実は、絢美、横井土家の家政婦であるが…。
この女性を紹介したのが麗子である。
横井土、
「まっ、面白い事もあるもんだ。…と、言うか、ここまで偶然が繋がると、と、言う意味だが。」
麗子もにこやかに、
「確かに。」
横井土、
「まっ。お前さんの伝手で…。」
そこまで言って横井土、
「かかかかかか。私にも、ご褒美のようだが。」
麗子、嬉しがって、
「…でしょう~~。かかかかか。」
「ヨッシ。飯だ~~~。へへへへ。朝飯抜きだったからな~~。」
廊下をテンテンと。
その後ろから絢美が…。
横井土の孫、敬嗣(けいじ)である。
ダイニングに入ってきた敬嗣に麗子、
「おっと~~、敬嗣~~。何その、ボサボサな髪~~。」
横井土も、
「おぃおぃ。身嗜みくらい、おま…。」
そう言いながらも、
「まっ。それでも…、一起業家のひとりなら、止むを得えんが…。」
横井土敬嗣、投資家である。大学時代から投資に没頭。
大学卒業と同時に、同じ仲間の投資家数人と会社を立ち上げている。
但し、事務所などは構えずに自宅、自室がオフィス同然。
そして、当然ではあるが、しっかりと認可も下りていれぱ業績も上げている。
そして…、ここが肝心なのだが…。礼美の兄である。
年齢30歳。未だに独身。
「おっと、兄貴、来たんだ。」
礼美。
…さほど…、さっきまでのヨガスタイルとは…変わっていない…ような…。
上半身にフィットしているTシャツ。そして脚線美のレギンスパンツ。
敬嗣、礼美に、
「おまえな~~。家でそんな格好するより、外でやれよ~~。男、目を釘付けにするぞ~~。かかかかか。…まっ。我が妹ながら、自慢なんだがな。」
麗子も礼美を見て、
「うんうん。確かに。それだけプロポーションが良いと…。…でも…、男性の視線…、気にならない…???」
その声に礼美、
「ふん…???…あ、いや…。だって、この格好、家と、ヨガ教室でだけだから。」
麗子、顔を傾げて、
「ん~~。まぁ…。そんなもんか…???…まぁ~~。中国や韓国じゃ、今、そういうの…、流行ってんでしょ…???」
その声に礼美、両眉を上下に、
「うん。まぁ、あっちは日本より遥かにオープンだもん。」
絢美、
「はいはい。敬嗣さん、礼美さん、お願いしますね~~。」
敬嗣、
「おっと~~。了解。」
礼美も、
「おいしそう~~。」
そして、絢美に、
「さすが、絢美さん。冴えてる~~。」
絢美、ニコニコ、
「お褒めに預かり~~。恐悦至極。ふふ。」
佐津香、駐車場に、
「さてと…。」
小埜瀬も、
「着きましたか~~。ほんじゃ。」
麗子、
「…って言うか、んじゃ、今頃、お姉ちゃんと登美(とみ)は、歌舞伎…???」
横井土、その声に、
「かかかかか。まま、そういう事だ。」
そして、
「絢美さん。どうぞ、一緒に座って。食べよう~~。」
絢美も、
「はい。」
そして…、自然に敬嗣の隣の椅子に座って。
敬嗣、ニコニコと。
その顔を見て礼美、右目を何かしら歪めて。
敬嗣、
「ヨシ、食おう~~。」
その他の4人は、
「いただきます。」
この、絢美と言う家政婦だが、凡そ6カ月前から横井土家に世話になっている。
それと言うのも、元々は介護士であり、介護福祉士の資格も持っている。
名前を有紀元絢美(ゆきもとあやみ)。56歳。麗子よりは年下である。
この縁は何かというと。有紀元絢美、実は柿崎佐津香の大学の同期。
自分の祖父母も介護でヘルパーに世話になり、
そのヘルパーの物凄い行き届いたケアに魅力を感じ、大学時代から介護と看護の勉強を…。
看護の資格は…、残念ながら、その専門の道には進めずに、介護を選択。
元々佐津香とは仲が良く、大学時代から連絡は絶えなかった。
自分の祖父母を立て続けに介護施設からの訃報で亡くし。
それに自分の母の介護を必要となり介護施設を辞職しての母親の介護に当たる。
そんな彼女に結婚生活をしていた夫は介護だらけの妻に耐え切れずに離婚。
ひとり娘が大学生である。
その後、絢美の母親も2年の介護の後に、容態悪化で病院に搬送。死亡している。
母親の介護から解放され、以前の職場に復帰。と、言うところに佐津香から連絡。
佐津香は麗子から誰か家政婦になれる人、と、持ち掛けられていたのだった。
横井土家の今までの家政婦は、この家政婦も、
故郷の父親の面倒を見る事で家政婦をやっていられなくなり、
横井土家の家政婦を辞めてしまったのだった。そういう経緯がある。
これが有紀元絢美の人物像である。介護士としてはベテラン。
しかも、誰からも愛されるという人柄。そして…、容姿も…、悪くない。
ただ…、予想だにしない事が…。
佐津香と小埜瀬、ラスカの玄関に。そしてドアを開けて、
「こんにちは~~。」
「こんにちは~~。エレガンザ化粧品で~~す。」

好きになれない。 vol,171. 「ここまで偶然が繋がると、と、言う意味だが。」
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