日本おひるねアート®協会
代表の青木です。
今日は、私自身が18年間、子育てと仕事を両立しながら歩んできた中で感じた
「ワーク・ライフ・バランス」のお話を、少しじっくり書いてみたいと思います。
少し長くなりますが、講師の方や、これから働き方を模索したい方にとって、ヒントになる部分があれば嬉しいです。
「馬車馬のように働いて」の言葉から考えたこと
2025年10月4日、日本初の女性総裁に高市早苗氏が選ばれたニュースがありました。
「働いて、働いて、働いて、働いて、働いていく」
「全員に働いていただく。馬車馬のように働いていただく」
という発言は、ネット上でも大きな話題になりましたね。
「過労や生活をないがしろにする価値観では」といった批判の声も多く上がりましたが
私は時間を置いて考えてみて、ある種まっとうな言葉でもあると感じました。
政治家という職業に対して、国民が求める覚悟や責任の重さを考えると
あの発言はむしろ“期待”を持たせるものでもあったと思うのです。
「ワーク・ライフ・バランス」という言葉への違和感
私自身、子育てと仕事を両立しながら18年間歩んでくる中で
「ワーク・ライフ・バランス」という言葉にずっと違和感を抱いてきました。
まるで「仕事」と「生活」を左右の天秤に乗せて、きれいに均等に保つことこそが理想――
そんな前提が言葉の中にあるように感じてしまうのです。
でも、実際の人生はそんなにシンプルではありません。
私が働き始めたのは、第一子出産後の2008年。
子育て支援をしたいという思いからフリーランスになりました。
この5年間は、保育士資格を取得したり、自分の裁量で働ける環境があり、
バランスを意識する余裕もありました。
大きな転機は2013年、第2子出産後に法人を立ち上げて経営者になったときです。
会社役員=定額働かせ放題。息子を背中におんぶしてメールを返し、
夜中に原稿を書き、週末は全国を飛び回る日々。
事務所を構え、社員を抱え、取引先・講師・お客様など多様な関係者と
向き合う責任は非常に大きいものでした。
ただ、その成功体験があるから、私は今でも
【経営者】になりたい方には最初の数年間はワーク・ライフ・バランスは
いったん捨ててめちゃめちゃ働いたほうがいい、と言う考えです。
私が起業して、初めて家族旅行に行けたのは4年目の夏休みでした。
覚悟を持って今の事業に取り組んできたつもりですし
今でもその経験は自分の中の自信になっています。
尊敬する先輩経営者に言われた
「経営者は休暇を縦で考えるな、横で考えろ」
という言葉は、今でも私の指針になっています。
“お休み”を日単位ではなく、日の中の隙間でつくるという考え方です。
こうした生活の中で私が感じてきたのは、「天秤でバランスを取る」よりも
仕事も育児も生活も、すべてを自分の人生のなかに編み込んでいく感覚の方が
ずっとリアルで希望がある、ということでした。
「ワーク」と「ライフ」は本当に分けられるのか?
そもそも「ワーク・ライフ・バランス」という言葉自体、近代的な労働観が背景にあります。
仕事を会社での労働、ライフを家庭や私生活と定義すれば、確かに天秤のイメージは分かりやすいです。
でも、私にとっては家事も育児も仕事も、すべて「自分の人生を構成する活動」です。
ワークとライフを二項対立で語ること自体に違和感がありました。
「統合」という考え方との出会い
そんなときに出会ったのが、「ワーク・ライフ・インテグレーション」という考え方でした。
2015年当時のブログです。
▶ 過去のコラム『子供が一緒だと仕事は大変?』(2015年)はこちら
仕事と生活を分けるのではなく、一人の人間の営みとして統合して考えるというものです。
私はこれを、自分の働き方の指針として自然に実践してきました。
1️⃣ 仕事と生活を分けず、すべてを人生として楽しむこと
→ たとえば、イベント先の出張に子どもを連れて行き、仕事の合間に一緒に観光したり、
講座の資料作成をカフェで子どもと一緒に楽しんだりする。
仕事の時間を“我慢”の時間にしない工夫をしていました。
2️⃣ 遊びの時間も意識的に大切にすること
→ 当時、仕事で全国を回る一方で、現地で遊ぶ時間を少しでも確保するよう
心がけていました。子どもとの思い出は、何よりの原動力になったからです。
3️⃣ 仕事を「学び・成長・生きがい」と捉えること
→ おひるねアートの活動は、単なる収入手段ではなく、創造や社会との
関わりそのものでした。仕事を通じて自分が成長し、周囲にも喜びを届ける。
そう考えることで、育児と仕事を対立させずにいられました。
4️⃣ 時間は戻らないものとして、人生全体の“生産性”を重視すること
→ 子どもの成長は一瞬です。お金は後から取り戻せても、時間は戻らない。
だからこそ、「今この瞬間」をどう過ごすかを常に意識していました。
こうした実践を通して、私は「統合」という考え方を、
自分の働き方の指針として明確に言語化することができました。
仕事も育児も遊びも、別々の領域ではなく、すべてを一つの人生の
流れの中で組み合わせ、自分でデザインしていく――。
それが、当時の私が描いていた理想の、というか、そうせざるを得ない中で
自分の心を保つための働き方だったのです。
起業初期は走り続けるなかで心身が限界に近づいたこともありました。
でも、その経験があるからこそ、今は「自分を大切にする働き方」
を伝えていきたいと強く思っています。
コロナで始まった「ワークライフミックス」の時代
そして2022年。コロナ禍で保育園が休園し、事務所を閉め、
自宅で仕事と子育てが混在する生活が始まりました。
オンライン講座中に子どもが画面に乱入する。
泣き声が打ち合わせに入る。
仕事と家庭の境目がゼロになる…。
その頃に書いたのが、こちらの記事です👇
▶ 過去のコラム『保育園休園で疲労困憊のママへ「ワークライフミックス」の考え方』はこちら
「在宅で働くママはずっとワークライフミックスですよね。
常に、仕事と家事育児が頭の中で混在していて、スイッチが切りかわらない」
と書いていますが、これはまさに当時の私の実感そのものでした。
でも、フリーランス時代から「インテグレーション=編み込む」
働き方をしてきたことで、この急な変化にも比較的柔軟に対応できました。
そして今、講師という働き方を見ていて思うこと
私が代表を務める日本おひるねアート協会には、全国で多様な働き方をしている講師がたくさんいます。
・お子さんをおんぶしながらイベントを開催する講師
・平日午前中だけ活動し、午後は家族と過ごすスタイルの講師
・一度仕事を離れたあと、子育ての経験を生かして再び活躍する講師
みなさんそれぞれが、自分なりの
「ワーク・ライフ・バランス(あるいはインテグレーション)」
を模索し、形にしています。
それは決して理想的な天秤ではなく、その人なりの生活と
価値観の中で設計された、生きた働き方です。
子育て期のハイライトは「今」
先日、末っ子(小学1年生)を連れて台湾へ子連れ海外出張に行きました。
国内の子連れ出張は何度もありますが、海外は初めて。
私自身は何度も出張していた場所だったので、思い切って連れていく決断をしました。
6日間の滞在中、イベント会場ではスタッフの皆さんにとても可愛がっていただき
空き時間には一緒に科学館をまわったり、夜市を楽しんだり。
娘の目がキラキラと輝くのを見て、「この時間は今しかない」と改めて感じました。
私は人生で「戻れるならいつに戻りたい?」と聞かれたら、迷わず「今」と答えると思います。
子どもたちが小さく、私と一緒に過ごすことを心から楽しんでくれるこの時間は、ほんの数年。
仕事はいつでもできるけれど、この時間は二度と戻ってこないからです。
だからこそ今は、完璧ではなくても、子育ても仕事も
自分なりに調整しながら生きていくことを大切にしています。
「ワーク=悪、ライフ=善」という思い込みを手放す
「ワーク・ライフ・バランス」という言葉を聞くと
多くの人が無意識のうちに「ワーク=悪、ライフ=善」
というイメージを抱いてしまいがちです。
つまり、仕事は我慢や犠牲の象徴であり、生活や
家庭こそが本来の善だという前提です。
でも、本当にそうでしょうか?
たとえば、家事・育児・介護をすべて一手に
担っている方の一日を思い浮かべてみてください。
それは「ワークとライフのバランス」ではなく、
むしろ「ワーク・ワーク」の状態ではないでしょうか。
大切なのは、仕事と生活を善悪で分けるのではなく、
「自分が自分らしくいられる時間」をどう設計するか
という視点だと感じています。
そして、必ずしもワークは悪ではないという事。
私自身も、仕事を通じて得られる創造性や仲間とのつながり、
社会との関わりが、生きがいや心の支えになってきました。
「ワーク」は、必ずしもライフと対立するものではなく、
自分をつくる大事な要素のひとつでもあるのです。
おわりに
ワーク・ライフ・バランスには、固定された「正解」はありません。
天秤で均等に分けることが正義ではなく、自分自身が納得できるかたちで、
日々、あるいは長い時間をかけて設計し続けることが大切なのだと思います。
そしてその設計のなかに、「講師」という柔軟な働き方が
フィットする人も、きっとたくさんいるはずです。
私たち協会は、そんな一人ひとりの人生と働き方を応援しています。
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