「静」への挑戦 | ショピンの魚に恋して ☆羽生結弦選手に感謝を込めて☆

ショピンの魚に恋して ☆羽生結弦選手に感謝を込めて☆

清冽な雪解けの水のようにほとばしる命の煌めき・・・
至高のアスリートにしてアーティスト、
羽生結弦選手を応援しています。

「フィギュア・スケート → 西洋のもの → バレエを習ったら鬼に金棒なのに・・・」これまで何度も結弦くんの演技を観ながら、自分なりに欲をかいて、どうしたら美しい演技がさらに美しくなるのだろう、などと想像を巡らせていた。

彼には事あるごとに良い意味で期待を裏切られてきた。今、彼の演技を美しく見せているのは、西洋的な美ではなくて、日本の美意識「わび・さび」の世界かもしれない。

「侘び」は元々「侘しい、悲しい」を意味し、「寂び」もまた「寂れてゆく、廃れてゆく」という、どちらも否定的な感情表現の言葉である。

ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ (紀友則)

こんなにものどかな春の日に、何故、桜の花は散ってしまうのだろう・・・。

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桜は散るからこそ、美しい・・・。日本古来の美意識は、見た目の華やかさではなく、こうした移りゆく様、滅びゆく枯淡の世界に独特な色彩を見出してきた。この感覚は西洋の文化との決定的な違いかもしれない。

淡雪、おぼろ月夜、陽炎、名残り雪、花曇り、花冷え、蝉しぐれ、待宵、小春日和、木枯らし、樹氷・・・季節を表す言葉一つ取っても、これほど多彩な言い回しを持つ言語が西洋にあるだろうか・・・。

移りゆく宿命の中に見出す寂寞な「静」の世界。それこそ、今、結弦くんが向き合っているテーマかもしれない。

フィギュア・スケートという西洋的な「動」のスポーツの中に、彼が今、切り開こうとしている新しい「静」の世界への挑戦。

野村萬斎さんとの対談の中でいろいろなヒントを得たのだろう。この短期間の間に今日の「バラード1番」は驚くべき進化を遂げていた。

あくまで「静」を強調するための「動」の動き。能や狂言を実際に習った訳ではなくても、彼ほど豊かな感性を持った人なら一を聞いて十を知るどころか、百を知ることが可能である。

彼にとって「静」はいろいろな意味での挑戦に違いない。ジャンプのタイミングの取り辛さや、音楽への合わせ辛さ、ますます高まる注目の中で、どのように集中を保っていけばよいか・・・。

いついかなる時も自分の世界へ入り込めるようになることが課題である。彼が何故「バラード1番」を再び選んだのか。何もないところから精神性を高める「禅」の思想にも近いものを私は感じている。

以下は同じ構成で挑戦した昨年の中国杯とオータムの比較である。この一年でどれほど成長したのだろう・・・。

Ballade No.1

Cup of China 2014-2015
Autumn Classic 2015-2016
        Base Value GOE Score      Base Value GOE   Score
3A        8.50 3.00 11.50 3A          8.50   3.00   11.50
CSSp3      2.60 1.00  3.60 CSSp4  3.00   1.10     4.10
FCSp4      3.20 0.86  4.06 FCSp4  3.20   0.80     4.00
3T        4.51 1.20  5.71 4T<          8.80   -2.40   6.40
3Lz+CMB  6.60 -2.10  4.50 3Lz+3T      11.33   0.28    11.61
StSq3      3.30 1.29  4.59 StSq4         3.90   1.68     5.58
CCoSp3p4 3.50 1.07  4.57       CCoSp3p4    3.50   1.10     4.60
TTL       32.21 6.32 38.53    TTL 42.23   5.56    47.79

Skating Skills 8.96 Skating Skills 9.00
Transitions         8.75 Transitions         8.90
Performance 8.86 Performance 8.95
Choreography 8.96 Choreography 9.20
Interpretation 8.89 Interpretation 9.30
       TTL       44.42       TTL       45.35

Grand Total      82.95                  Grand Total      93.14



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ここからはスケートとは関係のない話だと思ってください・・・。

いつもブログを訪れてくださる方々の中に、もし、その一生の中で、自分ではない誰かのために、敢えて自分が損をする道を選んだことのある方がいらしたら・・・。

今日のような雲一つない秋空の下・・・あまりにも空が青くて、美し過ぎて・・・もし、自分の選択を僅かでも悔いたりするような気持ちになってしまっていたとしたら、私もまた悲しい気持ちになります。

でも、敢えて損を取ることは、誰もができることではありません。そんな小さな優しさが集まって、大切なものを守ることが本当にできるのだと思います。

「Pay it forward」・・・。
その優しさが、巡り巡っていつかあなたの元へ戻りますように。


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