「…ったく~~。兄さん、煮え切らないし~~。気持ちの中では睦美さん、いいなぁ~~って、思ってる癖に~~。あぁだの、こぅだの。」
汐梨。
思わず睦美、また顔を真っ赤に。
そして汐梨、
「…って言うか~~。」
睦美を見て。
「もしかして、晄史さん。睦美さんを兄さんにって、考えた…???」
その声に睦美、真っ赤な顔のままでコクリと。
「あ、はい。実は。その通りで。」
瞬間、耀司、目を真ん丸にして、
「え…???…うそ。そうなの。」
そんな耀司を見て睦美、真っ赤なままで、
「はい。ある意味、けしかけられてました。耀司さんと食事をしながら。」
その声に汐梨、
「うんうん。」
ニコニコと。
芙美花、目を見開いて嬉しそうに、口に両手を当てて、小さな声で、
「わっ。睦美さん、おとうさんの事、耀司って言った。はは。」
睦美、
「私も…。あ、これは、前にも話したんですけど。私、前に恋人、亡くしてるんです。」
宮前、
「あら。」
耀司、
「うん。ジャズバンドの人をね。」
睦美、
「私、ず~~っと、その人の事を…。…でも、弟が。」
顔を傾げて、
「もぅ、死んだ人。過去は過去って。いつまでも…。そんな風に…。それに。弟がいつもいきなり高井戸さんと食事するから。それを私に報告して、いつも私と弟と弟のお嫁さんと。」
耀司、
「晄史さんって言うんだけどね。汐梨も言ったけど。その晄史さんの奥さんが誓さんって言うんだ。」
宮前、
「ちか。」
「晄史さんはちょっと難しい感じなんだけど~~、誓さんは、誓と書いて、ちかって読む。」
宮前、頷きながら、
「あぁ~~。うんうんうん。なるほど。」
そして、
「ふん。良い名前。」
耀司、途端に、
「でしょ、でしょ。で、また、この晄史さんも誓さんも良い人で~~。」
睦美を見ながら、ニコニコと。
「ウチにも来てるよ。今年なんか正月にここで一緒にね。」
汐梨、
「はは。うんうん。」
睦美もニッコリと。
宮前、
「へぇ~~~ぇえ~~。」
頷きながら。
汐梨、
「あ。でも、一番はあれなんじゃない…???…コンサートの時のあの事故。」
瞬間、睦美、目を見開いて。そして申し訳なさそうに、
「あ~~~~。うんうんうん。…ですよね~~。」
耀司を見て、顔の前で両手を合わせて。
耀司、そんな睦美を見てニコニコと顔を振って。
宮前、耀司を見て、
「事故。」
耀司、
「あ~~。うんうん。」
宮前を見て、
「実は。品川でジャズコンサートがあったんだ。」
宮前、コクリと。
「うん。」
「そこで。階段から転がり落ちたんだ。」
瞬間、宮前、
「うそ――――――――っ!!!」
汐梨、
「しかも。睦美さんを抱き抱えながらねぇ。」
宮前、汐梨と女性を見て、
「え~~~~~っ!!!」
耀司、
「もぅ…、咄嗟の事だったから。何がどう。」
汐梨、
「で。結局は兄さん、右足捻挫で、左肩打撲の2週間。」
宮前、耀司を見て、
「う~~っそ!!!」
耀司、コクリと。
「はい。」
そして、
「あっ。…って言うか、今は全然。ははははは。」
汐梨、
「睦美さんを。」
顔を傾げて、目を空に。
「まぁ、昔取った杵柄。黒帯ですから。咄嗟の判断で睦美さんを抱き抱えた。と。で、幸い、睦美さんは何ともなかったと。コンサート会場の2階…???」
睦美を見て。
「その階段から踊り場まで転がり落ちたんだっけ。」
睦美、また真っ赤になって、コクリと。
「えぇ。そうです。」
宮前、目を真ん丸にしながら、
「う~~っそ。えぇ~~~~。」
汐梨、
「私なんて電話で聞いて、び~~っくりして。今からその病院行くって。」
芙美花も、
「私だって、電話でびっくり。」
汐梨、
「その時だよね~~。睦美さん、前の事。その恋人の事。」
睦美、コクリと。
「はい。」
芙美花、
「あ。私の学校の定期演奏会にも睦美さんたち、来てくれた~~。」
耀司、芙美花を見て、ニッコリと。
「はは。」
宮前、
「へっ…???…そうなの…???」
芙美花と耀司を見て。
耀司、コクリと。
「うん。これがまた偶然でね~~。睦美さんの晄史さんが博楼高校の吹奏楽部の定期演奏会に興味を持って。娘が定期演奏会に出るって言ったら是非って。それで一緒に。その時も睦美さん、凄かったんだ。演奏された曲、全部知ってるから。」
宮前、また目を見開いて、
「へぇ~~~ぇえ~~。凄~い。」
また後ろを振り向いて。
「それだけじゃ~~、ありません。」
汐梨。
「これぞ元ピアニスト。これは私の咄嗟の思い付きだったんだけど~~。ある結婚式に~~。まっ。これはつい最近だけど。ご結婚の当事者が、披露宴で生ピアノの演奏をお願いってきたの。」
宮前、
「わぁ、凄~~い。」
汐梨、
「で、そのピアノ演奏を。」
両手を睦美に差し出して、
「こちらの睦美さんにお願いした。」
宮前、女性を見て、
「あら。」
汐梨、自信満々に、
「そうしたら、何と。物凄い反響~~。とにかく。どんな曲でも熟すって。しかも、それが正にプロ。ムード満点。タイミングドンピシャ。」
睦美を見て、
「いやいやいや。とんでもない人。」
ニコニコと。
「私なんて、去年のクリスマスに睦美さんのピアノ聞いて、どたまかちわられたって感じだったもん。」

ママでいい…。 vol,245. 「私、前に恋人、亡くしてるんです。」
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