イグサは畳表に使われる草だ。ラテン語ではジュンカス、「結ぶ」という意味だ。畳や帽子などの工芸品だけでなく、野人も子供の頃から簡単に「結ぶ」やり方で、ある生き物の捕獲に使っていた。十数年前に大勢の子供達の目の前で実際に捕獲して見せたのだが、これがまた拍手喝采で大反響、「親方~~!」とすり寄って来られて困った。
このイグサで簡単に捕まえられる生き物はイモリとカエルだ。写真のような輪を作り、中にイモリやカエルが入った時に勢いよく引っ張れば簡単に輪が締まるようになっている。
やり方は簡単でイモリやカエルの顔の前に入れて待ち伏せれば良い。双方とも後ずさりをしないから飛び込んでくる。イモリが動かない場合は草で尾を突けば嫌々ながら輪に入ってくる。カエルは跳ぶときに両足がやや開く。つまり、輪を飛びぬけ抜けそうに見えて足元が引っ掛かって自分から締まってしまう。「キュ~!」と両手両足おっぴろげた格好で釣られて来るが特に害はない。イグサの輪は簡単に緩んですぐに息を吹き返す。やり始めると面白いように釣れるからやめられない。やって見せたのはヤマハ音楽教室の子供達数十人だった。おそらく始めて見たのだろう。やり方を伝授したら夢中になって「イモリ釣り」にハマっていた。「親方~!質問・・」と声があがる。「イモリのお腹は何故こんなに赤いのですか?」と赤と黒の毒々しい模様を見せる。背中は黒くて地味なのだ。愛嬌のあるヤモリと似ているが、ヤモリは爬虫類でイモリは両生類だ。イモリはフグと同じ毒、テトロドトキシンを持つので食べられない。刺激を体に受けると体を反らせて赤い腹を見せるが、これは毒を持つことを捕食動物に知らせる為で、毒々しい色は警戒色なのだ。このイモリは性格が大人しいので子供達に人気はあり、野人も子供の頃はよく遊んだ。機会があれば練習して、是非子供達を喜ばせて欲しい。これだけで親は尊敬されるだろう。
イモリの体の再生能力は脊椎動物の中でもずば抜けて優れている。多くの脊椎動物は尾の再生が出来ないがトカゲは自ら尾を切り離し再生する。しかし骨までは再生出来ない。しかしこの不死身のイモリは、尾の骨どころか、四肢を肩の関節から失っても指先まで完全に再生出来るのだ。まさに驚異の再生能力で尊敬に値する。いくらでも歯のスペアを持つサメどころではないのだ。そこでいつもの言葉をイモリにかけてあげたい。「あんたは偉い~!」