終戦翌年の1946年、
高雄市紅毛港の漁民が仕掛けた網に
人間の頭蓋骨がかかりました。
身元不明のまま、心を痛めた漁民たちは
祠の神棚に安置し「海府尊神」として
丁重にお祀りしました。
すると不思議なことに、
大漁が続くようになったそうです。
霊験あらたかな神として海府尊神は、
1953年についに独立した廟(お墓)
「保安堂」として建立されました。
その後、旧日本海軍の軍人が
地元の漁師の夢枕に立ち、
「自分は第38号軍艦の艦長で、
バシー海峡で米軍に撃沈された。
部下たちを国に帰らせることが
できず無念だ」と日本語で語りました。
信者たちは、海府尊神が
旧日本海軍の軍人であると確信し、
神名を「海府大元帥」と改めました。
1990年代には、艦長と部下たちの魂が
祖国へ帰れるようにとの願いを込めて、
造船職人の黄秀世が軍艦模型を製作。
「38にっぽんぐんかん」と
名付けられたこの神艦は、
LED照明や電動で動く砲台を備え、
乗組員を模した人形が
乗り込む精巧な作りとなっています。
2018年、廟の張吉雄住職は
日本語もままならないまま
日本に向かうことを決意します。
そして防衛省の図書館で
戦時日誌を調べ、
数々の苦労の末についに
「海府大元帥」が
第三十八号哨戒艇の艇長、
高田又男大尉であることを
突き止めたのでした。
さらに熊本に住む
高田大尉のご長男の所在も
確認できました。
保安堂の日本語ブログ
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1944年11月、旧日本海軍の
第三十八号哨戒艇
(樅型駆逐艦「蓬(よもぎ)」)は、
フィリピン・マニラから
台湾・高雄への輸送船護衛任務に
ついていた。
しかしバシー海峡にさしかかったとき、
アメリカ潜水艦の魚雷攻撃を
受けて沈没。
艇長の高田又男予備大尉以下、
乗員145名が全員戦死した。
若き将兵たちは遠く南の海の底に沈み
祖国への帰還を果たせぬまま、
歴史の波間に消えていった。
バシー海峡は台湾とフィリピンの間に位置し、
太平洋戦争中に多くの日本艦船が
撃沈された「魔の海峡」として知られる。
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現在、祭壇には146名の
戦没者全員の名が掲示されています。
遺族や縁者が名前を探しに
訪れることもあるそうです。
張住職は「146名の英霊に
栄誉ある日本帰郷をさせると誓い、
それが果たせるまで廟に住み込む」と語り、
今も日本側との正式な帰還儀式の
実現を模索し続けています。
毎朝6時と夕方17時、
廟では「君が代」と
「軍艦マーチ」が流されていて、
艇が撃沈された11月23日には
毎年慰霊の式典が行われます。
高田艦長の出身地、
熊本のテレビ局が保安堂のことを
取り上げた番組動画を拝見しました。
その動画によると
高田艦長が戦死された時に、
2歳だったというご長男が
熊本でご存命だったことが判明。
「神様の息子」として
80歳の時に現地に招かれ、
慰霊祭を行ったそうです。
台湾の人々の熱意が
戦後80年の時を経て
ご遺族を呼び寄せたのだと思います。
みんなでお線香をあげて、
台湾式のお供物をお供えしました。
あの世で使える「お金」を
火にくべてお届けします。
この廟は単なる観光スポットではなく、
今も現役の信仰の場です。
参拝の際は台湾の廟の礼儀に従い、
英霊への敬意をこめて
お参りさせていただきました。
武力よりも、理屈よりも
「祈り」の力が最も強い。
台湾人も日本人も
そのことを良く知っている
民族だと思います。
またこの廟は故・安倍晋三元首相にも
ゆかりの場所です。
毎年8月15日に行われる
戦没者慰霊祭の折に、
146名の名簿を備えたいという願いに
応えようとしてくれていたそうです。
残念ながら安倍元首相は
2022年7月8日、
凶弾に倒れてしまいます。
翌日、廟内に追悼の場を設けると
3,000名以上の市民が
献花に訪れたそうです。
廟の担当者は
「台湾の永遠の友人を記念したい」と
銅像と記念庭園の設置を即座に決定。
それからわずか2か月半後の同年9月24日、
安倍元首相の国葬(9月27日)を
3日前に控えたタイミングで、
等身大(高さ175センチ)の
銅像の除幕式が執り行われました。
台湾各地の有志から寄せられた支援金は
約1,500万円にのぼり、
製作費800万円を大きく上回りました。
安倍元首相ゆかりの品が
展示されています。
昭恵夫人が5月9日に
来られる予定だそうです。
飛虎将軍廟、保安堂とも
台湾の方が大切にお祀りして
くださっていることに
深く感銘を受けました。
台湾の地に日本とつながる
「光」を観ることができました。
12年前、参政党の神谷宗幣さんに
連れてきてもらった台湾の地を
主催者として訪れることができ
日台の学びのバトンを渡せたことが
個人的には感無量でした。
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