パリから南へ約230kmの距離にある

 

フランス中部の町ブールジュ。

 



町のシンボルともいえる

 

サン・テティエンヌ大聖堂

 

(ブールジュ大聖堂)は、ゴシック

 

建築の傑作のひとつと称され、ユネスコ

 

世界遺産にも登録されています。

もともとはロマネスク様式の小さな

 

聖堂でしたが、1195年、当時の最先端

 

であったゴシック様式を取り入れた

 

大聖堂への改築が始まりました。

 

その後、倒壊と修復を繰り返すなかで、

 

ロマネスク、ゴシック、フランボワイヤン、

 

ルネサンスなど、さまざまな建築様式が

 

加わり、フランス建築史の変遷そのものが

 

凝縮された現在の姿となりました。
 

 

この大聖堂の面白さは、左右で形状

 

の異なる二つの塔(向かって右側の

 

南塔 53m、北塔 65m)をはじめ、

 

独特の設計にあります。

 

一般的なゴシック大聖堂では、中央の

 

身廊とその左右に設けられた側廊に

 

対応して、正面には3連の扉が並びます。

 

一方、ブールジュ大聖堂では、

 

身廊の両側にそれぞれ2つずつ、

 

計4つの側廊が設けられているため、

 

正面に並ぶ扉も5連。

 

 

内部構造がそのまま外観に表れています。

 

少し離れたところから見ると、

 

より壮大さが際立ちますね。

 

 

それぞれの入口には細かな彫刻が

 

びっしりと施され、13世紀の建造

 

当時の姿をほぼ完全に保っている

 

中央扉口の半円形のタンパン

 

『最後の審判』の浮き彫りは必見です。

 

 

上層の中央に両手を広げて座る

 

復活したキリスト、受難の道具を持つ

 

天使たちが囲み、その横で聖人たちが

 

救済の祈りを捧げています。

中層では大天使ミカエルが死者の魂の

 

重さを量る天秤を持っています。

善い行いをし、救済された者は、

 

穏やかな表情でアブラハムの抱える布

 

(天国の象徴)へと導かれ、悪い行いを

 

した者は、恐ろしい悪魔たちによって

 

地獄へ連れ去られます。
 

下層では死者たちが墓蓋を持ち上げて、

 

起き上がる姿が刻まれ「肉体の復活」

 

という当時の強い信仰観が表されています。

 


近づいてじっくり眺めてみると、

地獄の場面は残酷さの中にもユーモアが

混ざり、人物それぞれの表情や動作の

 

細やかさに、思わず目を奪われます。


中世の職人たちの卓越した技術と豊かな

 

表現力に、改めて感心させられます。

 


 

奥行き124m、幅41mの大聖堂の

 

内部に足を踏み入れると、

 

思わず感嘆の声が漏れます。


大聖堂というと、長い身廊と交差する

 

翼廊による十字形の姿を思い浮かべる方も

 

多いと思いますが、ブールジュ大聖堂には、

 

横方向の翼廊がありません。

 

 

特に印象的なのが、左右の側廊へ

 

向かって、天井の高さが中央身廊 37m → 

 

内側測廊 21m → 外側側廊 9m と段階的に

 

低くなり、中層と上層をまたぐ

 

二重のフライング・バットレス

 

(飛び梁)が使われている点です。

これらの独特な構造により、全層から

 

自然光を取り込め、明るく伸びやかで

 

一体感のある空間をつくり出しています。

 

 

また、ステンドグラスの美しさでも

 

知られ、内陣を囲むステンドグラスの

 

多くが、戦災や破壊を免れた13世紀の

 

オリジナルです。

 

 

見応えのある作品の中で、

 

注目の『最後の審判』。

 

悪魔や釜、炎が描かれた地獄の場面も

 

恐ろしさだけではない不思議な美しさを

 

放っています。

 

 

こちらは新約聖書の

 

『放蕩息子のたとえ話』。

 

父親の元を離れた息子がさまざまな経験を

 

経て帰郷し、再び家族との関係を取り戻す

 

物語で、単なる教訓にとどまらず、赦し

 

(ゆるし)や和解、人と人とのつながり

 

について考えさせられる作品です。

 

鮮やかな色彩に目を奪われながら、

 

その奥に込められた思いに触れると、

 

遠い中世の人々の心が身近に

 

感じられる気がします。



壁面を彩るステンドグラスから

 

色とりどりの光が重なり合い、石造りの

 

空間をやわらかな色で染めています。

何百年もの時を超えて、今もなお

 

人々を魅了し続けるステンドグラス。

 

そこに宿る光は、歴史や芸術の奥深さを

 

物語ると同時に、日々の忙しさを

 

忘れさせてくれるような静かな

 

ひとときをもたらしてくれます。

 

 

パリから日帰りも可能なブールジュ。

少し足を延ばして、中世の面影を残す

 

町並みや800年の歴史ある大聖堂

 

と出会ってみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

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