言の葉落ちて天下の憂愁を知る | 夏衣優綺の活字中毒

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小説の感想や日常のつれづれをゆるりと発信するブログです☆

 

「晩ご飯、すき焼きにしよっか?」

 

思わず振り返ると、

いかにも新婚らしきお似合いの二人。

 

優しそうな旦那さんは顔をほころばせ、

夕飯の買い出しにはあまり興味がないけれど、

そのメニューには大いに賛成だといった様子で、

「うん」と小さく返します。

 

その返事を受けて、可愛らしい奥さんが

旦那さんの腕を引っぱっていきます。

 

 

駅前のイオン。

 

時刻は19時を過ぎたところ。

 

夕飯のおかずを求めにきた

お客さんで溢れかえっています。

 

僕はといえば、半額の値札が付けられた

お惣菜のパックを物色しながら、

一人でふらふらと買い物をしていました。

 

ちくりーー。

 

自分のためだけに選ぶ食材はどこか寂しくて、

誰かのためになら喜んでご飯を作りますけど、

手に取る品々は、いかに手を抜いて作れるかといった

趣旨のものばかりで、自分でも嫌気がさします。

 

(もっと凝ったものも作れるんだけどな・・・)

 

胸の中でそんな強がりの繰り言をぽつり。

 

すき焼きはすごく魅力的だったし、

食べたいとも思いましたが、

自分に作ってあげる気にはなれません。

 

先ほどの新婚夫婦が精肉のコーナーで

楽しげに牛肉のパックを選んでいます。

 

その横を通り過ぎながら、

僕はインスタントラーメンを切らしていたのを思い出し、

袋麺のコーナーに向かいます。

 

他にもコロッケや春巻きなんかを買い込んで、

イオンを出ました。

 

昼間と違い、外は気温がぐっと下がっていて、

軽く身震いします。

 

(寒くなったなぁ・・・)

 

買い物袋を両手にぶらさげて歩く家までの道のりが、

この日に限ってちょっぴり遠く感じられて。

 

さっきの新婚さんならきっと、

買い物袋を仲良く一つずつ持ちながら、

手をつないで帰るのでしょう。

 

僕はいくら手を伸ばしても、その先につなぐ手を持たなくて、

側には誰もいません。

 

ただ秋の夜風が静かに肌を舐めていくだけ。

 

見上げる月はとても綺麗なのに、

特に思うところもなくて黙々と歩きます。

 

今日の今日まで、

僕は自分が信じた道を歩いてきました。

 

今の暮らしだって、自分が選んだ日々のはず。

 

でも・・・。

 

一人で家に帰って、その家には誰もいなくて、

一人でご飯を食べて、お惣菜の味に文句を言う相手もいなくて、

一人で夜までの時間を過ごし、誰の温もりも感じられない布団で眠ります。

 

 

秋はなんだか少し淋しい季節です。

 

冷えた空気が素肌にこたえます。

 

でも、僕はさみしくありません。

 

一度きりの人生を後悔しないように、

好きなように生きてきたのですから。

 

さみしくなんかありません・・・。