母の日に、ふと思い出したことがあります。


昔、テレビで女優の野際陽子さんの特集を見た時のお話です。

娘さんが、お母さんについて語っていて、
その内容が今でもずっと心に残っています。

野際陽子さんは、
当時の“女性の生き方の常識”に
必ずしも沿った人生ではなかったそうです。

結婚、出産、子育てをしながら、
女優としても第一線で生き続けた女性。

今よりもっと、
女性が社会に出ることに対して
厳しい目が向けられていた時代。

その中で、
母として、女性として、
たくさんの葛藤を抱えてこられたのだと思います。

子育てをしながら、
母親役を演じ続けた野際さん。

“冬彦さんのお母さん”など、
本当にさまざまな母親像を演じられていましたよね。

そんな野際さんが、
ある時こんなことをおっしゃっていました。

「こんなお母さんありえない、なんてお母さんはいない」

演じても演じても、
母親像はいくらでも出てくる。

つまり、
どんなお母さんでも“お母さん”なんだ、と。

私はその言葉に、
ものすごく共感したんです。

母親の数だけ、
母親像がある。

誰かが、
「あんなお母さんありえない」
なんて、
本当は簡単に言えるものではないのかもしれません。

もちろん私自身も、
ついジャッジしてしまうことがあります。

でも、
誰かをジャッジした瞬間、

「私はそうなってはいけない」

と、
今度は自分自身を縛り始める。

それって、
自分で自分の首を絞めることにも
繋がっていくんですよね。

苦しくなるんです。

自分の母親に対しても、

「あんなお母さんにはなりたくない」

と思うことがあるかもしれない。

だけど、
そのお母さんは、
この世にたった1人しかいない存在。

自分を産み落としてくれた人は、
その人だけなんですよね。