数少ない新婦の出席者の中で新婦の従姉。
目を何度もハンカチで押さえながら、涙声で、
「凄い。ピアノの生演奏だけで、こんなにも盛り上がるなんて。」
新婦側の席は僅かにひとつのテーブルのみ。僅か6人である。
そのために、そのテーブルだけが他のテーブルより大きい。
新婦の出席者は新婦の従姉、そしてその従妹も良く知る新婦の友達4名。
そして、新婦の大学時代の教授である。
しかも、その大学の教授も、いわゆる新婦の従姉の夫の同期。
新婦の従姉とも顔馴染みである。
「中々どうして~~。一時はどうなるかと思ったが、何々、盛大に盛り上がるじゃないの~~。」
大学教授の佐伯和弥(さえきかずや)、新婦の従姉、葉山凌子(はやまりょうこ)を見ながら。
葉山も、目を赤くして、
「えぇ。もぅ、私なんか、嬉しくって、嬉しくって。」
そして、
「んもぅ~~。あの頑固親父に見せたいくらい。」
「ははは。確かに。まっ。真登香君の両親、ふたりとも、欠席とは。当然、未だに反対…???」
「えぇ。殆ど、駆け落ち寸前だったんですけど…。何とか、新郎の篤志君の両親が。認めてくれて、やっちまいなって。」
別方向の隅の席の新郎側の席の新婦の両親を見ながら。
会場内ではゲストスピーチが始まっている。
ここでも睦美の静かに流れるピアノに載せて。
そして…。新郎新婦のお色直しの為の退場に。
新婦の大学時代の友達、
「あは。これ、西野カナだ。」
「うんうんうん。ダーリン。」
汐梨、聴きながらにして、
「凄いわ、睦美さん。ホント、ジャンル問わず。何でもかんでもだわ、ふふふ。」
そして…。汐梨、さりげなく隅の方からピアノに近づいて、
「ねね、睦美さん、疲れない…???ジュース持ってきた。」
睦美、ピアノを弾きながらも、
「わぁ~~。ありがとうございます。」
そして、にっこりと、
「はい。大丈夫です。ははは。楽しいくらい。」
その声に汐梨、微笑みながら、
「ありがとう。好きな時に、席外して良いから。」
笑顔で睦美、
「はい。」
汐梨、ピアノの上の楽譜を見て、睦美の持ってきたバッグを見て頭の中で、
「…凄い量。…けど…、殆ど楽譜見ないで。」
その時、ふたりの男性がピアノに。
「あの、すみませんが、僕たち、余興で、これ、歌うんですけど。…弾けます…???」
そして睦美、渡されたイヤフォンを耳に。すると…。
「…うん…???…この曲。」
そして男性にニッコリと。
「はい。大丈夫です。分かりました。」
男性、その声にガッツポーズで、
「やったっ!!!…はは。お願いします。」
睦美、にっこりと。
「お任せください。」
そんな睦美を見て汐梨、ニコニコと。
汐梨、隅から睦美に、
「あのふたり、どんな曲…。」
睦美、クスクスと笑いながら、
「秘密です。」
その声に汐梨、
「あ~~ぁあ。ははは。うんうんうん。お願いね。」
睦美、にっこりと。
「はい。」
すると今度は新婦の友達たち。
「すみませ~~ん。これ、お願い出来ます…???…余興で…。」
睦美、女性の差し出したスマホを見て、聴いて。
「あ、はい。大丈夫です。」
と、にっこり。
女性たち、喜びで、
「やった~~。」
すると、次から、次へと。
元々、余興に関しては予め用意していたカラオケはあるのだが…。
凡そ、その曲目をキャンセルしての生ピアノでやってみたい。
…と、言うのだろう。
スタッフが汐梨に。
汐梨も、キョトンとして、
「うそ。」
スタッフ、
「えぇ。元々余興では決まってた曲なんですけど、みんな、キャンセルって…。」
汐梨、睦美を見て、
「いやいやいや。何と。凄い。」
そして…。
MCが告げる、
「新郎新婦の入場です。」
お色直しからの入場である。ドアが開く。その途端にピアノのメロディ。
いきなり出席者たち、
「おぅ~~~~。」
女性たちも男性たちも、
「ベルリン、トップガン。」
どこからともなく、
「凄ぇや。」
「涙だぁ~~。」
隅で汐梨、拳だけでガッツポーズ、
「ヨシッ。」
そのピアノに乗って…。
不思議に高砂にふたりが就くと同時にピアノの演奏もエンディング。終了する。
出席者たち、
「凄い。ドンピシャ。」
そして…。いよいよ、余興が始まる。
まずは新郎の友人たちふたりによる。いきなりひとりの男性が、
「真登香さん。篤志君、結婚おめでとう~~。」
そう言った瞬間にピアノの音。そしていきなりふたりが躍り出す。
その踊りに合わせての睦美の演奏。
いきなり出席者たち、爆笑。
「うそうそうそ。」
「これ。」
「テツandトモ~~。」
「なんでだろう~~。」
会場内、バカ受け。
しかも、出席者たち、踊るふたりたちとピアノを交互に見ながら。
「凄い。ピッタリ。」
「嘘でしょ。」
汐梨も、隅で、
「マジ…???…うそ。」
笑いに盛り上がる出席者たち。
「マジで、これ、ピアノでやるぅ~~???」
「有り得ない。」
しかも…、ふたりの男性の振りの見事さ。
完璧に楽しんで睦美。ふたりを見ながら演奏をしている。
出席者たち、クスクスと笑いながらも…。
しかも、出席者たちも最後は手拍子。
そして、拍手喝采。

ママでいい…。 vol,196. 「凄い。ピアノの生演奏だけで、こんなにも盛り上がるなんて。」
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