初めて服用した睡眠導入剤
こんなもので眠れるのだろうか
飲んだ限りは、ゆったりと幸せなイメージに包まれながら
静かに眠るという感じではなかった
頭をガシリと鷲掴みにされ無理やり睡眠にもっていくような
そんな感じがした。
眠りたいのに上手く眠れない。
隣で携帯をいじっていた夫はそのうち、静かに寝息をたてた。
怖い。そして、不安だ。
自分は眠れるんだ。眠れれば身体が動く。
身体が動きさえすれば、私は夫が望む妻の仕事をこなせる。
そうすれば、離婚は回避できる。
明日は、あの部分をきれいにして、
それから、あそこを見直そう。
完璧に 完璧に
やってやろうじゃない
これは、夫ではなく自分の問題だわ
どんなことがあっても、絶対にクリアしてやる
頭は眠る直前まで忙しく考えていたが、薬が効いたのか
久々に眠ることができた。
私はいつまでこういう状態を続けなければならないのだろう。
ある朝、夫はいちばんにこう言った。
みなみ
あのクスリはもう飲むな
クスリに縛られて、これから先キミは動けなくなるぞ
はい…
私は無表情に答えた。
夫は電話帳をパラパラとめくって何やら調べていた。
これだ
そう言って、夫は受話器をとった。
はい… ええ…はい…
ああ… よかったです。
では今から妻をつれてそちらに向かいます。
受話器をおくと夫はこういった
病院をかえよう
予約は今入れた。
○時だ。
ここの病院は漢方薬に力をいれているところらしい。
はい…
(全てはアナタの仰せのままに…)
漢方か…
それなら少し安心だ
私だったらとてもじゃないけど調べられないわ
だって頭がこんなにぐらぐらする。
こんな複雑な作業、できるわけないわ
今のこの人はいうことは信用できないけど
セカンドオピニオンとして受診するのは
私も賛成だ。
僕は今から用事があるから、ちょっと出かけてくる。
今から考えるとあれは、不倫相手とやりとりするために
出かけていたのかもしれない。
今日は君も無理をしないで、のんびり休んで
なんとなく、彼のその言い方がカンに障った
いいえ
思わず、キッとした目で夫を見返していた。
先生にみてもらうレポートを書くわ
先生に会った時、全てを説明するだけの、力は残ってないけど
文字にならなんとかできそうだから
これまでの私の症状や
鬱病の因子になりそうな家庭環境や、治療のヒントになりそうな
ものがあれば出来るだけ書いて、先生の資料にしてもらいたいから。
わかった
そういって夫は出て行った。
夫は味方でいるようで、味方ではない。
私が倒れたら、こみなみはどうなる?
頼れるのは自分しかいない
頭はふらふらしていたが、何とか纏める事ができた。
よし。
夫が鬱病判定受けた時に行った時にも似たような
レポートを作成したが
産業医に提出する書類も作成なんかもしたりもしたが
まさか、今度は自分の為に作成するだなんて。
ひな型できあがってるから、後は自分用に
付け加えるだけよね
と自嘲できるくらいの心の余裕もできはじめていた。