作家生活10周年を迎えた

朝井リョウさんの新作を読みました。

(本屋大賞ノミネートもされていましたね)

 

 

タイトル「正欲」の意味は

作中で名言されませんが、

「自分の正義を振りかざしたい」欲

なのではないかと

読みながら考えさせられました。

 

 

この物語に登場するのは

絶対に人には言えない

秘密を持つ男女と

そのまわりにいる

無遠慮な人たちです。

 

 

無遠慮な人たちは

自分が正しい、もしくは「普通」だと

いうことを微塵も疑わず、

そして周りにもその「正しさ」を

押しつけてきます。

 

 

絶対人に言えない秘密を持つ彼らは

その無遠慮な人たちが心から鬱陶しく、

距離を置きながら接しますが

 

 

同時に正しく、普通であれなかった

自分と社会を恨みます。

 

 

誰からも理解されないだろうし

わかってもらいたくもない

ほっといてほしい

勝手にしてほしい。

 

 

世間と距離を置きたいと願う彼らですが

離れようとすればするほど

無遠慮な人たちが心配して近づいてくることを

社会生活のなかで実感し、

 

 

であるなら「普通」で「正しい」人間として

ある程度擬態して生きていき、

集団の中に埋もれてしまおうとします。

 

 

けれどなぜ自分が

価値観の合わない世界に

染まらなきゃいけないんだと

悶々とする気持ちがおさまらず…

社会への恨みがさらに増していくのです。

 

 

ここ最近、「多様性」という言葉が

メジャーになってきたけれど

絶対人に言えない秘密を持つ彼らは

「多様性」という言葉の「おめでたさ」を

嘲笑します。

 

 

「自分と違う存在を認めよう。他人と違う自分でも胸を張ろう。自分らしさに対して堂々としていよう。生まれ持ったものでジャッジされるなんておかしい。

清々しいほどのおめでたさでキラキラしている言葉です。これらは結局、マイノリティの中のマジョリティにしか当てはまらない言葉であり、話者が想像しうる“自分と違う”にしか向けられていない言葉です。

想像を絶するほど理解しがたい、直視できないほど嫌悪感を抱き距離を置きたいと感じるものには、しっかり蓋をする。そんな人たちがよく使う言葉たちです。」(6頁)

 

 

マイノリティの中でも

マイノリティであると自覚する彼らは

「多様性」という言葉で

自分を理解しようとするな

理解できると思うなと

猛反発します。

 

 

そんな彼らの思いとは裏腹に

彼らと距離を近づけようとする人

彼らを不審がり、

自分の正義で勝手に断罪する人など

いろんな人が登場し、

やがてひとつの「悲しい事件」へと

つながっていくのです…。

 

 

この物語は引用のモノローグと

「悲しい事件」の全容が明かされてから

物語が始まるのですが、

「悲しい事件」は読んでいて嫌悪感を抱くもので、

このモノローグとどのようにつながるのか

不吉な予感を感じながら読み進めました。

 

 

この物語にあったのは

「多様性」という言葉からこぼれる

マイノリティの深刻な孤独、

家族や社会への恨み、

周囲の「普通」の人への嫌悪感と反発、

そして「どうせ言っても無駄」

という諦めでした。

 

 

彼らが抱える孤独は

諦めと絶望に満ちていて

読んでいて光が見えない暗さに

胸が張り裂けそうになりました…

 

 

「多様性」という言葉の難しさを、

「寄り添う」という言葉の難しさを

改めて突きつけられ、かつ

答えのない迷路に放り込まれた気持ちになり

自分はどうあるべきなのか

どうすれば傲慢な「正欲」と距離が置けるのかを

読みながらずっと考えさせられました。

 

 

いまだにこれが正解

というものに出会えていないのですが

 

 

思考停止せず

「理解してあげられる」なんて傲慢さを捨てて

いろんな景色を見て、知って

自分なりに誠実な態度を

模索していくしかないのではと

思っています。



そしてもう一つ噛み締めたのが

孤独は人の命を削る

ということ。

 


自分しか知らない秘密、

他者と相入れない秘密を持つために

どうしても生まれてしまう孤独に

彼らの心が徐々に蝕まれていく様子が

描かれています。



人間同士のつながりは

思った以上に「命綱」であることを

噛み締めさせられました…。



この物語を読んで

この世界には

自分の思いもよらないこと

自分の正義や価値観でははかれないことが

見えないだけですごくたくさんあることを

改めて痛感しました。



自分の正義に溺れないことを

肝に銘じようと思いましたし

この物語を読んで揺さぶられた衝撃は

きっと忘れないだとうと思いました。



作家生活10周年作品で

すごいものをぶち込んできたなぁ…

「多様性」を考えたい人に

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