汐梨、
「あ、お茶淹れるわね。」
睦美、
「あ、すみませ~~ん。」
既に、数分前にまでの宮前と麻友とのムードは搔き消されていた。
キッチンに汐梨、いきなり、
「あ。そうだ。ねね、睦美さん、もしかして、紅茶って好き…???」
その声に睦美、
「あ、えぇ。たまに飲みますけど。」
汐梨、キッチンのカウンターに置いたバッグの中から、
「あのね~~。セレモニーの同僚からの頂き物。ダージリンティ。」
睦美、
「わぁ~~。」
汐梨、睦美にニッコリと。
「飲んじゃう…???」
睦美、ニッコリと。
「えぇ。はい。」
芙美花、
「あん、おばちゃん、私にも~~。」
汐梨、
「んじゃ、この際、みんなで。で、今日は炒飯だからね~~。睦美さん、食べてかないと駅まで送りませんから。」
意地悪そうな声とニッコリとした顔で。
睦美、ペコリと頭を下げて、
「はい。ご馳走になります。すみません、いつも。」
「とんでもない。近い将来は、ここで睦美さんの料理が食べられ条件としてですから。」
また睦美、顔を真っ赤にして目をパチクリと。
芙美花、睦美を見て、
「はははは。」
耀司は耀司で、
「よぅ、喋るわ。」
汐梨、
「あ、そうそう。睦美さん。セレモニーのみんなが口を揃えて言うんだけどね~~。」
その声に耀司、
「ん~~~???」
睦美も、キッチンに振り返って、
「あ、はい。」
芙美花、
「うん…???」
汐梨、トレイに紅茶のカップを。
「ほら、結婚式の時の。」
睦美、木守を見ながら、
「えぇ、はい。」
「まま、睦美さんが元ピアニストって言うのは私が教えて理解したから良いんだけど~~。…それにしても、凄いって。」
睦美、瞬いて、
「えへ…???」
トレイを持ちながら汐梨、リビングに。
耀司、汐梨を見て、
「どういう事…???」
芙美花も、
「うんうんうん。」
汐梨、
「まま。」
カップにお湯を注ぎながら、
「まままま。元ピアニスト。出身地は韓国。でぇ~~。今は~~。私と兄の家の近くにある音楽教室に勤務している人って、話したのよね。」
睦美、コクリと、
「えぇ。」
耀司、
「まぁ。確かに。ある程度の情報は、話しておかないと。なぁ。信用問題に。」
芙美花、父を見て、
「え…???…そうなの…???」
耀司、芙美花に、
「まっ。いろいろと社会的に事情が、ある訳で。」
汐梨、椅子に座りながら、
「まっ。とどのつまりが、良くぞこの短期間でそんな、花嫁の超難問リクエストに応えられた、でぇ~~。話題になったんだけど~~。」
そして汐梨、照れながらも、
「まま、私の、ある意味の、ファインプレー。」
舌をチロリと。
途端に耀司、汐梨を見て、
「…てか、おま、わざわざそれを言いたくって~~???」
僅かに眉間に皺を。
汐梨、下唇をビロンと。けれども、
「…な訳ないでしょ。…ってか、何。結局は睦美さんのMVP的結婚式だったんだから~~。」
いきなり睦美、
「え…???…いや、そんな。」
間髪入れずに汐梨、
「てかさ。睦美さん、物凄い評価よ。セレモニーで。」
睦美、目を真ん丸にして、
「え…???」
「彼女だったら、彼女がOKなら、ウチの専属になってもらっても。って、話まで出て来たんだから~~。音楽教室してても出来るんじゃないのって…。」
途端に耀司、
「おほほほほほほ~~。…って、専属ピアニスト。」
芙美花も、
「凄~~い。」
睦美、ますます目を丸くして、
「うそ~~~。」
汐梨、口を明太子みたいにして眉間に皺を。
「ううん。ホント。それだけの価値はあるって。まぁ~~。本人からの許可を得て~~。ホームページに、お客様のリクエストにて元ピアニストのピアノ生演奏もご用意しておりますって。支配人が。」
いきなり耀司、
「いやいやいや。凄ぇなおぃ。」
そして睦美に、
「何とも。睦美さん。はは。」
高井戸の隣で睦美、口に両手を当てて、
「そんな、私~~。」
汐梨、
「いやいやいや。でも、それだけの評価は当然よ。だって、新郎の両親からもあんなに喜ばれて。…で、次の日なんてまた新郎の新婦がわざわざ菓子折りまで持って、支配人に。思い出に残る結婚式。とにかく生のピアノの素晴らしさ、圧巻でしたって。」
睦美、
「え~~~~。」
まだ口に両手を当てながら。
「でぇ~~。」
汐梨。
「そんな話になりながらのみんなからの質問。」
思わず睦美。目をパチクリと。
「あ、はい。」
「どうして、あんなに簡単にピアノが弾けるのか。…でぇ~~。どうして、あんなに古い曲も知っているのか。しかも、あんなに見事に弾けるのか、それが質問。と、言うか、みんな、信じられないって。まっ。それだけ凄かったってのも、あるんだけど。」
耀司、
「あ、まっ。確かに。うん。そう言われれば、まま。睦美さんが韓国の大学でクラシック。だから、芙美花の定期演奏会の曲も聞いて分かったのは、まっ。当然かと思うけど。で。」
顔を傾げながらも、
「ジャズが好き。…でも、それだけであんなに…???…とは、思うよね。しかも。ほら、余興のあの、男性ふたりのアレンジ…???」

ママでいい…。 vol,220. 「MVP的結婚式。」
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