その睦美の声に耀司、躊躇なく、
「一年前に、亡くなりました。」
すぐさま睦美も晄史も目を見開いて、
「あっ。」
「わっ。」
瞬間、静まるその場。
5秒程。
睦美、申し訳なさそうに。
「…ごめん、なさい。」
晄史も、謝るように、
「すみませんでした。」
途端に耀司、顔を上げて、
「あ~~~。いやいやいや。」
右手を振り、
「いやいやいや。そんな…、謝って…。…もらっても…。その…。困るんですけど…。」
そして。
「…でぇ~~。つい先だって、娘が学校で修学旅行。」
睦美、スプーンで料理を。
「あ~~。うんうんうん。」
晄史も、
「あ~~、はいはい。」
そして、ビールを一口。
耀司、
「3泊4日の台湾旅行。」
晄史、目を見開いて、
「わ~~お、いいですね~~。」
「なんだけど~~。」
アヒルのような口をして、
「僕が、家事が出来ないからって~~。娘が、旅行…。…と、言うか、カミさんが亡くなって以来、娘が家事全般で。友達とも遊ぶとかって。」
睦美、
「あ~~~。」
何かしら、哀れみな感じで。
晄史、
「なるほど。」
「そんなこんなで。」
耀司。
「…僕に、妹がいるんですよね。それが、姪っ子の母親なんだけど~~。」
睦美、
「あ。なるほど。」
晄史、頷きながら、
「はいはい。」
「まっ。妹も、車で10分程度のところに旦那と住んでて。」
晄史、
「へぇ~~。」
「妹が、娘が…。僕の娘ですけど、家事の事で悩んで旅行に行けないなんてナンセンス。…って、言い出して。」
晄史、口を開けて、
「わお。」
「なら、私が高井戸家の家事、手伝うから旅行に行きなって。…と、言うか、その事は~~。僕の方から妹に。頼んだって感じになったんだけど~~。妹も少し考えて、結局OKしてくれたんです。」
睦美も晄史も、
「わ~~。」
「お~~。」
ふたり、顔を見ながらニコニコと。
耀司、
「…で、OKを貰ったら~~。んじゃ、その予行練習として、修学旅行前から家事、手伝っちゃう。その代わり~~。兄さん、麻沙美の幼稚園と音楽教室の送り迎え、お願いって。」
睦美、目を真ん丸にして、
「うんうんうん。」
晄史、ゆっくりと顔を上下に、
「そういう事~~~。な~~るほどね~~。うんうんうん。納得です。」
睦美、
「だからか~~。」
耀司、料理を食べながら、両眉を上下に。
「そんな訳で…。」
睦美、口の中でもぐもぐと。そして、ようやく納得した感じになって、2度程頷いて、
「うんうん。」
晄史、
「誓、遅いな~~。」
と、玄関の方を。
すると…、
「いらっしゃいませ~~。」
すぐさま誓の姿が。
誓、右手を振って、
「あははははは。」
すぐさま3人のテーブルに。
そして、両手を顔の前で、
「ごめんなさ~~い。遅くなっちゃって~~。」
耀司、そんな誓に、ニコニコと、
「いえいえ。はい。お疲れ様でした。」
晄史の隣に座って、
「ふぅ~~。」
そして晄史のビールを一口。
「うん。」
そしてまた、晄史のお皿から…。
晄史、誓に、
「はい。」
スプーンを。
誓、そのスプーンで晄史の料理を一口。
「うん。はは。おいし。」
高井戸家。
バセットはリビングで自分の定位置でスヤスヤと。
むやみやたらと動く事はない。
これで仮に、玄関で音がすればすぐさま立ち上がり玄関に。
と、言う事になる。
芙美花は汐梨の作ったご飯を食べた後、
汐梨と麻沙美を玄関で送ってそのまま2階の部屋に。
クラリネット練習である。
祐里子が芙美花にクラリネットを。と、なった時点で、芙美花の部屋を防音と決めており、
それは既に中学入学と同時に決行。
高井戸家は、住宅街でもある。
芙美花のクラリネットの仕上がりも上々である。
「ふぅ~~~。…次はっと。…ってか…。」
窓の方を見て、
「おとうさんは…。まだか。」
誓、ビールを飲んで、頼んだ料理を食べながら、
「へぇ~~ぇえ~~。高井戸さん。そういう訳か~~。」
睦美も、
「うんうん。」
耀司、誓に、笑顔で、
「そんな訳で。」
誓、
「奥様、1年前に…。」
僅かに誓、義姉を見て。
耀司、ビールを一口。
「そんな訳で、今、我が家は、娘と私での、二人三脚。…で、まぁ~~。妹がいてくれて、今。」
恥ずかしながらも、顔を傾げて、
「まぁ…。娘の代わりに…???…家事代行…???…な~~んて言っちゃうと~~。妹に怒られますけど。」
その声ににこやかに睦美も晄史も、
「はははは。」
耀司、
「まっ。…とどのつまりは、僕の妹が…。」
そこまで言って、左に顔を傾げて、
「な~~にを思ったのか、娘が修学旅行から帰って来て、そしたら。」
睦美、
「そしたら。」
晄史も、
「うんうん。」
誓、食べながら高井戸を見て、
「……???」
「いきなり。」
耀司。
「妹から、私、今度から高井戸家の家事、やっちゃうわ。って。」
睦美、
「わお。」
晄史、
「はは。凄~~い。…って言うか、妹さんの家は…???」
「はは。」
耀司。
「いや。その辺は、自分で言った手前。ぬかりはないかと。」

ママでいい…。 vol,053. 「家事の事で悩んで旅行に行けないなんてナンセンス。」
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※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。
