自然には驚くような大木が無数にある。植物の繁殖には動物が活躍するが、大きく育つには必ず動物が必要なことは知っているだろうか? 植物は無機質から有機質を作る地球の最大の功労者。水と空気中の炭酸ガスと窒素から有機物を作って育つがそれだけでは大きくはなれない。植物を構成する元素はそれだけではなく他にも色々ある。カリウム、カルシウム、マグネシウムなどで重要な元素は硫黄とリン酸だ。そのほとんどの元素は元々土壌に含まれている。生命の起源は海で、大地は海底が隆起したもの。生命に必要な元素はほとんど含まれている。それらの必要元素の中で唯一最初から含まれていないものがある、それがリン酸で唯一植物が自力では調達できない元素だ。リン酸なくして植物も野菜も大きくは育たない。リン酸は生活廃水に代表されるように動物がもたらすもの、そして窒素、カリウムと並び、肥料の三要素とされている。自然界の植物は、その起源からリン酸を人ではなく動物からの補給を受けて繁栄してきた。リン酸や硫黄は動物の死骸や糞尿に含まれている。元々大地に含まれる元素は似たようなもので限りがあり、大木に育つには外部からの補給が不可欠で動物の助けが必要。木はその葉や果実を食料として動物に与え、枝は昆虫や鳥類の住処や餌場として与え、その糞尿や死骸を根元に落としてもらうことで「外貨」としての養分を確保して来た。食物連鎖から動物は植物を食べて育つ、動物には植物が必要とする養分の全てが含まれている。だから人類は太古から人糞を最大の肥料として野菜を育ててきた。しかし自然界の植物は何億年もの間必要な養分の全てを大地と動物から賄ってきた。野山を見ても森羅万象はそれで十分だということを教えてくれている。
生命の歴史をたどれば、海には生命が溢れ、陸上はコケ類が最初で、大地は保水力もなく雨水は一気に海へ流れ込んでいた。やがてコケ類は原生植物のシダ類へと進化し、魚類も大雨が降るとシダ類の葉がもたらす有機物を求めて川を上り始めた。干上がった川底で生き残るために泥の中で肺呼吸する「肺魚」に進化、やがて両生類として陸上へ進出した。この頃から動物と植物は互いに共存して大きく進化し始めた。どちらかが欠けても現在の繁栄は不可能だった。人はその仕組みの中から道理を知り、現代の農業を生み出した。肥料や農薬はその最たるものだろう。特に農薬は百害あって一利なしということはわかっていても使い続けるしか術がない状況に陥っている。使いたくて使う人は一人もいないはず。本来必要でないものが必要ということは、やはり何処かが間違っているとしか言いようがない。何故、森羅万象の道理から虫や鳥などの生き物を排除して農業を進めたのか、完全なものを得るために途方もない労力を使っているのではないだろうか。無駄が無駄を積み重ねているように感じる。
健康問題や海洋汚染などの環境問題など根本から見直す時期に来ている。出来上がったシステムを壊すには相当なエネルギーが必要。しかし枯渇することが見えている石油に代わり、安全な電気や水素エネルギーなどの開発が急ピッチで進んでいる。考えて見れば、電機を得るには火力や原子力などの発電所が必要だ。水素を得るにも電気分解が必要。石油やウラン無しで電気や水素を取り出す技術が望まれる。石油が枯渇すれば地球は「原子力」という諸刃の剣の爆弾を抱えることになってしまう。そのウランでさえも限りがあり将来は石油と同じ道をたどることになる。農業もそのように考えれば、環境さえ理に適えば本来は何もしなくて糧を得ることが出来るもの。生き物と共存した農業、そこへ行き着くのではなかろうか。