元気印のハチワレ君、病院搬送
先週の木曜日、いつも「もっと缶詰を!」とうるさいハチワレ君が急にご飯を食べなくなりました。
それどころか、私を避けてこんなところに潜り込んで動かなくなりました。注意深く見るとヨダレもたらしています。
そこで金曜日の朝にハチワレ君を病院に連れて行くことにしました。
が・・・、 それは並大抵のことではありません。
ハチワレ君はウチの子になってからも、一度も抱っこ出来ないのです。勿論、捕まえることができません。
そこで、箱に入った時にフトンカバーを前に垂らして押し込み、次に洗濯ネットに移動させ、新しいキャリーバッグに入れてチビポンかかりつけの病院に行きました。ただし、ネットに閉じ込めても走って逃げるので、病院ではネットの上からの診察と注射になりました。
これで治らなかったら、土曜日には大きな病院にもう一度行かなければいけなかったのですが、なんとか食事をするようになりました。まずは良かったです。
ところが、もうひとつ!
このシマポンママにも問題が・・・。
シマポンママはノミアレルギーで、毎年のように体中にプツプツができるのです。
そこで、ハチワレ君を連れて行った病院で3ヵ月効くというこちらの薬も買ってきました。
この薬、効果は抜群なのですが、塗ったところがしばらく10円禿になります。そういう場合は医師に相談をとあるのですが、今まで何度も使っているので治療を優先することになり、背中に垂らしました。こちらも治ってくれればいいがと思います。
************************************************************
夏も元気なハッチ&モッチ
お店の猫たちとは違って、こちらのハッチ君と、
モッチ君は今日も元気いっぱいです。
モッチ君が狙っているのはシーバー。ココガシーバの隠し場所だと知っているのです。
まあ、なにはともあれ元気が一番です。
*******************************************************
ベランダに届いたプレゼントは?
外猫のベッテルがベランダの戸口に置いていったのは、セミ。
これはツクツクボウシで、夏の終わりに鳴きだします。
毎日暑いですが、このセミが登場したということは秋が近いということです。
まだ生きていましたので、木の枝に引っ付けておきました。
************************************************************
くつろぐチビポン
この週はハチワレ君を病院に搬送したりして大変でしたが、チビポンは元気。
クーラーの効いた室内でまったりと過ごしていました。
外は暑いですからね・・・。
この角度で、写真を撮ると、なんかウサギみたいです。
************************************************************
ラノベ「抗いし者」第14話
この世界には歌がない
この世界には歌がない
「チグサが嫌がってたオークの衣だけど、最近は村の中でもみんな着て歩いてるね」
窓の外を見ながらマイラが言った。
確かに、村の女たちは家の外に出る時、村の中でもオークの衣をかぶるようになっていた。
「ダルーガたちがもう何も言ってこなくなったのに、皮肉だよね」
私は苦笑した。
ヤルケノの女たちは元々、村の中ではフーラ伝統のムームーで過ごしていたが、村の外に出る時だけはナラヤの宗教警察を恐れてオークの衣を着ていた。
ところがダルーガ救済隊を撃退したあの夜からしばらく経った今、村の中でもオークの衣が普通の服装になりつつある。
「そりゃあこんなに観光客が押し寄せてちゃね」
「観光客の男たち、みんな目つきがいやらしいんだもんね」
マイラが相槌を打った。
大きな町では駐留する宗教警察の目が厳しかったせいで、女たちはオークの衣を着て歩いていた。そんな環境だったせいで、そこから来る観光客にとっては、私の制服どころか、フーラ伝統のムームーでさえ刺激が強いらしい。
「なんかねウワサじゃ『白衣の天使』様を見る目的もそういうもんらしいよ」
などと言われて私は鳥肌が立った。
そういえば妙彩学園にいた頃、生徒指導の先生から『川瀬、おまえ校則をちゃんと読んでるか? スカートは膝上じゃなくて、膝下15センチと書かれているだろうが!』と怒られたことがあったっけ……。
短めのスカートなんて日本じゃ誰でもやっているオシャレと(まあ家がうるさい子は別だけど)思ってたけど、こんな世界に転生するなら、校則を守っときゃ良かった。
私はそんなことを思い出していた。
それはともかくオークの衣には二つの側面がある。
誰が誰だか分らないので、極端な話あの宗教警察の隊長みたいに、男がかぶっている可能性もある。
それは主にテロを目的とする場合だ。
つまり誰かを狙った敵がこれを被って侵入した場合、その誰かを守るのは容易ではない。
ただし、私を狙うことはできない。
それは敵意を持って近づいてもその目的を達せないからだ。
もう一つの側面。
それは観光客に気づかれずに、丸木小屋を自由に出入りできるということだ。
私はオークの衣をかぶって、お盆を持った給仕女に化け、マイラと共に外に出た。
(脱出作戦大成功!)
観光客が大勢集まる広場付近を抜けて歩く。
城壁内でも北側の辺りは静かで、果樹園が点在していたはず……、
そこは私のお気に入りの場所だった。
オークの衣を脱いでお尻に引き、ムームー一枚になって木陰で休む。
この世界にラノベがあったら、それを開いて読書したいところだ。
ここはどこかのラノベみたいに本が一切ない世界ではないが、一番お金持ちの村長の本棚にさえ宗教書と、どこで買ってきたのかは知らないが、『観光産業であなたの村を元気に!』『訪問者がお金を落とす仕組み』といった類のノウハウ本が5冊ほど並んでいるだけだった。
これはまあ、男でさえ識字率が低く、女に至っては文字を覚えることが悪いというような、ダルーガのおバカな道徳観が災いしているためだろう。
それはともかくとして……、私のお気に入りの果樹園が無い?
この前まであったのに、たった数日で池に変わっていたのだ。
近づいてみると、池の中からピチピチ、ピチピチと気味の悪い音がする。
「マイラ、これは何?」
と聞くと――、
「チグサのホヤ焼きが大好評でパルポが不足したので、村長が大急ぎで、増産を命令したの」
と肩をすくめて言った。
どうやらこの世界のヌタウナギは淡水生のようだ。
ちなみにホヤ焼きのトッピングはケチャップ味、蜂蜜味、塩味と三種類。
この世界には歌がないようだし、ホヤ焼きのCMソングでも作ってみようか……。
ホットケーキを作っていたとき、私はつい鼻歌を口ずさんでいた。
「まぜて ふわふわ ホ~ットケーキ……」
するとマイラが首をかしげて「何それ、呪文?」と尋ねた。
その一言で、私は気付いてしまったのだ。
――この世界には、歌がない。ということを。
元の世界では、カラオケに誘われても「今日はちょっと用事」と逃げていた。
私は歌が得意なわけでもないし、別に歌わなくても困らなかった。
でも、歌が存在しない世界なんて……そんなの、あまりにも寂しい。
マイラの話では、この世界にも太鼓や角笛はあるという。
ダルーガ教徒が祈りの時に、ラチェットを使っていた。
でも人々が歌うことは無いし、旋律を奏でる楽器も無いみたい。
ダルーガ教は、人々が現世で楽しむことを嫌うようで、
彼らの支配地域では他の宗教を信じる者にも自分の考えを押し付ける。
そういうのは悪魔の誘惑だと考えるようだ。
(なんてつまらない教え!)
それなら、私は余計にこの世界に音楽を広めたい!
私には楽器を作る技術もないけれど――、
「笛なら、作れるかもしれない!」
思いたった私は、村の外れの草むらへと向かった。
中が空洞になっている植物。要するに竹のようなものを探すためだ。
しばらく歩くと、細長くて節のある植物を見つけた。
指で叩くと、コンコンと軽い音が返ってくる。
中は空洞になっている。これならいけるかも……。
私はナイフで節を切り落とし、指穴を開けるために細い枝を押し込んだ。
その瞬間――。
パシンッ!
乾いた音とともに、植物が弾けた。
裂けた繊維が跳ね、指先に鋭い痛みが走る。
「っ……!」
見ると、指からじわりと血がにじんでいた。
私は思わず、苦笑いをこぼした。
「そうか不死身というわけじゃないんだ……」
誰にも聞かれないくらいの小さな声で私はつぶやいた。
休憩時間が終わり、私は歓声を上げる『白衣の天使』ファンの人達に向けてベランダでにこやかに手を振りながら、植物が弾けて指先をけがしたことと、以前、子供が勢いよく投げたお賽銭がおでこに当たった件を、ずっと考えていた。
このことにまだ誰も気づいた人はいないようだ。
でも、もしダルーガ教徒がこれに気づいてしまったら――、
敵意の無い無垢な襲撃者を仕立て上げるだろう。
確かに誰かが私を害そうとする目的で近づいた場合は、自動的に反射呪文が効力を発揮する。
例えば、それは……、
「あれ、何してるのかしらね?」
マイラが変な格好をしている観光客を見つけ、不思議そうに首を傾げた。
天橋立名物、いわゆる『またのぞき』というスタイルだ。
男たちは、どうしてこうなったのかわからなくてアタフタとしていたが、私には理由が分る。
彼らはおそらくベランダに立つ私のスカートを下から覗こうとしたのだろう。
そこで自動的に呪文が発動したというわけだ。
つまりそれが直接危害を加えるものではなく――、
いかがわしい意図があった場合でも。ああなる。
一方で、賽銭を投げた子のように好意的な感情で、偶然の場合は防げない。
それを利用して誰かが私を殺めるために「〇〇ちゃん、『白衣の天使』様にこのお人形を渡して」と小さな子供に爆弾入りの人形を託した場合はどうなるだろう?
子供には全く敵意が無く、それを利用する大人が悪意を持っていた場合……。
「どうしたの? 急に黙り込んじゃって……」
マイラが心配そうに顔を覗き込んだ。
やがて来るであろう新たなダルーガの脅威を前に、私はどうやって戦おう。
その不安は、すでに形を取り始めていた。
予兆は、思いがけないところに現れる。
あれほどうっとおしかった観光客が三日前からばったりと来なくなったのだ。
つづく











