ミッシェル・ルグランさんのドキュメンタリー映画にあわせて
『シェルブールの雨傘』がリバイバル上映されていました。
初めてみたのは確か高校生の時だったかな
あの頃、ゴムでまとめた髪に
リボンつけるのが学校で流行ってて
気に入ったリボンを求めて手芸屋さんに行って
好きな長さにカットしてしてもらった時がありました。
映画に登場するドヌーヴ様のリボン遣いや
トレンチコートをはじめとしたお洋服
それに部屋ごとに違うお洒落な壁紙に、客人にもてなすティーセット
それになっといってもミッシェル・ルグランの音楽!
色彩の豊かさと音楽に圧倒されましたが
その感想は大人になった今も変わりませんでした。
お年頃になると、チェックする視点も変わります。
デートから戻って親と会話するときの
気まずさや(母親というのはどうして、ああも鋭いんだろう)
好きな人と一緒になることは出来ないの?と
涙を濡らす心情に自分を重ねたり
夫を亡くし女手ひとつで娘を育てるママンに
自分を重ねた時もありましたね。
店を一人で切り盛りする強さと、娘の幸せを願う気持ち
そして時にジュヌヴィエーヴの気持ちに寄り添いながらも、
ついつい自分の考えを押し付けてしまう弱さ
何度も観ているのにいろんな発見があるのです。
以下あらすじです。
(ラストまでネタバレしてますのでご注意ください)
第一部 出発
フランスの港町シェルブールに住む傘屋の娘
ジュヌヴィエーヴ(カトリーヌ・ドノーヴは16歳
病弱の伯母と二人暮らしの自動車修理工の青年
ギイ(ニーノ・カステルヌオーヴォ)は20歳
二人は結婚を誓った恋人同士です。
ジュヌヴィエーヴのママンは
経済的な理由で交際を反対。
そんな中ギイにアルジェリア戦争への徴兵令状が届き、
ギィは戦地へと旅立っていきます。
第二部 不在
ギイが去った後、ジュヌヴィエーヴは彼の子を身ごもっていることに気づきます。
戦地へ行った彼からの手紙も段々と届かなくなってきました。
そんな中ママンの営む傘屋は倒産の危機に…
不安に苛まれる中、裕福な宝石商のカサールが
ジュヌヴィエーヴに結婚を申し込みます
お腹の子供は自分の子として育ててもいい
愛しているのはギイだけ
でも若い彼女には会えない時間はあまりにも長くギィが遠く思えてきたのも事実
母親の勧めもあり、経済的な困窮もあって、
ジュヌヴィエーヴはカサールのプロポーズを受け入れ、パリで新生活を始めます。
第三部 帰還
兵役を終え、負傷してギイがシェルブールに戻ってきました。
ジュヌヴィエーヴがほかの男性と結婚したことを知り自暴自棄に。
不幸の追い打ちをかけるかのように
たった一人の肉親だった伯母も他界します。
しかし、密かにギィに片思いしてた幼馴染の女性マドレーヌに支えられ
少しずつ立ち直り、二人は結婚します。
エピローグ
夢だったガソリンスタンドの経営も順調
子供も生まれギィはマドレーヌと幸せな家庭を築いていました。
そしてクリスマス。
ギイのガソリンスタンドに立ち寄った車の中にいたのは
あのジュヌヴィエーヴでした。
彼女は娘(ギィとの子)を伴っていました。
娘の名前は、女の子が生まれたらつけたいと話していたフランソワーズ
会ってみる?
彼は無言で首を振り、もういった方がいいと帰りを促します。
再会した二人は、かつての愛を思いだしながらも静かに別れ
ギィは買い物を終え帰宅した妻子を笑顔で出迎え、抱きしめるのだった
ラストシーンに思うこと
『シェルブールの雨傘』は第三部からギィ側の視点で描かれますので
結婚後ジュヌヴィエーヴがどうであったかは描かれていません。
初見時、盛り盛りに盛ったジュヌヴィェーヴの
毛量の多さと、ゴージャスな毛皮のコートに圧倒され
あの初々しかったジュヌヴィエーヴちゃんが
どうしてしちまったのさ~
とびっくりしましたが、見たところ
上流階級の奥様で、経済的な苦労はしてなさそうです。
彼女は劇中自分は嘘が上手くつけないと自己申告していて
劇場の大きなスクリーンで拝見しますと、彼女の表情が
いっぱい何かを語りかけてきました。
彼女の表情を見たギィはどういう気持ちでいたのかなぁ
とそればっかり考えていました。
さて、愛し合った男女が別れて、何年かたって再会し
再び別れる映画と言いますと
『ひまわり』とか『追憶』とか、
最近のだと『ララランド』なんかがありますね。
シェルブールのギィは上の3人に比べて対応が塩対応
裏切ったのは女の方ですし、奥さんが戻てくる可能性もあるので
当然といえば当然なのだけど
私の中では、レッドフォードみたいに
懐かしそうに、でも切なそうに見つめてくれていると
思い込んでましたので、あれ?違うの?
となりました。
ジュヌヴィエーヴの方は
彼がいるわ!
みたいな顔で目を大きく見開いて、じっと見つめるのだけど
ギィの表情はめっちゃ険し 笑
当然彼女も、あれ?想像していたギィとなんか違うみたいと
動揺している感じあがあって視線がキョロキョロ動いています。
(彼女は確かに嘘が苦手そうです)
ガソリンスタンドのシーンを見る限り、ジュヌヴィエーヴはギィに
気持ちが残ってるっぽい感じです。
ガソリンスタンドに来たという彼女のいきさつというのも
ちょっと気になります。
。
結婚して初めて、シェルブールに戻った
昨年の秋に母は亡くなった
義母に預けた娘をピックアップした帰り
回り道してシェルブールに立ち寄った。
一人になって気持ちと向き合いたくなって、自分が一番輝いていた時代を
過ごした町を自分場所を訪れたくなったのかなぁ
狭い港町ですし、風のうわさで
彼はガソリンスタンド経営してるよ
なんて情報小耳にはさんだ日には
気になっちゃて故意に訪れてしまったのでは…
って考えてしまったのだけど
遠くから一目元気な姿がみられればあきらめられるとか
娘にシェルブールの町を見せたかったとか
自分が自分でいられた場所はシェルブールだったわ
とか彼女の心情を思うといろいろな想像がでるのですが
みなさんはいかがでしょか
遠くから確認できるだけでいいかと思ってたら、
まさかの本人登場
裏切った手前、彼が娘に一瞥もくれないことは
多少は覚悟していたとしても、
ジュヌヴィエーヴにしてみれば、あの塩対応はかなり堪えたでしょう。
同時に。
ギィが自分の息子に、ジュヌヴィエーヴとの思い出のある
「フランソワ」を名を付けたのは何故なのか
何故、彼女の目を見て「幸せだ」と答えたのか。
この時、私は不意に「言霊」って単語が浮かびましたね。
己が発した言葉が、そのまま真実となるって考え方
自分はあなたと結ばれなくても幸せだ
自分を捨てた貴女無しでも十分にやっていける
優しい妻も子供もいる。
私の人生に貴女は必要としてない。
わざわざ声に出して彼女に宣言する必要があるあった。
彼女の瞳を通して自分に言い聞かせる必要がある。
ジュヌヴィエーヴを失って、心に酷い傷を負って
もう二度とあの時のような傷は追いたくない。
彼女の目をみて自分い言い聞かせる必要があったのではないかと。
自分から彼女をガソリンスタンドの事務所に招いておいて、
帰るときは見送りにもこない薄情にもみえるギィさん
事務所の窓からじっと見つめていて
さらには入口付近まで移動している彼女の動きを
目に焼き付けているギィさん
幸せなのかの問いには答えるけれど
決して君は幸せなのかの問いかけをしなかったギィさん
これまではボクが世間の雨から守る雨傘だったけど
今キミが度は娘のフランソワーズを雨から守る傘になるんだよ
みたいなメッセージにも思えて。
名画って言われるのは、観る人の数だけいろいろな解釈ができるのだけど
やっぱり印象的なエンディングって何度見ても心に残る名シーンだよなと思います。
まさに「再出発」と「名画の余韻」が重なる一篇でした。






