「ベースって、音楽のリズムやハーモニーを支える役目をしている訳だから。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

ドキドキ 芙美花だけが望月にコクリと。
「うん。おじいちゃん、ベースやってる。今も…。」

望月、思わず口に右手を。
「凄い。」

耀司、芙美花に、
「いやいやいや。話を盛るな芙美花~~。70だぞ、70~~。」

望月、目をパチクリとさせながら、
「70で、今もベースを…。」

耀司、申し訳ないやら、照れながらも、顔の前で右手をヒラヒラと。
汐梨は汐梨で、左手拳を口に当ててクスクスと。

芙美花、ブスッとした顔で、
「でも、おじいちゃん、私、おじいちゃんに行くと蔵に連れてかれて、いいか芙美花、おじいちゃんのベース、しっかりと聞いてるんだぞ~~って聞かせてくれるもん。」
望月を見ながら、
「物凄いよ。蔵の一角をスタジオみたいにして音響設備バッチシ。」
そして顔を傾げて、
「多分、私の部屋みたいに、防音にしてるから外には聞こえないけど。ボンボボン、ボンボボン、ボンボン。って、聞かせてくれるの。マジかっこいい。良くあんなに素早く指が動くって思って。両手の指だよ、両手指~~。…でもって、その中の棚と言う棚にギ~~ッシリと、レコードだらけ。」

耀司は耀司で、
「だから~~。親父の場合は度を越してるんだよ~~。かなりのマニアック~~。道楽が凄ぇんだよ~~。」

望月、とにかく目を真ん丸に。

汐梨、いきなり、
「いや。でも、道楽でもあそこまで完璧にやっちゃうのがおとうさん。凄いもんだよ。」

「まっ。」
耀司。
「その影響でおまえはピアノな~~。」

望月、またまた瞬きして、
「えっ!!!木守さんって、ピアノ…???」

汐梨、思わず、左手を顔の前でヒラリと。
「あん。もぅ、私なんて、睦美さんの元ピアニストに比べたら~~。完璧に出来損ない。ま。確かに。4歳の頃からピアノ習ったけどね~~。完璧に、学生時代に頓挫。それどころじゃなかったから~~。」
そして汐梨。周りを見て、
「…ってか。なんで私の話になるのよ~~。」

いきなり晄史、両手を鳴らない拍手で、目を閉じて頭を後ろに、
「かかかかか。」

それを睦美も誓も、
「ちょっと晄史~~。」

晄史、
「あ、いやいや。ごめんなさい。…っと、言うか、前にもこういうシーンがあったような。汐梨さん。いきなり、なんで私の話になるのよ~~。って。思い出しちゃって可笑しくなって。」

そんな晄史に汐梨、クスクスとしながら、
「くくく。確かに。こんなシーン、あったよね。あった、あった。はははは。」

望月、
「あ。でも、凄いです~~。」
高井戸と木守を見て。
「おとうさまが、ベーシスト。」

耀司、
「まぁね~~。ビートルズのポールマッカートニーに憧れたんじゃないの~~。そして、ローリングストーンズやらヴァンヘイレンなんかにも。…んで、結局は、町で一番にベース買って弾いて。部屋で弾いていたのが、うるさくって敵わない。…ってんで、爺ちゃんから蔵の一角で、ここで勝手にやってろって言われて~~。どうせやるんなら本格的にって、爺ちゃんの農業手伝ってのお小遣い稼ぎ。それでも足りずにバイトして。…で、何とか仮のスタジオみたく、改装したのね。親父、中学の頃。…でぇ~~。それでも足りずに、高校でも爺ちゃんの農業手伝ってバイトして~~。今度は防音までして完璧に。」

汐梨、
「くくく。そぅそぅ。」

「まぁ~、爺ちゃんも爺ちゃんで、町じゃ顔、広かったからさ~~。知り合いの建設業者に頼んで、完璧にスタジオ。安くして作ってもらったのよ。」

汐梨もその話に、
「ねぇ~~~。今だったら、あんなの、百数万掛かるんじゃ。」

耀司、口を尖らせて、
「あん。完璧に個室だからね~~。」
みなを見て、
「たったの数十万で。」

目を真ん丸にして晄史、
「凄っ。」

誓も、
「数十万。」

睦美、口に手を。
「初めて聞く~~。」

汐梨、可笑しがりながら、
「あん。だって、もぅ~、50年以上も前の話しだも~~ん。」

晄史、
「あ。そして~~。バンドから引っ張りだこって。」

望月、その声に、
「凄い。」

汐梨、
「まぁね~~。」
耀司を見て、
「だ~~って~。他におとうさんみたいなベース弾ける人、いなかったから~~。」
耀司を見ながら、
「あちこちのバンドからね~~。お願いしますって~~。」

誓、
「へぇ~~。凄いんですね~~。」

耀司、
「まっ。土台、ベースって、音楽のリズムやハーモニーを支える役目をしている訳だから。」

望月、
「あ。主人も同じ事。うんうんうん。」



それぞれ、オーダーした料理は食べ終えて、コーヒーを飲んでいる。
麻沙美は母に凭れてスヤスヤと。

耀司、
「望月さんの旦那様。そっか~~。学生時代にベース~~。…え…???…で、そのベースって今は…???」

望月、
「今は弾いてませんけど、物置には入ってます。記念の品って言って。ハードケースに。」

耀司、望月に、
「望月さんの作曲した曲って旦那様、聞くんでしょ。」

その声に望月、ニッコリと。
「えぇ。全部聞いてもらってます。」

耀司、口をおちょぼにして、
「おほほほほほ。」

「聞いて、意見や感想は…???」
汐梨。

「しっかりと。」
ニッコリの望月。

耀司、口を開けて天井を向いて、
「しあわせだぁ~~~~。」








ママでいい…。   vol,285.  「ベースって、音楽のリズムやハーモニーを支える役目をしている訳だから。」

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