血まみれの親友。
楽しい家族旅行のはずだった。
幸福な時代の終焉。
優しかった父母はどこに?
笑いあったあの子は?
泣いていたあの子を、ぎゅっと抱きしめて慰めた、あの甘い日々は?
めまぐるしく訪れる大人たち。
気遣わしげな目。腫れ物を触るような遠慮がちな目。畏れているような目。
なぜそんな目で見るの?
新しい家庭。
新しい生活。
新しい世界。
うまく息ができない。
話が通じない。
何も届かない。
穏やかな生活。
無味無臭の生活。
規律正しい生活。
新しい父母との毎日。
泣いても慰めてくれる子はいない。
ある日、あの日から続いた日常が、また、崩れ。
世界から色彩が消え。
吐息から希望が消え。
時計の針がゆっくり、ゆっくりと、ゆっくりと、大切な何か、大事な何かを削ってゆく。
濁って腐って、慣れて。
もうこれ以上はこれ以下は無いと思っていた。
刹那。
閃いた風が、更なる希望を、更なる絶望を、未来を見せてくれた。
ああ、終わりじゃないんだ。
もっと深いふかいふかい……深い、深淵があった。
見えてしまった。
これからが。
踏み出そう。
この地獄から抜け出せるのなら、歩き出したその先が違う地獄でもかまわない。

ドラロージュ
『若き殉教者』

ミレイ
『オフィーリア』

