「花粉を水に変えるマスク」行政処分… 消費者を取り巻く広告表示の問題点を考える | かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき

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7月4日の話ですが、こんなニュースが話題になりました。

 

「花粉分解」マスク “根拠認められない” 消費者庁



これは昨年の春くらいから一部の医師や科学系有識者の間では結構話題になっていた

『花粉を水に変えるマスク』

 

という製品とその類似製品について

 

消費者庁が公式の見解を発して、

 

「上記の表示内容を即刻取りやめ、今後再発しないように務めること」

 

という行政措置を行ったというニュースでした。

 

 

 

今回はこの一件を詳しく取り上げて、

 

消費者を取り巻く広告表示の問題点について深く考えてみたいと思います。

 

 

 

◎「花粉を水に変える」「花粉を光で分解」…科学的根拠なし!?真相



今回行政措置を受けたのは、

 

以下の四つの会社とそのシリーズ商品です。

 

主なアイテムを4つを消費者庁の公式公開資料から抜粋してみました。

 

 

まずDR.C医薬『花粉を水に変えるマスク』

 

 

アイリスオーヤマ『光の力で分解するマスク』



大正製薬『パブロンマスク365 光触媒で分解!』


玉川衛材『フィッティ 吸着分解マスク』




この四つのメーカーとこのシリーズ商品に表示内容の取りやめと今後の再発防止という行政措置が下っています。

 




これ、実は去年の春くらいに凄く我々界隈では話題になっていたもので、

 

まぁ「マスク」なので化粧品や美容系とはちょっと毛色が違うかなと思って僕は静観していたのですが…

 

美容皮膚科の五本木クリニックの院長先生が広告表示を批判する内容の記事を書いたら運営元から集団訴訟すると脅されてしまうなどの押し問答が繰り広げられていたり、、

 

中々の乱闘っぷりだったのですが(^^;)

 

 

ことの顛末は山本一郎氏の記事にまとられています。

 

問題が指摘された「花粉を水に変えるマスク」の経緯と顛末(追記あり)




まぁ控えめに言って、

 

これらの花粉分解系マスクはある程度の科学知識があれば

 

『まずあり得ない』

 

と判断できるものだったんです。

 

 

 

そのため、昨年春にもの凄く宣伝していた理由から多くの知識人から凄く批判されていた商品になります。

 

 

ちなみに今回の一件に関わっている4社の商品は、実際には全部同じメカニズムというわけではありません。

 

 

ひとつが「花粉を水に変える」と標榜されていたマスクに使われている『ハイドロ銀チタン』フィルターを採用したマスク。

 


あとの三つの製品は全て同じ『光触媒チタンアパタイト(酸化チタン)』フィルターのマスクです。



上の商品は「光不要で花粉などのタンパク質を分解して水に変える」と説明していました。

 

下の商品他二つは「光の力で花粉やウイルスを分解します」と書いてあります。

 

 

 

 

まぁ正直花粉を水に変えるマスク以外の「酸化チタン」の抗菌効果ってのは昔から有名で、

 

今更話題に挙げるものでもないと思うのですが…。

 

アナターゼ型という特殊な結晶構造を持つ酸化チタンは、光を当てることで物質の酸化反応等の化学反応を触媒する力があります。

 

紫外線による酸化反応を活性化するので紫外線の当たる環境であれば、

 

有意な抗菌効果を示す可能性はあるでしょう

 

(あ、ちなみにこの「酸化チタン」は化粧品に配合されている『酸化チタン』とは結晶構造が違っており、化粧品用のものはルチル型という光触媒効果をほぼ持たない不活性型のものが使用されています。)

 

 

 

ただ、ウイルスくらいの極小の微生物になら多少効果はあったとしても、

 

花粉ほどの巨大分子を分解するにはかなりの時間がかかるので

 

四六時中吸引蓄積してくる花粉を次々に分解できるほどの効果は見込めないよね、というのが

 

普通に考えて思う部分です。

 

 

 

消費者庁も恐らくそのように考えたのだと思います。

 

 

こっちに関してはまぁ広告表示の仕方によってはなんとなかならないこともないのかな?という気もしなくないです。

 

(ただマスクは医薬品じゃないので「抗菌」「殺菌」とかそういった表示は出来ませんから、「光触媒チタンアパタイト配合!」くらいまでしか言えなさそうですけどね。)

 

 

なので大正製薬とか玉川衝材が一見往生際の悪いコメントを発している理由がなんとなく分からないこともないです。苦笑

 

 

でもどう見ても現在の広告表示は適切ではないと思います。


 

 

 

ただこの一方で、

 

『花粉を水に変えるマスク』については、完全にギルティかなと僕は思っていて、

 

 

こっちはハイドロ銀チタンという成分で「光がいらない触媒」だそうです。






光が要るか要らないかは置いておいて、

 

多少のタンパク質分解作用は銀やチタンとかの活性化状態の金属があればまぁ否定は出来ないのですが、

 

「花粉」を「水」に変える

 

のは化学原理上不可能だよねと

 

化学かじってれば(中学2年レベルの知識があれば)誰でも思うんじゃないか?と感じます。

 

 

 

 

花粉っていうのは様々な『タンパク質』を含んでいるのですが、

 

タンパク質というのは、控えめに見て「水素」「酸素」「炭素」「窒素」「イオウ」などの複数の化学元素で構成されています。

 

 

化学反応の基本を考えると、

 

「水(H2O)」に変えるということは元々の物質はH(水素)とO(酸素)のみで構成されていないと、

 

原理上無理です。

 

 

本当に花粉を水に変えたとしたら、

 

炭素と窒素とイオウはどこに行ってしまったの??となります。

 

 

(もしこれらの原子を消し去った場合、核爆弾にも応用されている原子崩壊が起こっているということになるので、そこでは莫大なエネルギーが発生してマスクに花粉がついた瞬間に大爆発が起こるということになります。そんなバカな。)

 

 

で、実際の資料を見ると、これは上記の山本一郎氏の記事に引用されている資料ですが、

 

 

タンパク質の化学反応式としては超絶お粗末な式(タンパク質を「R-H」と表記するのはヤバい)が書かれていて、

 

結果「CO2+H2O」「他にNH3(アンモニア)、NOx(窒素酸化物)、SOx(硫黄酸化物)」が出てくると書いてあるではないですか。

 

 

 

つまりこのマスクの効果が本当だとしたら、

 

実際に表記すべきは

 

「花粉を二酸化炭素と水とアンモニアと窒素酸化物と硫黄酸化物に変えるマスク」

 

だと思います。

 

 

 

これならタンパク質の分解生成物としては十分な説明と言えます。

(少なくとも「水」だけは無理だし、「水と二酸化炭素」でも説明不足。)

 

 

ただこれは光触媒も多分おんなじことが起こると思いますが、

 

誰がアンモニア窒素酸化物硫黄酸化物が発生するマスク付けたいと思うかって話ですよね。

 

だってこれ全部毒ガスだし…。。

 

 

 

 

下手したら花粉やウイルスよりヤバいでしょう。

 

 

 

 

 

だから、本当に効果があったとしたら危険極まりないマスクということになるので、

 

このマスクには十分なタンパク質分解作用はそもそもあってはいけないんですよね。

 

 

 

ということを考えると

 

あたかも花粉を分解して無害化するようにミスリードするこの表示が適切ではないと判断されるのは当然であり、

 

まともな知識あれば『そんなわけないでしょ』と思えるはずなんです。

 

 

 

 

 

まぁ「花粉を水に変えるマスク」以外はここまで怪しい広告表現はしていないので、

 

同じにされるのは気にくわない気持ちも分からなくはないですが。

 

 

ただこれを考えるとホイソレと花粉を鼻の間近で分解されても困りますので、

 

結局上記の製品は全部怪しい商品極まりないなぁと個人的には思います。

 

(大正製薬さんも玉川衝材さんもうだうだ言ってないで早く対応した方が良いと思います。苦笑)

 

 

 

 

◎これらの不当表示は氷山の一角…!?怪しい商品に騙されないためにも

 

 

 

 

というわけで僕なりにこの花粉分解マスク事件についてまとめ直してみましたが、

 

今回の件で1番重要視しないといけないのは、

 

こういった事例は決してこれだけにとどまらずもっともっと沢山あるということです。

 

 

そして、

 

この件は既に昨年の春に有識者間では大きく問題視されていたにもかかわらず、

 

行政措置が実際に行われたのがようやく1年以上経った今なんです。

 

 

 

これまでの1年間で、このような表示を少しでも信じて購入した消費者がどれだけいたのか。

 

そしてこのような商品を発売している企業がこの間どれだけの利益を得たのか。

 

 

 

 

今回行政処分を受けた企業は公式の罰則や罰金はありませんし、

 

まぁ消費者から民事訴訟を起こされれば分かりませんが

 

基本的に返金や返礼品の対応する必要性もありません。

(まぁ株の下落はあるので大企業であるほど打撃はあるでしょうが)

 

 

 

実際、企業はこういった製品のキャッチコピーを作る際に、

 

最初はわざとこういったちょっとルールを無視した攻めた広告を打ってくることがあります。

 

 

これは後で今回のように不当表示が摘発されたとしても、

 

行政処分に従って適法の範囲で広告内容を見直せば大した罰則はないからです。

 

 

今回はかなり大きく問題視されたということから

 

消費者庁が大きく動いてニュースになってはいますが、

 

別にニュースにならずに一般消費者の知らない内に終わっているケースっていうのも数多くあります。

 

 

 

 

そういうものを野放しにしてはいけないと僕は思うし、

 

ちゃんとしたルールに則って商品を作って販売しているクリーンな企業の立つ瀬がありません。

 

 

そして消費者も無用な出費を強いられるし、

 

もし危険な製品であれば危害を被るリスクもあります。

(今回はあくまで製品は安全で、広告内容が怪しかっただけですが)

 

 

 

 

企業は常にはじめから広告表示法や薬機法などに則ったクリーンな広告をするべきだし、

 

消費者は、そういった怪しげな広告に騙されないリテラシーを必ず持つべきです。

 

 

 

 

あとドラッグストアや小売店も、こういった製品をちゃんと仕分けして欲しいなと思います。

 

前の怪しい商品シリーズもそうなんですが、

 

続・怪しい商品買ってみた -成分は『水』だけ?魔法のミスト【ピュアイオンミスト】の正体とは-


どうみても怪しい商品を平気で店に並べないで欲しいなと…。苦笑

 





そして、

 

消費者の皆さんに強くお伝えしたいこととしては、

 

たとえドラッグストアに普通に並んでいて、

 

さらにテレビCMや電車広告などで大々的にPRされている商品であったとしても、

 

必ずしも正しい広告がなされているとは限らない

 

ということを常に意識して欲しいです。



すごく話題になった今回のマスクですら、

 

市場に並んでから1年以上経ってやっと摘発されています。

 



「CMしているんだから本当に違いない」とか、「ドラッグストアに並んでいるんだから信じられる」とか、

 

それは非常に甘い考えです。


商品を売る際には別に広告フレーズや商品の表現内容について予め行政に確認を取る必要はありません。

 

常に行政の捜査は「通報ベース」で、第三者から通報があった時のみ動きます。

 

つまり必ず後出しなんです。

 

 

 

通報があるまでは誰も消費者を守ってはくれないし、誰も指摘してくれないんです。

 

自分の身は自分で守るしかありません。

 

 

 

今、こういう悪質な広告を我が物顔で打ってくる企業をのさばらせてしまっているのは、

 

誰でもない我々消費者であるということを誰しもが意識しなければならないと今回僕は強く感じました。

 

 

 

 

 

本当に今回のような一件は氷山の一角で、

 

化粧品や美容関係の商品に関してはそれは数え切れないくらい見てきました。

 

 

 

必ず注意して欲しいと思います。

 

 

そのためにも化学とか学校で習う基礎的な勉強というのは本当に役に立ちます。

 

自分が消費者として安全に安心して損をしない生き方ができるように、

 

こういった基本的な勉強は常に大切にして欲しいなと思います。







 

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