写真は90cm、6キロの本サワラだ。今日漁港に揚がったものを5匹仕入れてきた。
ブリはアジ科、マグロやサワラはサバ科の魚、つまり親分はサバになる。サバはイノシン酸旨味成分ナンバー1だ。日持ちするマグロはそうでもないが、サバと同じように弱りやすいサワラもそれに匹敵するくらい旨味を含んでいる。サワラの頭は体に対して小さい。胴体も長いから魚の中では肉の歩留まりが一番良い。タイやスズキで4割弱、ブリで5割弱、サワラは6割にも達する。サワラは鰆と書いて春を告げる魚と呼ばれている。瀬戸内海のサワラ漁が有名だが、サワラは日本沿岸を回遊する。産卵の為に瀬戸内海に押し寄せるのが春だから旬は春と思われているが、それは瀬戸内海だけの話だ。伊勢湾や東京湾にも回遊してくるが秋に一番脂が乗って美味しくなる。特に晩秋のサワラはマグロのトロ並みに旨い。色んな人に魚を食べさせたが、一番感激したのはサワラだった。どちらかと言えばマグロは魚らしくないトロだが、サワラは魚の味ムンムンのトロだ。大きなものは10キロ近くまでなるが、大きな程脂がのっている。幼魚はサゴシと呼び、脂はほとんどなくて安価だ。真夏もサワラ漁は盛んだが、腹の部分は十分トロ並みだ。焼くと脂がしたたり落ちる。サバに似て弱りやすく、そのほとんどが焼き物用として流通している。照り焼き、味噌漬けは確かに美味しいが、サワラの醍醐味はやはり刺身だ。鮮度が良くないと身割れして刺身にはならない。サワラの旨さは特に皮との境にある。タイなどの魚でも皮付きの湯霜造り、焼き霜造りは旨いが、サワラは「これに限る」というくらい旨い。皮を捨てるなんてもったいないのだ。ウロコがないから調理も簡単だ。他の魚は皮だけ焼いて氷水で急激に冷まし、水気を取って刺身にするが、サワラは氷水に入れないほうが旨い。水っぽくなってしまうからだ。生温かいまま刺身にする。よく寿司屋で見かけるトロのあぶり焼きのようなものだ。カツオでやっても構わない。今回のサワラは脂が強く、旨いのだがたくさん食べられそうにないので背の部分をタタキにした。程良い脂でサワラの旨味を堪能した。次回にもサワラの旨い食べ方を幾つか紹介する。

