台湾南部は、かつては
水不足に悩まされる土地でした。
雨は降っても貯めることができず、
人々の暮らしも決して豊かとは
言えなかったといいます。
壮大な灌漑事業に挑んだのが
日本人技師・八田與一 氏でした。
1920年から建設開始、1930年に完成。
その規模は当時東洋一でした。
彼が手がけた烏山頭ダムは、
当時としては世界でも
例の少ない工法を用いた
大規模なダムです。
技術的な困難はもちろん、
資金や環境、地元住民の理解を得ることなど、
数えきれない壁がありましたが
地域の未来を見据えて事業を進めました。
異国の地でありながら、
しかし彼は一切の妥協なく、
水を届けるという使命に身を捧げます。
ダムの完成後、
広大な嘉南平野に水が行き渡り、
不毛の地は豊かな穀倉地帯へと
変わっていきました。
それは単なるインフラ整備ではなく、
「人の暮らしを変える」仕事でした。
現在の台南ではバナナや
パイナップルなど
果実の栽培も盛んです。
その水は大地を潤し、人々の命を支え、
やがて豊かな実りをもたらしました。
そしてもう一つ、心を打たれるのは、
台湾の方々の祈りの深さです。
八田與一の像には、今も花が手向けられ、
感謝の気持ちが絶えることはありません。
ダムの他にも日月潭発電所、
桃園大圳など重大な建設にも貢献し
台湾の学校の教科書にも紹介されて、
台湾人から尊敬される存在です。
八田さんは1942年に船で
フィリピンで向かう途中に
アメリカの潜水艦の攻撃により
亡くなりました。享年56歳。
妻の外代樹さんは夫のあとを追い、
1945年9月にこの放水口に
身を投げてこの世を去りました。
八田夫妻の8人の遺児は
台湾で生活していましたが
後の国民党政府の時代に
日本に送還されたそうです。
5月8日の命日には
銅像のある場所で慰霊祭が営まれます。
銅像の後ろには
ご夫妻のお墓があります。
みんなでご冥福をお祈りしました。

八田與一紀念公園には
木造の建物が4棟あります。
当時、八田さん達が住んでいた住居を
再現したものです。
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