳥居もあったけど、
鳥居額が朽ちて、名前がわからなくなっていた。
子狐1「名前が見えなくなっても、
お稲荷さんって呼ばれるのは嬉しいって言ってるよ」
子狐眷属が通訳をしてくれる。
子狐2「でも本当は……名前で呼ばれたいって」
急にぶわっと涙が出た。
子狐1「だから今、名前のある稲荷は、
その名前が忘れられないように……」
子狐2「守り伝えて欲しいって」
写真を撮らせて頂いたその眷属たちは、柔らかで優しい表情に見えた。
菊「ありがとうございます。教えてくださって。
ちゃんとその言葉、伝えますね」
鳥居額は壊れているけど、朱の鳥居は新しいし、
このお社の中にはこの稲荷神の名もちゃんとあるのだと思う。
ふと源九郎稲荷大明神のことを思い出した。
とよさんが発見した『静守大神』の扁額。
源九郎稲荷大明神の元の名前なのでは、と、とよさんは書かれていた。
『静守大神』という名前は、見えない場所に隠されていたけど
でも「源九郎さん」って、今ではたくさんの方に愛され、
呼ばれている源九郎稲荷大明神。
菊「源九郎稲荷大明神はもう名前を伝えてくれる人達がいるから、
きっとそれも喜んではるんだろうな」
神様にとっても「名前」というものは……
「名前」で呼ばれるということは、大切なことなんだなと思った。
優しい端っこの稲荷神さまに「また来ますね」と伝え、
また拝殿エリアに戻ろうとした。
いくつもあるお社に朝日が射して、輝いている。
小さな稲荷社にも光が当たるように山の斜面に配置されていて。
大切にされているんだな……ここの神様たち。
そんな気がして嬉しくなった。
光の強さを増しながら上昇する太陽の方向を目指して、
また拝殿への階段を降りる。
昨日来ようかなと思ったけど、雨予報だったから……
菊「今日にして大正解だったね♪」
やっぱり稲荷神は「晴れ」なんだよなーと、また思った。
拝殿の龍の彫刻の目に光が映り、輝いている。
誰もいない拝殿に戻り立っていると、
朝日があたってポカポカと身体を温める。
菊「最高やな……めっちゃあったかい✨」
気温の低い中でそのポカポカを受けながら、
何か言葉を頂こうかなと佇んでいたら、
そこに神様が現れた……
菊「宇迦之御魂大神さま……?」
でも姿がなんか……チャイナ風???(麻呂眉毛じゃない!)
???となっている私にその神は声をかけた。
「よっ」
菊「うわ!」
この挨拶…………………
一番最初に高取神社で、豊受姫命が発した第一声と同じ💧
「你早(ニイツァオ)」
さらにその神は中国語でおはようという挨拶をした!













