経年劣化 或いは回帰 | 踊るヘルパー! 二枚閉め子

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ホームヘルパー業務において、技術的にプラスになる様な記述はほぼありません。



が、「人」対「人」。文面から何か掬い取ってもらえれば幸いです!


こんにちは、閉め子です。

今日の午前は素晴らしい青空で、うっかりお伺いする家を通り過ぎてしまいました。

気付かなくても良かったかな?

ウソ嘘。

台風が来るまでは、いまいち季節感のない日々でしたが、今日の町並みはくっきりと秋色だった様で、とても気分がよろしかったのです。

バイクの機嫌もいいしね。

あ~あ、のんびり田舎道でも走りたいなあ。


さて、毎週金曜の午前にお伺いしているTさん。

八十九歳のおじいちゃん。

物書きをなさっている。

作家というよりも、近隣の広報誌に寄稿しているエッセイスト。

「わが人生」というタイトルで、日々文章を紡いでいる。

Tさんは満州で生まれ育って日本に帰って来たらしく、「これちょっと読んでみて」と手渡される自作の小冊子には、満州での、子供の頃のお話がびっしりと詰まっている。

紙面から満州の匂いがしてきそうだ。

異文化に触れることで驚きも多いが、言葉のひとつひとつを吟味して織り込まれているのがひしひしと伝わって来て、何とも言えない迫力に圧倒されるのだ。

今日も一冊の小冊子を頂いた。

その場で開くと、一ページを読んでから違和感を感じた。

助詞や助動詞の使い方が今までとは違うのだ。

「最近、どんな本読んでるの?」

「最近な、どうも集中して本読まれへんから何にも読んでないねん」

「そうなんや」

小さく答えて再び紙面に目を戻すと、次は構成がおかしい事に気付いた。

明らかに、今までとは違う。

おかしい。

「お家に帰ったらゆっくり読むね」

そう言ってリュックにしまい、お昼御飯を作り始めた。

いつもはワタシがお料理を始めると、自分の部屋に入ってワープロをかしゃかしゃしているのに、今日は、台所に立っているワタシの傍に立って、なにやら不思議そうにのぞき込んだりした。

「それは何や?」

南瓜を煮ていた。

Tさんの大好物だから。

頂いた小冊子を読んで感じた違和感がくっきりと形になっていった。


老いることは、誰も避けられない。

誰だって、何だって、そうだ。

でも、どうやら呆け始めたTさんと接して少しでもいいから時間を逆回転してほしいと思った。