佐津香、思わず赤面状態になって、
「か…、課長…。」
順平もそんな小埜瀬を見て、
「わっと…。」
菜帆子、思わず体を真横にして、
「えっ…???…どした…。あら。」
小埜瀬の顔がまるで佐津香の胸元で優しそうな笑顔で…。
菜帆子、自然に顔が綻ぶ、
「あらららら。課長~~。なんとも優しい顔で~~。」
佐津香、赤くなって小埜瀬の頭を、
「課長~~。もぅ~~。…しっかりしてくださ~~い。」
菜帆子、
「でも…、佐津香さん、課長、なんとも安心していそうな顔~~。」
順平、その声に、
「えへ…???…うそ。」
菜帆子、そんな順平にニッコリと、両眉を上下に。
とにかく全く目を覚まさない小埜瀬。
菜帆子、そのままの恰好で、
「あ、でも…。さっき…。課長、確か…、誰かの名前…。」
顔を左右に振って、
「ううん。さつか…さんの…、前に何か…。」
順平も、
「あ、そうだ…。…確か…、りほ…???」
佐津香、何とか小埜瀬の顔を自分から離して、
「もしかしたら…。亡くなった奥様の…名前…???…かも…。」
菜帆子、
「奥さんの…。」
順平、口を尖らせて、
「ふんふんふん。なるほど…。」
佐津香、
「ん~~~。…多分…、なんだけど~~。…でも…。」
そして佐津香、記憶を辿って、
「あの時…。」
順平も菜帆子も、
「あの時…???」
「あん。今だから、なんだけど~~。実は…。…愛結美から理江子さんから呼ばれちゃったって、あの日。」
菜帆子、順平、
「うんうんうん。」
「あの日の帰りね。私の車でなんだけど~~。課長、何とも言えない気持ちの良い顔で、黙りこくった時、あったの…。今まで話掛けてた人がいきなり。こっちは運転してたんだけど…。いきなり声がなくなって…。で…、課長って、課長の顔見たら、目を閉じて、何とも気持ち良さそうな…。…でも、それからすぐに目を開けて、なんだかビックリしたような…。おっとって…。私に、あっ。おっと。ごめんなさい。何だか…、気持ちがす~~っと。って…。」
菜帆子、目を真ん丸にして、
「へぇ~~~~。」
順平も、
「なんなんすか、それ…???」
佐津香を見て…。
佐津香、顔を左右に、
「分かんない。」
「えっ…???…えっ…???…って。それ…、佐津香さんの車の中で…???」
菜帆子。
佐津香、口を尖らせて、
「ふん。そっ。」
「あっ。いや…。」
菜帆子、
「えっ…???…えっ…???…もしかして…、課長…、その時に、何か…匂い…???」
「ん~~~、分かんないけど…。」
「前も課長…、匂いが…、気になるって…。」
菜帆子、佐津香を見て順平を見て。
順平、
「あぁ。うんうんうん。確かに…。」
運転手、
「そろそろですよ。」
菜帆子、体勢を変えて、前を見て、辺りを見て、
「あ。ほんとだ。」
佐津香、
「あ、すみません。その角…、曲がってくれます…???」
そして…。
菜帆子、ドアを開けて。
順平も、
「さてと。」
佐津香、
「うん。」
そして、
「とにかくガタイがいいから…。順平、課長押して。」
「あいよ。」
佐津香、小埜瀬を抱き抱えるように。全く目を覚まさない小埜瀬。
佐津香、
「課長~~~。」
「お客さん。」
いきなり運転手。
菜帆子も佐津香も運転手を見てビックリ。
順平も運転手を見て、
「えっ…???」
運転している時は全く気付かなかったが、何ともガタイの良い運転手。
菜帆子、目を真ん丸にして、
「うそ。」
佐津香も、
「運転手さん…???」
運転手、ニッコリと、
「お任せを。」
多分、この運転手、凡そ小埜瀬と同じくらいのガタイ。
男性の両脇に思いっきり両腕を…。
そして両腕を両手で握って、ガッシリと抱えて、
「ふん。」
すぐさま小埜瀬の体はドアの外に。
順平、
「凄ぇ~~~。一気だ。」
菜帆子も佐津香も目を真ん丸に、
「凄~~ご~~。」
佐津香、
「あ、脚脚。」
順平、
「ちょっと待って下さい。」
運転手、ニッコリと、
「はは。お任せを。」
そのまま男性を脇に抱えて、左腕を肩に。
佐津香、運転手を見て、
「え~~~~。凄い~~~。」
菜帆子、思わず両手で静かに拍手。
順平、小埜瀬の右側に回って、
「すみません。」
運転手、
「いいえ。」
佐津香、
「運転手さん、あなた…。」
運転手、
「ははは。ま。こう見えて、学生時代には柔道を。」
佐津香、
「ワッツ。」
菜帆子、思わず目を丸く口に両手を、
「凄~~~。かかかか。」
順平、顔を左右に、
「いやいやいや。なんとも…。」
佐津香、運転手に深くお辞儀をして、
「申し訳ありません。本当に、助かります。」
運転手、ニコニコと、
「いえいえ。お安い御用で。そちらですか、お宅。」
菜帆子、
「あ、はい。すみません。」
佐津香、いつもの場所から鍵を。そして玄関を開けて。
運転手、玄関に入って、フロアに、
「ほいさ。」
3人共に、
「助かりました。」
「ありがとうございます。」
佐津香、僅かに鼻を啜って。そして、また丁寧にお辞儀を。
「ほんとうに、ありがとうございました。」
運転手、右手で敬礼するように、
「では、私はこれで。」

好きになれない。 vol,222. 佐津香、思わず赤面状態になって、「か…、課長…。」
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