大人同士の険悪なムードを
子には出来るだけ悟られないため
夫と喧嘩をすることはなく
必然的に日々の夫婦の会話もほぼ無く
ただ、私に近づくなと
冷ややかなオーラを纏って夫にだけ見せた。


淡々と仕事と子育てに勤しみ
休日は同じ空気を吸わなくて済むよう
庭の花を育てて過ごした年月だった。


植物は裏切らない逞しさを持っていて
貴金属やブランド品と違い
段々と大きくなり増えていくので
肥料や薬剤、そして花期の長い一年草を買い足しても
それほどお金はかからなかった。


庭では地植えのイングリッシュローズが10数種ほど成長して
蔓植物と一緒にアーチを彩り
蕾が開く朝には芳しい香りを強く放った。

朝露がついたままの姿は凛として
息を呑むほど美しく
ささくれそうな私の心は潤った。

たくさんの宿根草も一年一年、
根を張り大きくなって行き
木陰にはベンチも置いて
ゆっくり時間を過ごせるようにした。


花好きのご近所さんが足を止めて
「綺麗ね」と声を掛けてくれる事にも
励まされたし

小学生の小さな女の子も勝手に懐いて
庭に通って来てお喋りするようになったりもした。
少し成長した子はこの女の子を
【ママの友達】と、こっそり呼んだ。


子の成長と仕事と庭の花たちが
この頃の支えだった。


今、つらく悩んでいる人にはひとまず
どんなものでも良いから
植物をおすすめしたい。