優維香、
「あ、いや…。…まだ、決めてないけど。」
「ふん。じゃあぁあ~~。おかあさんにちょっと、付き合ってくれる~~???」
目をパチクリと優維香、
「ふん。いいけど…。…どしたのよ急に…。」
淡々としか話さない賀寿恵。
始終笑顔の小埜瀬。料理を食べながら、
「うんうんうん。さすがにこの店、美味しいですよね~~。」
賀寿恵、まだまだ緊張しながらも食事を…。
そんな賀寿恵に小埜瀬、ニッコリと、
「弓さ~~ん。だから、そんな、固くならずに~~。折角の料理が美味しくなくなっちゃいますよ~~???」
全く、体の内に秘めたあの空手の弓賀寿恵は何処に…???
…とも思しき余りにもぎこちない賀寿恵。
小埜瀬の声に、何とか。
「…ですよね。」
小埜瀬、賀寿恵に、
「ははは。弓さん…。あの時と同じ。シェアハウスの準備の時と。最初はもぅとにかく緊張、緊張~~。でも、ようやく慣れて来て、この店に入って、いつも通りに…。」
その話に賀寿恵、
「えっ…???…あ、あ~~。はい。」
小埜瀬、
「ゆっくり、ゆっくりで…。構いませんよ。僕なら、大丈夫ですから。」
賀寿恵、一瞬、瞬きをしながらも、
「えっ…???」
小埜瀬、再び、ニッコリと。
「僕なら大丈夫です。」
再び、賀寿恵、瞬きを…。
小埜瀬、
「弓さん。僕にとっては大切な友達ですから。」
途端に賀寿恵、今まで鼓動が高鳴っていた…。
それが…、止まった。その、「友達ですから。」の、一言で。
賀寿恵、思わず、
「え、え~~。あ。はい。」
そして、困ったような笑顔で、
「…で、ですよね~~。ありがとうございます。」
また、無言の…。
近くでも、離れた距離のテーブル。
小埜瀬を遠くに感じながらも…。
「あ、あの…、小埜瀬さん。」
小埜瀬、そんな賀寿恵に、
「あ、はい。」
賀寿恵、頭の中には麗子の顔。勇気を振り絞って、
「私…。その…。あの…。実は…、小埜瀬さんと、おつ…。」
「今。」
小埜瀬。
「実に楽しいです。」
ニコニコと。
賀寿恵、呆気に取られて、
「え…???…あ、はい…???」
小埜瀬、口を真一文字にして、
「ま。確かに。海外でも…いろいろと、あったんですけど…。久しぶりに、日本に帰ってきて…。それに…、久しぶりに日本語のシャワー。…しかも…、またまたこれが…、面白い事がたくさん。これから、また、どんな事が待っているのか、楽しくって。実に愉快。素敵な、女性たちに恵まれています。」
「素敵な…、女性…たち。」
小埜瀬、ビールを一口。
「えぇ。トラディショナル事業部の人たち。とにかく、素敵な女性たちです。…中でも~~。」
賀寿恵、
「あ、はい。」
目をパチクリと。
「亘夢ちゃん。とにかく彼女は可愛い。」
賀寿恵、またまた目をパチクリと。
「あ…、亘夢ちゃん。…あの…、江間亘夢、さん。」
小埜瀬、頷いて、
「えぇ。みんな、言ってますけど、とにかく、正に、トラディショナル事業部のアイドルですよね~~。それから、瑛子さん。武蔵野さんですけど、彼女のキャラは最高です。新婚さん。2年目ですけど…。」
賀寿恵、また、
「あ、はい。」
「そして…、阿寿沙さん。菊村さん。瑛子さんと同期ですけど…。今、彼氏が出来て、そりゃもぅ~~。幸せ感。結構、内に秘めたもの、感じるんですけど…。仕事は出来る。実にこれからが楽しみ。」
また賀寿恵、
「あ、はい。」
「そして、冴島悠里さん。この人はもぅ~~。完璧にチーフ殿の相棒的、存在ですよね~~。」
賀寿恵、またまた目をパチクリと。
「チーフ殿。」
「えぇ。トラディショナル事業部のチーフ、柿崎優維香です。彼女はとにかく素晴らしい。」
賀寿恵、いきなり呼び捨ての名前を耳にして、
「柿崎優維香、さん。」
「彼女がいてこその、トラディショナル事業部。まっ。確かに、トラディショナル事業部にインテリアデザイナーは、いないんですけど…。けど、それでもしっかりと…。」
賀寿恵、
「は、はぁ~~~。」
「まっ。確かに。麗子さんと、弓さんと、アトランタのあのホテルで偶然にも…、お会いして…、麗子さんに私の会社で働いてみないって誘われて…。最初は、まぁ…、冗談半分で…。そんな風に感じたんですけど…。けど…。」
賀寿恵、
「けど…。」
「でも…、僕自身も、あの時の麗子さんの話に、ま、ここらで、日本に帰っても、いいかなと。そんな風に感じて…。そして、日本に帰ってきて。…久しぶりに…まぁ、海外でも日々が、充実はしていました。」
「あ、はぁ。」
「でも…。チーフ殿にも話したんですけど。僕は、やっぱり、いつも一緒にいてくれる人が良いって。傍にいてくれる人が良いって。」
賀寿恵、
「いつも一緒にいてくれる人が良い。」
「だって、そうじゃないですか~~。ま、たまには喧嘩もあるでしょうけど…。それでも、それをぶつけ合って気持ちをひとつにする。僕は、そういうのが理想です。」

好きになれない。 vol,273. 「おかあさんにちょっと、付き合ってくれる~~???」
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庄司紗千「おふろ月夜」
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