月の子 清水玲子 | [ridiaの書評]こんな本を読んだ。[読書感想文]

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ひさしぶりに読むと新たな感想が湧いてくる。
読むタイミングや年齢で感じるもの、見えるものが変化するからなんだろうね。

それなのに、何度も読んでいる作品ほど感想記事を書いていない。
『月の子』も幾度となく再読しているのに感想記事が無い。
以前はどう思ったのか、あやふやな印象だけしか残ってないのは残念。


これからも何度も読むだろうから、そのとき比較できるように、今のわたしの読んだ感想を書いておこう。





全体
むかしは反原発のイメージが強かった。多分同時期に山岸凉子『パエトーン』広瀬隆『危険な話』などを読んでいたからだと思う。テーマ的にマイブームだったのかも。
今読了してみても、やっぱり「もうそんなこわいユメは忘れておしまい」には背筋が凍る。こわいユメのガスマスクで演奏する音楽家が今現在に重なる。
草木生えない死の惑星になる、という予言は200年の後のこと。22世紀にどうなっているのか。

それはそうと。
スルーしてて忘れたけど、これは『人魚姫』の物語だった。
次世代の人魚姫 ベンジャミン セツ ティルト その中で選ばれたのはベンジャミンでまたも人間の王子様に恋してしまったのだけれど、選ばれなかったはずのセツもティルトも命がけの愛を受け取ることができた。次世代の人魚姫たちはみんな愛された。

それにつけても月のサカナの恐ろしさよ。
腹にぶっ刺して(よゐこ濱口が)「獲ったどー!」できるのは、水中のサカナが悲鳴をあげないからなのかもなぁ。




ジミー(ベンジャミン)
泣きすぎ。
清水玲子作品の登場人物は老いも若きも男も女もよーく泣くけど、その中でもジミーは泣いてないコマの方が少ないんじゃないか?ってほど泣いている。
ティルトがむかつく気持ちがわかる。
しかし少年ジミーの可愛いらしさ、美女ベンジャミンの麗しさにクラクラしちゃう。
「可愛いは正義」
美の暴力。
画力でぶん殴ってくる。倒される〜
月での言動とか噴飯ものなんだけど、あの美しさには抗えない。


アート
わりとガチのヘンタイさんなんじゃないかと思う。
息子や弟みたいに可愛がっていた子どもに対するスキの種類がああなってこうなるのがこわい。
ホリーという恋人を擁したままであの結論に達するヤバい男。
カルメンのダンスシーンが最高。


ショナ
徹頭徹尾見た目重視で恋愛する男。
女体化しなくても(対ショナの)セツの美しさ愛らしさは飛び抜けていたのでベンジャミン超えに納得せざるを得ない。
異星人の(アスガルド)の恋人ユリカはちゃんと可愛らしく見えていたんだろうか。
セイラの血統しか人間らしく見えなかったとしたら気の毒。


ティルト(ギル・オーエン)
真ギルがかわいそうすぎる。
ギルのビジュアルはTMNのウツっぽいなあと見るたびに思うけど、デュランデュランのジョンがモデルらしい。清水玲子作品のサングラス男性も木根さんとは関係ないんだろうな。
セツへの執心をのぞけば、リタのこともほんのり愛してたんじゃないかと思う。プライドの高いティルトは絶対に認めないと思うけど。ティルトを全身全霊で愛してくれたのってリタだけなんだから、絆されると思う。




ホリー
登場人物で唯一といってもいいリアルな人間。
卑屈になった恋人とは別れるだろうし、あんな感じでヨリを戻すこともあるだろうなぁ。
昔は「嫌な女!」と思ったけど、リアリストで好きだ。



リタ
始末しちゃえば簡単なのに風光明媚な別荘地に送られた彼女はそれなりにティルトに愛されていたと思う。きっと思い込みだけじゃない。狂信的な愛情がホラーチックだけども。



ショナのバイト先のバーのマスター
ショナ目線の象さんもかわいい。
口が臭いのを気にしているらしい。かわいい。

ここの店内のやりとりはみんな好きだった。

お客さんなのに働かされる常連さんも好き。


ノエラ
ショナに振り回された人魚。
人魚のコミュニティは女余りっぽかったけど番いは見つかっただろうか。
人魚の生態からして繁殖システムとしては一夫一婦制はリスキーじゃないか。多夫多妻制でタマゴの受精率をアップさせるべきな気がする。大きなお世話か。




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