「ずっと、誰かのための人生だった。」

と帯に書かれたコピーと

「たおやかに輪をえがいて」

というタイトルに惹かれて手に取った一冊。

 

 

50代主婦の絵里子が

「母」であり「妻」であることに限界を感じ、

「ひとりの女性」として

新たな人生を歩もうとする物語です。

 

 

絵里子はこれまで何の疑いもなく

夫のため、娘のために

身を粉にして家事育児をこなしてきました。

 

 

慌ただしく家を出ていく上に

いつ帰ってくるかわからない

夫と娘のために食事を用意し、

部屋を片付け丁寧に掃除をし、

夫に出張の予定が入れば準備をし・・

 

 

いつも誰かのために忙しくしているのに

ひとりごはんを食べる日ばかりが多くなり、

絵里子はこの生活の侘しさをこらえながら

日々をやり過ごしていたのですが

 

 

ある日絵里子は

夫のスーツのジャケットから

風俗店のポイントカードを発見してしまい、

平穏な日々が一転してしまいます・・

 

 

カードにはある程度通い詰めたであろう

数のポイントが溜まっていて、

絵里子はショックを受けますが

どうしたものか考えあぐねてしまいます。

 

 

絵里子はもとから

気になることがあっても

言いたいことをうまく言えず

飲み込んでしまう性格で

 

 

夫へどう言葉をかけていいか

考えあぐねたまま結論が出ず、

しばらくはなかったことにして

普段通り生活を送り続けます。

 

 

しかしある日娘の怪しい素行が

問題になったことをきっかけに

絵里子は感情が爆発し、家を飛び出すのです・・

 

 

この物語では、絵里子が

「母」でも「妻」でもなく

「ひとりの女性」としてどう生きていきたいか、

自分と向き合う日々が描かれていきます。

 

 

長年の主婦生活で

「自分を大切にすること」

「自分をケアすること」を

おろそかにしていた絵里子は、

自分の外見や内面の魅力のなさに

自信をなくしていたのですが

 

 

高校の同級生で

高級下着のセレクトショップを

開いている詩織に再会し、

彼女の美しい外見と

勝ち気で誇り高い内面に影響され

少しずつ変わっていくのです・・。

 

 

この物語を読みながら

絵里子の口下手な感じが

わたしの夫に似ている・・

絵里子の夫ムカつくしダサい!

(ポイントカードのくだりが)

子どもの反抗期が恐ろしすぎる・・など

いろんな感想が浮かびましたが、

 

 

母親2年目のわたしはとくに

「自分をケアしない」ことに

慣れてしまうことの恐ろしさ

強く感じました・・。

 

 

わたし自身、母になって

自分のケアがおろそかになりまくり。

 

 

妊娠中あれだけ塗り込んでいたボディクリームは

ほこりをかぶっているし(妊娠線予防)、

2年ぐらい同じノンワイヤー下着をつけていたし、

すっぴんでいたことに昼過ぎまで

気づかなかった日があったし・・

 

 

育児に思考を奪われて

自分の内面に向き合う余裕がなくなり

抱えているモヤモヤやイライラの

言語化がしにくくなったような気もするし・・

(ブログを書くのも時間がかかるように

なった気がするし・・)

 

 

このまま自分も絵里子のように

自分をケアしないことに

慣れていくのかもしれないと

ガサガサのかかとを触りながら

危機感を覚えました・・。

 

 

この物語の恐ろしさは

こうして自分のケアを後回しにしてまで

絵里子は夫や娘のために生活しているのに

夫も娘も自分のことしか考えず、

絵里子の厚意を踏みにじり、裏切っていくことが

はっきりと描かれていることです。

 

 

物語後半で絵里子は

「空気のような扱いをされている」ことが

たまらなく嫌だったと気持ちを吐露しますが

そう言えるまでに長い時間がかかっていて、、

 

 

絵里子の口下手な性格もありますが、

家族のために一生懸命に

過ごしてきたはずなのに

振り返れば誰もいないし

自分自身もからっぽ・・だなんて

むなしいし悲しすぎると強く思いました。。

 

 

役割に徹することで

絵里子たち家族はこれまで

安定した生活を送ってきたのですが

 

 

安定して変わらない日々というのは

絵里子が自分の役割を疑ったりするような

個人の意思や思考を奪う危うさがあるということ、

そしてその生活は絵里子の厚意を犠牲にして

成り立っていたということが

夫と娘が起こした問題によって明らかになるのです・・。

 

 

もちろん、役割を決めることで

効率が良かったり

ストレスがなくて良いという

側面もあるのですが・・。

(我が家も家事育児担当はわたしだし。。)

 

 

だけど、

自分にはこの役割しかないと決めつけない、

永遠にずっとこの生活ではない、

と思う姿勢が大切なのだろうと

改めて思いました。

 

 

この物語では

自分を後回しにし誰かをケアし続けてきた

絵里子の悲劇が描かれながらも、

 

 

誰かをケアし続けてきたからこそ培われた

「たおやかさ」(美しく芯が強く、しなやかなさま)

という名の美しさと、

その気になればいつからでも自分をケアすることができるし

遅すぎることなどない

という希望も描かれています。

 

 

家族のことなど何も考えずに一人旅行へ行き

ただひたすらボーッとしたり、

繊細で上品な下着を見て高揚感を覚えたり、

自分の髪型や装いを改めて気持ちを引き締めたり。

 

 

子どもが生まれてから一度もなかった

「自分のためだけの時間」に絵里子は浸りながら

ゆっくりと自分を回復させていくのですが

誰かをケアしつづけてきたからこそ

自分へのケアも細やかで丁寧で、そして

これからは後悔しないように生きようと決意し過ごしていく

絵里子の凛々しい姿が強く印象に残りました。

 

 

子どもがいると

どうしたって自分が後回しになってしまう

ことが多いけれど、

これが一生続くわけではないし、

自分を後回しにしている代わりに

「たおやかさ」という内面の美しさが

蓄積されているかもしれないと思うと

少し前向きになれそうな気がしました。

 

 

最後に私事をはさみますが、

最近やっとワイヤー入りのブラに新調しまして。

 

 

新しい下着をつけた瞬間

背筋が伸びて引き締まった気持ちになって

「この締め付けは自分にとって必要だ」

とハッとさせられました。

 

 

この締め付けが

わたしは母で妻である前に

ひとりの女性なんだよ!!と

思い出させてくれた感じがして。

 

 

たまたまそんなタイミングで

この物語を読んだので、

詩織のお店の高級下着を見た

絵里子の戸惑いと高揚感に

強く共感しましたし、

 

 

自分の身体に向き合うところから

自分のケアははじまるのかもしれないと

そんなことも考えさせられました。

 

 

もちろん母も妻も

引き続き頑張りますが、

この物語を読み終わって、

無性に自分をケアしたくなりました。

(ガサガサのかかとケアとネイルがしたいです)

 

 

誰かのために自分を後回しにしている人に

寄り添い、いたわってくれる、素敵な物語でした。

 

 

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