この兼高悠月、音楽教師。吹奏楽顧問。 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

ドキドキ 「いいぇ~~。」
清水。
「兼高先生、だからこその偉業ですよ~~~博楼高校吹奏楽~~。数々のコンクールでも凄い栄誉。職員室前の廊下のトロフィや楯。表彰状。生徒たちの心、捉えてますから~~、音楽で~~。しかも、アレンジまで評価されてるんですから~~。」
ピアノの椅子に座っている兼高に。

兼高、ニッコリと。けれども、口をツンとして、
「何も出ませんよ~~。そんなに褒められても~~。」

清水、そんな兼高にニコニコと。
「はいはい。では、失礼します。」

兼高、ニッコリとして、
「うん。ありがとうね。わざわざ報告~~。」

清水、音楽室の入り口で兼高に右手を振りながら。
そして、ドアが閉まる。



兼高、譜面にペンで。
「…けど…。芙美花さんのおとうさんのお付き合いのお相手、どんな感じの人なのか…。果て…???」


事実、この兼高悠月、音楽教師。吹奏楽顧問。
博楼高校に赴任以来、クラスを持った事はない。音楽教師一本である。

子供の頃に、友達の兄がギターを弾いているのに憧れて、「私もやってみたい。」
それが大きな切っ掛けになった。
毎日のように友達の家に通いギターの練習。
兼高悠月、小学3年生の頃である。友達以上にギターに集中し始め、
5年生の頃にはその当時流行っていたニューミュージックなどもギターで弾けるようになっていたが、
当時の音楽はギター1本で演奏するよりも様々な楽器での表現を必要すると自分でも理解。
その頃からギター以外にも興味を持ち始める。

キーボードは元より、女性でもベース。そしてドラム。ポップスからクラッシック。そしてジャズ。
中学では既に音楽の専門の学校で学びたい。
そういう希望が膨らみ、音楽大学付属の高校を受験、入学している。
そして、やがて教員試験を受け、教職の道へと。

最初に着任した高校でもその音楽の才能を発揮したのだが、
数年後、校長が変わり、女性の校長へと。
そこで始まる校長による兼高への嫉妬心。
敢え無く兼高自身からの異動届で別の高校へと。

その後、転々と高校を回っては吹奏楽顧問として務めたが、
残念ながら、自らの技術で音楽を表現。…と、言う生徒たちには巡り合う事が出来ずにいた。
どの高校も、流行りのスポーツに一点張り。
そして、いつでもどこでも楽しめるスマートフォンの普及により、
音楽を奏でる。と、言うよりはむしろ、聴いて楽しむ、の、方が主となっていたのである。

やがて、また人事異動となり、兼高の元にもその報せが。
異動先は、博楼高校。瞬間、兼高は安堵した。「これでようやく…。」


そして、その願いは…。


異動してきた教師らの挨拶で生徒たち、この時点で何かしら吹奏楽部に注目が…。
…と、言うのも、以前までの吹奏楽顧問は、自身でタクトを振り指揮。
確かに音楽の専門家ではあった。但し、齢65。定年の時期だったのである。

兼高、赴任してすぐに怒涛の勢いで吹奏楽に入りたい生徒が急増。
理由は、女神のような顔立ち。そして、背中まで、胸元まで伸びたまっすぐな黒い髪。
そして…、極め付けが音楽センス。

元々博楼高校吹奏楽は、歴代の吹奏楽部顧問により注目を浴びていた高校ではある。
が…、注目は浴びても、賞賛される部活とまでは…。
それを、賞賛まで導いたのが兼高赴任しての事だった。

それまでの吹奏楽は、顧問の固執で成り立ってはいたが、兼高は、それを変えた。
部員たちの好きなようにと、変えて行ったのである。つまりは、部員たちの個性を引き出した。
そして、部員たちの懐にも入るのが実に早かったのである。
それが功を奏して、兼高、最初の定期演奏会には客席が満席に埋まった。
それを評判にコンクールでも最優秀賞を総なめするなど。
都内でも博楼高校は賞賛されて行ったのである。

ただ、兼高自身、結婚は早かったのだが子供はいない。
25歳でプロのギタリストと知り合い、そのまま結婚。
その後、妊娠はしたのだが、敢え無く流産。
以後、子供の出来ない体となってしまったのだった。




兼高、
「Webデザイナー。憧れの職業よね~~~。」
そして兼高、微笑みながら、
「ふふ。芙美花さん、とにかく良かった~~。おかあさんが亡くなったって話、聞いた時には、とにかく驚いた。心配したもんな~~。これで…、クラリネット、どうしよう…。って、ほんとに悩んだからね~~。あの子はとにかく凄い。」

兼高の独り言は続く。

「あれで、今まで、家事全般もやって、学校も…。…いやいやいや。凄いわ。普通なら、グレてるよね~~。まっ。でも、芙美花さん、景織子さんや、クラスの友達もいるから、その辺は、安心なんだけどね~~。」
そして。
「ふふ。これで、ひとつの難関、クリアかしら…???」








ママでいい…。   vol,173.   この兼高悠月、音楽教師。吹奏楽顧問。

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