こんばんはー!
ブログの更新が滞っているにもかかわらず(すみません)、ここ最近のアクセス数がめちゃくちゃ伸びていてびっくり!!
どうやら島本理生さんの『Red』が映画化されるようで、そのブログ記事のアクセスが伸びたようでした。
映画化おめでとうございます!!
映画…観たいけど怖い…けど観たい…!! と悶えています。
メインキャストは妻夫木聡さんと夏帆さんらしいのですが、妻夫木さんは「悪人」しかり「ジョゼと虎と魚たち」しかり、罪深い人間を演じるのがとても巧みだと思います。。
最近映画館に行っていないので久しぶりに映画を観たくなりました!
さて、そんなプチバスり(?)にびびった今日読み終わった一冊は三島由紀夫『仮面の告白』でした!
今年の新潮文庫のプレミアムカバーです!
本書を読んだきっかけは、新潮文庫のプレミアムカバーになっていたから。笑
大学時代に読んでおくべきだった一冊(文学部出身)です。。
今年のプレミアムカバーということで、本作品は三島作品のなかでもより多く読まれているのではないでしょうか?
もしわたしが中学生だったら、背伸びして本書を夏休みの読書感想文用の一冊にしていたと思います。
そして読み始めてすぐに抽象的で難解な表現に多さに挫折したに違いありません。笑
29歳の自分ですら抽象的な言い回しに手を焼きました。文字を追いながら何度うつらうつらしたかわかりません。ここ数日はたっぷり寝れました。笑
難解で抽象的な言い回しは三島作品でよくあることなのですが、「仮面の告白」ほどこの言い回しが「しっくりくる」ものはないなと読み終わってしみじみ感じています。
三島由紀夫『仮面の告白』は、自分のなかにある「不都合な真実」に気づいてしまった主人公「私」の不毛で哀れな心情を描き出した物語です。
どうやら本作は自伝的小説として書かれたそうです。
どんな物語なのか、というのを「食べ物の趣味」でたとえて説明します。
主人公の「私」は、自身が成長するにつれて、食べ物の趣味が「みんなとは全然違うもの」であることに気づきます。
その食べ物の趣味は、今の時代だったら受け入れられるものの、当時の感覚からしたらみんなに全く受け入れられず、むしろ「ありえない!」と断罪されかねないもので、「私」はそれに気づいた瞬間から「自分の好きな食べ物はみんなと同じだ」という暗示をかけた「仮面」をかぶって生きていくことを決意しました。
「私」は頭が良かったので、自分の心を冷静に分析することやまわりの空気を読むことに長けていました。
「私」は「仮面」をかぶって演技する能力を身につけ、日常生活の支障なく暮らしていきますが、その反面、自分のなかにやりきれないものがくすぶり続け、それを持て余し続けていました。
ですが「僕」はそのくすぶりを持て余したまま、むしろそれを飲み込もうと努めました。
「自分はみんなが好きな食べ物も好きだ」と努めて意識し、近づこうと努力しました。
ですが、みんなが好きな食べ物はどうにも味がしません。
やはり、みんなには受け入れられない食べ物のほうが「私」にとっては極上のご馳走に見え、それを想像するだによだれが止まらなくなるのでした…。
本作のあらすじをどストレートに言ってしまうと、とたんに味気ないものになってしまうと思い、ぼやかして書きました。
どういう物語かは、ぜひ本作をじかに味わってほしいと思います。
本書の特徴のひとつである抽象的で難解な言い回しは、この物語の「本質」のようなものを何重にもおおうバリケードのように機能していると感じました。
見栄、というよりは自己防衛的な表現に感じました。
たとえ自分の情けなさの告白であっても、言い回しだけでもどうにかカッコよくありたい、と思うのが人間なのかもしれません(本当にそう思ったかどうかは知りませんが)。
そしてもうひとつ挙げたい本書の特徴は、湿っぽい表現とドライな表現のコントラストが際立っているところ。
自分の好きな食べ物の描写は、みずみずしく、繊細で、しつこいくらいの解像度(?)で微細に描かれているのですが、そうでないものに相対したときの描写はどうもぼやけていて、自分の心情が目の前にあるものに薄いフィルターをかけているようなもやがかかっているように感じるのです。
この表現の差からも、自分の好きな食べ物がどれだけ好きか、待ち望んでいるものか、ということが体感でき、読みながらゾクッとします(表現の差があまりに露骨なため)。
「私」が好きなものの描写は、もれなく好きなものがみんなに受け入れられない、という絶望と孤独もセットになっています。
素晴らしい解像度の表現の裏にある絶望と孤独…なんて皮肉なことでしょうか。「私」の葛藤と悲哀を感じて胸が痛みました。
「自分を否定されるかもしれない恐怖」は誰にでも心当たりがあるものです。
ですが、その恐怖から逃げずに「仮面の告白」を書き上げた三島の胆力たるや、どれほどのものだったのでしょうか。
それとも、これまでひた隠しにしてきた仮面の内側を告白したくてたまらなかったのでしょうか。
仮面をかぶっているばかりに自分が心から好きなものをぐっとこらえる…ということの言いようのない哀しさが胸にずっと残っています。
この読後感はきっとずっと忘れられません。
