なかでも チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷は内容もさることながら、タイトルの美しさに心惹かれる1冊です。
中世ヨーロッパは血と快楽とに彩られた、「ものがたり」の舞台としてはぞくぞくするような魅力にあふれています。
(もっともその時代に生きるのはまっぴらごめん・・・庶民なら地獄だし貴族に生まれてもとうてい安寧な生活は望めない・・・)
チェーザレ・ボルジアといえば
ローマ法王の庶子で
枢機卿で
弟殺し(たぶん)で
稀代の美女である妹ルクレツィアを政略結婚の道具につかいまくり
イタリア統一&統治を夢見た・・・
なんだか織田信長に通じるところのある生涯を送った人です。
英雄とも極悪人ともいわれていますが、燃え上がる自らの野望にその身を灼かれるように走り抜けた姿は、かなり魅力的。
地中海の青い空の下で「善い」ことも「悪い」ことも果断におこなったチェーザレ・ボルジアは、絢爛たる輝きで他を圧倒したに違いありません。
レオナルド・ダ・ヴィンチに代表されるルネサンスに花開いた芸術は今も人々の心を捉えて離しませんが、テェーザレ・ボルジアはその生き方が芸術だったのだとおもいます。

塩野 七生
塩野七生ルネサンス著作集〈3〉― チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷
