佐津香、パソコンのキーワードを打ちながら、
「うん。今、ようやっと、ひとつ仕事、片づけたから、いいよ。…これを…、送信。…と~~。OK~~。」
スマホから愛結美の声、
「助かる~~。」
佐津香、
「お相手さん、ラスカで待ってるんでしょ。」
その声に愛結美、
「うん。多分。」
「これから伺いますって、理江子さんに。私、彼女の番号、知らないから。」
愛結美、
「OK、分かった。ありがとう~~。じゃ、今から電話するね。」
佐津香、
「うん。オッケィ~~。」
そして通話は切れる。
優維香、
「なんか…、仕事かな…???」
「ふん。分かんないけど…、行ってくるわ。」
そして、
「おっと。電話しなきゃ。」
そしてスマホで、トン。
2回のコールで…。
「はい。小埜瀬です。佐津香さん…???」
佐津香、スピーカーで、
「あ、はい。お疲れ様です。佐津香です。今、愛結美さんから。」
「あ、はい。僕にもありまして、今、準備。」
優維香、
「わお。素敵な声。」
佐津香、
「これから出ますけど…。」
「あぁ~~。じゃあ…、何処かで待ち合わせ。」
「あ、いえ。私…、車で行きますんで。」
小埜瀬、
「車…???」
「えぇ~。亡くなった主人の車。」
スマホから、
「あ、あ~~~。なるほど…。…って、佐津香さん、免許。車…???」
その声に佐津香、
「えぇ。大学卒業と同時に、免許、取ってるんです。まぁ…、ある意味、亡くなった主人の送迎も、車で、でしたから。」
スマホから聞こえる小埜瀬の声、
「へぇ~~~。なんと、凄い。」
「30分くらいで…。」
「あ、はい。分かりました。お待ちしております。」
優維香、
「まっ。一度、行ってる…。あ、二度か。」
佐津香、そんな優維香に、
「まぁね~~。」
そして、
「ヨシッと。」
スマホにライン。
「おっと、澪ちゃん。ふふん。どう致しまして~~。原稿、ありがとうございました~~。」
佐津香、着替えて…。
「優維香~~。留守お願~~い。」
「OK~~。」
ガレージから車が出た音。
そして…。
小埜瀬の自宅前。
「こんにちは~~。お疲れ様で~~す。」
「はいはいはいはい。お疲れ様~~。じゃ、行きましょうか。」
小埜瀬、スーツ姿に。
佐津香、
「はい。」
そして…。
小埜瀬、
「へぇ~~。セダン。」
佐津香、
「えぇ。」
それぞれシートに。
佐津香、シートベルトを。
「では…。」
「お願いします。場所は…。」
その声に佐津香、
「しっかり、ナビ。」
その声にナビを見て小埜瀬、
「あ~~~ぁ、はは、なるほど。……。」
チラリと佐津香を見て、
「亡くなった…、ご主人の…車。」
佐津香、
「えぇ。はい。元々、車を買おうかって思っていたんですけど…。そんな折に、主人と出会って。その頃は、もぅ…主人、免許持って、車も、ありましたから。主人は、高校卒業と同時に。」
小埜瀬、
「はいはいはい。なるほど。…そういう事…でしたか。はい。」
そして…、走りながら…。
佐津香、
「理江子さん…。一体…誰を…。」
小埜瀬、
「ふ~~ん。私も…分からないんですけど~~。責任者って…。…多分、部長…。電話に出ないって…。奥様と…???」
瞬間、佐津香、
「あっ!!!…そっか~~~。ミュージカル~~。」
佐津香をチラリと見て小埜瀬、
「ミュージカル…???」
また前に顔を…。そして小埜瀬、眉間に皺を寄せて。
「ミュージカルって…部長…???」
佐津香、顔を振って、
「ううん。奥様。奥様の方、胡桃さん。彼女、ミュージカルのファンだから~~。劇団ソワレ。課長、ちょっと検索してみません。」
その声に小埜瀬、ポケットからスマホを出して、
「えぇ~~。劇団…、ソワレ。と。あ、ありました~~。」
そして指先で…。
「へぇ~~。…って事は、やって…るんだ。JR東日本ソワレ劇場…。浜松。」
「劇団の中でも超有名ですから。胡桃さん、大学時代から熱狂的ファン。」
「へぇ~~~~。」
「多分、部長、胡桃さんに連れ回されてますね~~。」
その声に小埜瀬、
「え…???…嘘。」
チラリと佐津香を見て…。
佐津香、運転しながら、しかも笑顔で、
「あぁ見えて部長、吉竹部長、女性にはからっきし。デェ~~ンと構えてますけど…、仕事ならいざ知らず、プライベートとなるともぅ~~、あたふた。しかも、女性には甘い。だから~~。胡桃さん以外の女性は、全くのシャットアウト。それでいて、胡桃さんも同じ。あれだけの容姿で男性を寄せ付けないんだから。…で、奈菜さんから紹介されての…。」
そこまで話して佐津香、
「あ。門倉に行ってるんですから、もぅ~~。話は聞いてますよね。」
小埜瀬、佐津香に、頷いて、
「え~~。凡そは…。奥様、部長は嘘は付かないから好きって。」
「つまり。」
佐津香。
「胡桃さんも、自分から男性にアプローチはしない方。…でも、向こうからって言うんなら~~。…逆に、胡桃さんくらいの容姿だから、男性も必ず誰かひとりやふたり。と思っている。」

好きになれない。 vol,168. 「はい。小埜瀬です。佐津香さん…???」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
