去年から、わたしのなかで「ちきりん」さんがブームである。
 
「誰やねん?」と思った方は、こちらのブログをのぞいてみてほしい。
 
 
ちきりんさんは、国内外の政治経済・社会・文化などの諸問題について独自の視点でぶった斬る「社会派ブロガー」である。
 
ちきりんさんの魅力は諸問題に対する「独自の視点」が分かりやすくておもしろいところだ。
ブログアクセス月間200万PV超え・ツイッターフォロワー数27万人以上と大人気なブロガーで、著書も何冊か出している。
わたしは『自分の時間を取り戻そう』を読んでからすっかりちきりんさんのファンになり、去年からいろいろと読み込んでいる。
 
今回のちきりんさん本は、旅の本。
 
ちきりんさんは社会派ブロガーと「紀行文筆家」を名乗っていて、1980年代から世界各国50か所以上を旅している旅のベテランである。
本書はいままでの旅で感じたこと・学んだことをまとめた一冊になっていて、アジア、ヨーロッパ、アメリカはもちろん、中東、アフリカや崩壊前のソ連、モアイ像のあるイースター島まで網羅していて「ほぼ世界一周してるんじゃ!?」と思わされるほどのエピソードの幅広さ・奥深さにまず圧倒される。
さらに一人旅の頻度も多く、「女性(ちきりんさんは女性)の海外一人旅」という言葉だけで震えあがってしまうわたしはますます感服するばかりだった。
 
ちきりんさんの「社会派」の目は旅先でこそギラギラと燃えていて、エピソードに描かれる想像力の奥行きに感嘆してしまう。
 
エジプトのピラミッドを見て「石を運ぶだけで一生を終えた奴隷」の人生を想像したり、自国内でしか使えない通貨を大量に持つ「大金持ち」の将来を想像したり、美術館が作られた歴史的背景と経済戦略を想像したり……。
ちきりんさんはいろんな国に何度も訪れているということもあるが、ガイドブックを片手に観光名所をめぐるだけの「スタンプラリー旅」ではわからない、その国の情勢や文化を体感し、本質を見極めようとする姿勢に「こういう旅の楽しみがあるのか!」と”目からウロコ”の連続だった。
 
わたしは去年から海外旅行に行くようになり、旅にまつわる本をいろいろ読むようになったのだが、「この国の食文化・生活様式はこんな感じ」「観光名所のミステリー」「この国に行って救われたエッセイ」というようなものが多かった。
 
ちきりんさんの本はこれらの旅本とはどうも違って、主体が「自分」ではなく「日本」なのでは? と思うくらいに「わたし」があまり出てこない。
エピソードには「イースター島で地球を感じたわたし」や「ミイラに目を奪われるわたし」が確かに出てくるのだけれど、そこから「国の豊かさとは…」「自由とは…」と話が展開されるので「わたし」の存在感を強く感じない。
 
なんというか、読んでいて「世界史の教科書」と「ガイドブック」のいいとこ取りをした気分になるのだ。
 
個人的エピソードをまじえつつも読んでいる側にも学び・気づきを得られ、かつ「世界中を旅したわたしが教えてあげる!」というような上から目線(?)を感じない。
嫌味なく「なるほど!」とうなずきながら面白く読めるのはちきりんさんが「社会派目線」でエピソードをまとめているからだろう。
 
本書を読んで、まだまだわたしは海外旅行ビギナーだなぁと感じた。
そもそもそんなに海外旅行は行っていないが「スタンプラリー旅」でもじゅうぶん楽しい。
綺麗な写真を撮って、インスタグラムに「台湾ビールおいしい!(にこにこ)」みたいなコメントをつけて更新して、いいねを10人くらいからもらえるだけですごく楽しい。
帰国して「やっぱ日本のごはんサイコー!」と言いながら日本食を噛み締めるだけでも海外旅行の醍醐味を感じた気がする。
 
もちろん、ちきりんさんが「スタンプラリー旅」を否定しているわけではない。というか旅に「正しい」も「正しくない」もない。
 
ただ、こういう旅ができると人生がもっと楽しくなるだろうなぁ! と思うし、わたしも社会人として世の中に何かしらの力を貢献している以上、「社会派目線」で旅を奥深く味わいたいと思うのだった。

海外旅行に行くたびに読み返したくなる一冊だった。
ゴールデンウィークに向けて旅の計画を立てている人にはぜひおすすめしたい。



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ちなみにわたしがいいね!をもらうために撮った写真がこれ。台湾ビール美味かった。