今までマドモワゼル(お嬢さん!)付きの敬語で話してくださっていたクレバース先生が突然、


『(´_ゝ`)ノシ…土曜日の17時、Musee communalの前で待っててくれる?』


と、ためぐちで言ってきた。


土曜日当日、先輩門下生の女子たちが、『ああでもない、こうでもない~』


と、私の顔にマスカラやリップや頬紅などを塗ってくれた。


仕上げは、ロシア人のナジャ姉がパトロンから買ってもらった、ピンクに黒いリボンリボンのついたワンピースを着せられ、ピンクのカチューシャをさせられた。


姉デシたちは自分の恋愛はさて置き、人の恋愛にはゴチャゴチャ飾りたがる~!


特に、浩子姉っ!


せっかくマークワルダさんから声かかったのに!断っちゃったぁ~。もったいない…


そんな浩子さんだが、私に『メイク・ボディー下着』貸してくれて、詐欺というほど私は『立体ボディー』になった。


ナジャ:『クレバース先生しか男と思えない、なんて男子に言ったから!漏れたのよ、ご本人に!
さっ、行って来な!私ら待機してるから~!』


背中を押された。


浩子:『セザールには適当に言っておくから~!』


ナジャ:『堂々としなさいよっ!』


彼女たち、こういう時だけ置屋の姐御ふうだから怖い…。


待ち合わせの場所に着いたら、急にドキドキ。


どんな意味で呼び出されたのか不明だし…


《冷静、冷静、冷静、冷静…》


舞台で緊張する時やるように『冷静』の字を手のひらに書いていた。


ヘルマン:『やぁ!待った?』
クレバース先生が現れた。


私:『はじめまして、じゃなかった、こんにちは~!』


ヘルマン:『フランクから全部聞いてるよ~!』


クレバース先生は微笑んだ。


私《何を》フランクちゃんから聞いてるんだか…不安になってきた。


ドギマギ…次の言葉を捜す私。


私:『もしかして!“クレバース先生しか男性だと思えない”って、周りの男子からの誘いをシャットアウトしたこと?ですか?』


ヘルマン:『フランクから聞いたニコニコ


私《げ…。余計な事を。しかも本人に言っちゃったんだぁ~カルチャ-ショックドンッ
↑↑↑
日本人はオトコ間では、そーゆー事を話さないよなぁ…


私:『それは~、ネタじゃなくて、本心なんです。すみませんでした。』


ヘルマン:『告白するのに謝らなくていいよ。』


と、クレバース先生は笑みを浮かべておっしゃった。


私:(傍白)Σ(゚□゚;)…告白?


彼は続けた。


ヘルマン:『日本人の女子から男性視されるのはあなたが初めてだよ~!いつも、先生って呼ばれて…
伏し目がちで、アプローチしても目をそらす日本女性が殆どだったから~
どう扱っていいか分からなかった。』


私:『それはきっと、素敵な先生を目の前にして、恥ずかしいからですよ。ガーン』…超ドギマギ


ヘルマン:『では、あなたは?出会った時から僕の目をじ~っと見ていたでしょう?』


私:『目を見ないと、言語、通じないんで~。本当は私、ワロン語もオランダ語も半分わからないんです。』


ヘルマン:『そうは思えないが。
それより、ダンディーな男爵師匠さんがいるのに、僕でいいの?』


私:『男爵はお父さんとしか思えないですから…。ガーン


ヘルマン:『道理で~っ!
あなたたちのを見ていると、親子でお笑い茶番劇やっているようだもの!』


と、クレバース先生はすごく受けていた。


さらに、
ヘルマン:『あなたがはやし立てて、背広姿の男爵にサッカーをやらせていたでしょう?見ていたよ!
僕はその近くのホテルにステイしているんだっ!』


私:(*_*)…み、見られていた…(放心状態)


ヘルマン:『どうしたの?大丈夫?』


それから私たちはグランプラスを抜けて、イロ・サクレ地区へ。


J教授たちがご飯する地区。出くわさなきゃいいが…。


ヘルマン:『何か食べたい物を言って?』


私:『(^^;)…ええと、
魚介類か貝がいいです!』


Chez Leonと言うお店に行くことになった。


白ワインで蒸したムール貝をいただきながら、


私:『19才の時のクレバース先生が、録音されたブラームスのバイオリン協奏曲、とても気に入ってます!』


ヘルマン:『〔●゚〓゚●〕/~~~あれはメンゲルベルクが指揮でね、ナチスが蔓延っていたからヨアーヒムのカデンツァが使えなくてねー。急遽メンゲルベルク先生と相談して作曲したんだ』


私:『(^o^)ノシ…あのカデンツァはクレバース先生が作られたんですね!ヨアーヒムのより気に入ってます!使わせてもらっています。』


ヘルマン:『(´_ゝ`)…あのカデンツァは出版していないのに、弾いている生徒がいて、笑ったよ!君だったかぁ!』


私:『(^^;)…すみません!勝手に使って!』


ヘルマン:『(´_ゝ`)…あんなカデンツァで良ければ。』


私:『(@∇@)/…そうだ!先生から、反射神経の秘訣が聞きたかったの!』


ヘルマン:『(´_ゝ`)…それは、男爵先生かSerban(同僚?)さんに聞くのが近道!でもね、天職を全うしよう!と、前向きならば、あとは反射神経や体力が味方してくれるものなんだよ』


私:『(゚Д゚)…て、天職?ですか』


ヘルマン:『(´_ゝ`)…コンセルトヘボウの中の合い言葉は、持ち場みんなルーピングで!(天職で)

ひとたび人間は天職に目覚めたら、反射神経も開くし、体の機能が全部味方してくれるようになる』


私:『(゚Д゚)…持ち場みんなルーピング…ルーピング?天職?』


お互いに母国語じゃないワロン語で話すから、何度も


『パードン?』と聞き直し合ったり、楽しかった。


そして、一食自炊じゃないってことの有り難さ、というか『楽さ』を知ってしまった私…。


夜の9時半までお店にいた。


帰りはレジャンス通りまで送ってくださった。
男性のエスコートってイイ~っ!(開眼しちゃったカモ)。


部屋に入るとナジャ姉たちが、
『どうだった?どうだった?どうだった?』と聞くので、親指立てて見せた。


夜中まで盛り上がった。