昔、(確かあれは30代の頃)一軒家に住んでいた私は

破綻した当時の夫婦関係から逃げるように
庭でたくさんの花を育てていた。


その頃にすっかり草花に魅了され
街中でのマンション暮らしの今も
『勝手に街角花壇』のメンテナンスをしている。


この花壇、水やり用の水栓は
花壇前のお店が無償で貸してくださっている。とても助かる。


基本的に春になると芽吹く花々が多く
町内会からいただいた苗もたまに仲間入りしたりするが主役はバラだ。




この花壇を手掛ける様になったのは
いつもお邪魔していたお店の周年記念に
このバラの苗をプレゼントしたのが始まりで
必然的に、お世話係も私になった。


ところで花壇の手入れをしていると
良く道を聞かれるのは何故か。
私は超絶、方向音痴だというのに。


それから知らないおばあちゃんにも
めちゃくちゃ話しかけられる。

本心は自分の体力が残っている間に
ちゃちゃっと作業を終わらせたいのだが
「キレイね~いつも見ているのよ~」と言われると無碍に出来ず
「この花の名前はなんて言うの~?」と
覚える気も無いであろうおばあちゃんに付き合って手を止め
「ムスカリです」とか「ハニーサックルです」とかをにっこり笑って答える。
本当は不本意。


今までは開花ラッシュを終えて
少し花壇が寂しくなる時期に
ふと(あの辺りに何か植えたいな~)と思っても
郊外の花屋で苗を買ってくるのもなかなか不便だったが

今は、Dさんと私のお互いが休みの日のデートの希望を
「花屋までドライブ」と言えば良い。


花屋に行くといつも私の脳内は
ぶわっと何か幸福なもので満たされるのだが

その事に気づいているDさんは
「重いものは私が持つからたくさん買おう」と言う。


「そんなにたくさん買っても植える場所がないってば」
と答える時の気持ちは 何とも形容し難い、
気恥ずかしくてくすぐったい感じ。



またDさんと一緒に過ごす春が来た。