キッチンでミネラルウォーターを飲んでいて、突然リビングのドアが開く音に驚いた。
急いで見に行くと雪哉がジャケットを脱ぎながら入って来た。
「あれ?お帰りなさいっ!早かったね?」
「ただいま」
杏梨の姿を見て雪哉の視線が停止した。
お風呂上りの肌はピンク色に染まり、キャミソールとホットパンツからすらりとみずみずしい手足が伸びている。
思わずその肌にキスをしたくなる。
「その姿は目に毒だな・・・」
ボソッと呟いただけだったのだが、杏梨の目が大きく見開かれた。
「な、なんか着てくるね」
ペットボトルをテーブルの上に置いて自分の部屋に向かおうと雪哉に背を向けた。
「杏梨」
背後から長い腕がふわっと杏梨の腰に回った。
「ゆ、ゆきちゃん?」
「杏梨 好きだ・・・愛している」
すっぽりと俺の腕の中にいる杏梨が愛おしくて言っていた。
ゆきちゃんの唇を髪の毛に感じる。
そこから熱が徐々に伝わってくるかのように杏梨の顔が赤くなる。
ドクドクと心臓が暴れだす。
「何も言ってくれないの?」
甘く囁く声に足の力が抜けて行きそう・・・。
「っ・・・ゆ、ゆきちゃん!酔っ払ってるのっ?」
自分で立っていられるように力を入れる。
「杏梨・・・俺の事、嫌いになった?」
「!そ、そんな事ないよっ!」
雪哉の腕の中でふるふると頭が揺れる。
いきなりだったから・・・恥ずかしかっただけ・・・。
だって・・・びっくりだったんだもん。
「本当に?今までどおりに俺を愛している?」
う・・・今度は頬にキス・・・。
杏梨は雪哉の腕の中でクルッと回ると腕を伸ばして首に抱き付いた。
赤くなった顔を見られるのが恥ずかしかったからだ。
「ゆきちゃん、当たり前の事聞かないでよ・・・ずっと大好き・・・愛してるの・・・」
言葉にするのは恥ずかしかったけれど、言わなくちゃって思った。
雪哉は杏梨の腕を引き離すとピンク色の唇にキスを落とした。
そして杏梨を横抱きにして自分の寝室へ向かう。
「じ、自分で歩けるよ ゆきちゃん、酔っ払っているんでしょ?」
抱き上げられて慌ててしまう。
「そうだね・・・酔ってる」
「ゆきちゃん、く、車どうしたの?」
わたし、頓珍漢な事聞いている・・・。
「・・・代行に頼んだよ」
本当に酔ってるの?
私を抱いて平気で歩いているんだから酔っていないみたいだよ・・・。
わたしを運ぶゆきちゃんの顔は真剣な表情で、お酒なんか一滴も飲んでいないみたいに見えた。
続く