お菓子の国 | 夏衣優綺の活字中毒

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小説の感想や日常のつれづれをゆるりと発信するブログです☆

 

 

僕が住んでいる街のイオンには、4階に駄菓子の専門店があり、

子供が一歩足を踏み入れたなら、

テンションが上がること間違いなしの夢の場所です。

 

わくわくと心躍るようなお菓子が棚いっぱいに並んでいます。

数日前のこと。

 

別の用事でイオンに行ったはずの僕は、

何故だか引き寄せられるようにその駄菓子屋に入りました。

 

さっきはああ言いましたけど、すぐさま訂正させてもらって、

大人でもテンションがあがること間違いなしの奇跡の場所です。

 

「あ~、これ好きだったなぁ」、などと感慨にふけりつつ、

店内をくるくると回っていました。

 

子供の頃なら、もちろんお金なんか全然持ってなくて、

ごく限られた金額の中で果たして何をいくつ買うのかという、

壮大かつ高尚な問題に頭を悩ませたものです。

 

 

ここで回想・・・(副題 : 300円しか持っていない僕)

 

「んー、あと50円か~。

 ラムネは買いたいんだけど、

 一つでも買うとチロルチョコが買えなくなってしまうしなー。

 両方買うなら、カプリコを我慢するしかないか。

 でもさー、カプリコを手放すなんてそんなのありえるのか?

 いや、さすがにそんな選択肢はないよなぁ」

 


10円単位で悩むなど、大人にはない思考です。

 

イオンの駄菓子屋を回っていた大人の僕は、

いつの間にか買い物カゴを握りしめ、

そしていつの間にかカゴの中には駄菓子が一つ、

さらにそしていつの間にかまた一つと遠慮なく放り込まれ、

なおもさらにそしていつの間にか気づいたらレジに並んでいて、

大人の資金力で、大人買いした駄菓子を、大人ぶって買おうとします。

 

 

僕の前には小学生の女の子が三人。

 

楽しそうに笑いながら並んでいました。

 

日に良く焼けて、元気いっぱいなのが一目で分かります。

 

彼女たちは一人ずつ会計を済ませていき、

三番目の子に順番が回ってきました。

 

その子が急に困ったような声を出します。

 

「あっ、5円足りないかも・・・」

 

ちょっと焦った声。

 

すると、二番目の子がすぐに財布を開け、

硬貨が乗った手を差し出しました。

 

「わたしの10円あげる!」

 

そう言って、三番目の子に手渡します。

 

「あっ、ありがとう。じゃあ、後で5円返すね」

 

「大丈夫だよ~」

 

「でも、悪いもん」

 

「じゃあ、家に帰ったら」

 

 

無事に事なきを得た彼女たちは、

ニコニコと機嫌良く帰っていきました。

 

それを後ろから見ていた僕は、

「いつからこういう大人になってしまったんだろう・・・」と、

少し憂慮の気持ち。

 

お釣りの5円。

 

たったの5円が、彼女たちにはとても大事なものだったんです。

 

そう・・・。

 

たしかに自分もそうだったのに・・・。

 

 

今の僕なら100円でも、いや、コーヒー代の300円とかですら、

なんとも思わずに相手に返さなくていいと言うでしょう。

 

ましてや1円単位の5円など、思考のはるか外にあります。

 

 

さっきまでのうきうきした気持ちはどこかへ消え失せ、

自分の会計を済ませます。

 

「あの子たちが食べるお菓子の味と、

 僕が食べるお菓子の味は、

 きっと全然違う味なんだろうな・・・」

 

そう思いながら。

 


総額で千円オーバー。


お札で支払ってやりました。

 

大人の僕には全然高い買い物じゃありません。

 

5円の価値ーー。


「ラムネかチロルで迷うなら、両方買っちゃえば?」なんて、

子供の頃は考えもしなかったのに。