美味 スズキの生ハム | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは


ハムとは豚のモモ肉のことで、魚にハムと言う言葉は適当ではないがこれが一番わかりやすい。ハムと言う食品のイメージが出来上がっているからだ。「ロースハム」を直訳すればロースモモになってしまうが、ロース部を使ったハムで通用する。ベーコンとは豚バラ肉の塩漬けのことだ。燻製とはスモークの事だが、ハムやベーコンは必ずしもスモークしなければならないと言うものではない。スモークは本来は防腐効果を強くするのが目的で、次が風味だ。冷蔵庫が普及した現在は風味目的のほうが強い。生ハムは加熱せずに塩分を強くして時間をかけて熟成させる。魚ではスモークサーモンが代表だが、肉ほどは時間がかからない。スモークサーモンはヨーロッパの食文化なのだが、何故、日本にはそれしかないのだろう。海に囲まれた日本は魚介の食文化王国なのだ。地中海からシルクロードを通って伝わった「カラスミ」もボラの卵巣を使いこなしている。地中海では元々マグロやスズキなどの卵巣だったのだ。日本ではボラが魚食文化の中心だったからボラの卵巣が定着した。

スモークサーモンは調理名で言うなら「鮭の冷燻製」と言う。温燻製は日本には昔からたくさんある。鰹節も煙で燻したものだ。イカ燻、タコ燻、燻タマなるものまである。

随分前の話だが、「何故冷燻製がサーモンしかないんだ!」と雄叫びをあげた。聞く人は「そう言えばそうだ、おかしいなあ~」と気付く。鮭は北国しかいないが海にはスズキもボラもマヒマヒもいるのだ。そしてさっそくそれらの魚で試作に入った。あまりの旨さに、それからずっと作り続けている。

これは4キロの天然のスズキを即死、血抜き、活け絞め、三枚におろし、ヒレに数時間ベタ塩当てして水分と臭みを抜き、ワインベースのソミュール液に数時間浸し、数時間風乾、表面が乾いてから一昼夜桜のチップで冷スモークしたもので、二日がかりの逸品だ。薄くスライスして食べるのだが、食感はねっとりとして本当に旨い。スモークサーモンのような脂っこいクセはない。真空パックして冷凍すれば二年でも大丈夫。何しろ水分を抜いて、塩分を加え、防腐煙でコーティング、酸化する空気に触れさせず冷凍しているのだ。品質が落ちるはずがない。いつでも食べたい時に「生魚」が食べられる。魚臭くはないから子供でも食べられるし、脂っこくないからバアちゃんでもパクパクだ。日本人なら日本人らしいものを作って食う、これが野人のモットーだ。カラスミもどっさり作って冷凍している。すべてお茶漬け用に・・・